ダビングやアフレコは劇場版と変わらないほどの時間と手間がかかっています
── 実際の(ダビング)作業は、かなり大変だったようですね。 岩浪 今回は47分なんですけど、その倍、90分の劇場版を作業するのと同等、いやそれ以上に疲れました(笑)。
山口 ちなみに、アフレコは先の劇場版と変わらないほどの時間と手間がかかっています。
小山 もともと出演者多いですしね。
岩浪 最終的には、5~6回に分けて録ることになってしまいました。
山口 収録自体はスムーズでした。
岩浪 こういった、(前作から)間の空いた作品って、演者にキャラクターのニュアンスを思い出してもらうのに多少時間がかかったりすることもあるのですが、ガルパンの場合、全員が自分のキャラクターをしっかり把握していて、とまどいもなくスムーズにアフレコが進行しました。まるで同窓会のような、和気あいあいとした現場でしたね。ボコ(の着ぐるみ)もいたし。
山口 アフレコ現場の席も、自然とチームごとにまとまっていたし。みんな、学校に行ってるかのように。
── では、井澤さん(カモさんチームを1人で3役演じている)だけひとりだったんですね!? 山口 あんこうチームのあたりにいたかな?(笑)。
小山 とにかく、音響チームとしてはやることがたくさんあった、手間のかかった作品となりました。その分、いろいろなところに演出が盛り込まれているので、ぜひ確認してみてください。
岩浪 大変だったけど現場はスムーズだった、そういった感じでした。
── それでは、「ガールズ&パンツァー 最終章 第1話」の音響チームとしての見どころといいますか、聴きどころを教えてください。 岩浪 先ほどの話にもあったとおり、音響も演出に盛り込まれていますし、音のサーカス的な、アクロバティックで多彩な音作りを行っていますので、それを楽しんでいただければと思います。
山口 映像に合わせて、セリフや効果音、音楽が代わる代わる前に出てくると言いますか、効果的に配置されていますので、躍動感に満ちたストーリーが演出できているなと思います。
小山 アニメ作品は、スケジュール的に作画がまだまだこれからという段階で音を作り上げることもあったりするのですが、今回は、音響効果の仕込みの段階から“色つき”“動きつき”で音を作り上げています。そのあたりは、水島監督ならではのこだわりでもあるのですが、絵を見て音を付けていける。それによって映像との一体感、作品の完成度に繋がっているかと思います。たとえば、「ポルシェティーガー」が走り抜けるシーンでは、レオポンさんチームの4人がそれぞれしゃべっているんです。どうしても聞かせたい効果音があったので台詞の間を詰めてもらいました。そういったシーンの場合、セリフがきちんと聞こえるよう工夫しなければならないのですが、思いっきり重なった状態でOKいただきまして。というのも、4人ともに人の話を聞かないで独り言っているだけなので、それでいいんですと(笑)。絵ができていると、そういったプラスアルファが演出に盛り込める。そういった、水島監督ならではのこだわり演出を感じ取っていただけたらと思います。
山口 最終的には詰め詰めでしたけどね(笑)。実は、0.5フレーム単位で頭を調整すると聴こえるようになったりするんですよ。
小山 攻撃の音も絵と微妙にずれていたり、意識して作っています。
岩浪 これって、プロ目線でズレているという話なのですが、人間って、音がちょっとズレているほうがピッタリに感じたりする場合があるんです。そういった部分まで意識して作っています。