<覚悟と責任>
今や誰もが持つスマートフォン規制にも言及する。
「話し合いの場にスマホを持ち込んでいる人を見ると、嫌になる。僕が話している時にいじるのも論外で、怒鳴ったことがある。『スマホで調べてました』というけれど、後でやればいいこと。スマホに伴う問題が多くなる中、使うルール、スマホ法規みたいなものがないといけないと思う」
憲法9条改正などが論議され、戦争の危機がはらんでいる時代になった。
「日本が攻め込まれたら、どうするのか。自分の家が攻撃されたら、戦わざるを得ないでしょう。国のために戦えるかというアンケートで日本は11%と、世界で最下位だった。一番高いのは80%で、中国や韓国は70%あった。国が良くないから、誰も国を愛さず、国のために戦おうとならない。愛国心というと、右翼的な響きがあるけれど、故郷を愛する気持ちが一番の愛国心。政府がやっていることは、変な方向に愛国心を持っていっている気がします。戦争が嫌だという人は、殺されるのが嫌なのか、殺すのが嫌なのか。殺す方が怖いんです。殺すことは残酷だし、トラウマ(心的外傷)を抱えてしまう。そういうことを知った上で反対することが大切です」
倉本さんは、徴兵制ならぬ、徴農制の導入も主張している。
「幼児教育が間違っている。ルール、倫理観を教えないといけない。中学から大学まで12年間、英語を勉強してもしゃべれないような、バカな教育の改革が必要で、大学の無償化には反対です。それよりも、徴農制を実施して、若い人たちは土と向き合うべき。上下関係の中で、しつけも教えながら、農業が食うこと、生きることの根源につながることを学ぶ。海抜ゼロから自分の力で生きる、覚悟と責任が生まれる気がします」【聞き手・林尚之】
◆倉本聰(くらもと・そう)1935年(昭10)1月1日、東京都生まれ。東大文学部卒業後、59年ニッポン放送入社。63年退社後、脚本家として活動。フジテレビ系ドラマ「北の国から」は81年から21年間続く。84年富良野塾を開き、12年の閉塾まで俳優、脚本家を育成。代表作はドラマ「前略おふくろ様」、映画「駅 STATION」など。昨年は、老人ホームを舞台にしたテレビ朝日系ドラマ「やすらぎの郷」で話題を呼んだ。