モルガンS、リセッションのリスク上昇に備えジャンク債から完全撤退

  • 減税は景気後退前にありがちな過熱を前倒しに-ウィルソン氏
  • 相場には投機的な上昇余地しか残されていない可能性-リポート
Victor J. Blue/Bloomberg

2兆ドル(約226兆円)を運用するモルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントは、今の市場サイクルで高利回り債に投資するのは遅すぎるとして、ジャンク債への投資配分を完全にゼロにした。

   減税が好調な株式銘柄に新たな勢いを呼び込むのは確かだが、その押し上げ効果は短命に終わり、バランスシートの弱点を覆い隠すと、最高投資責任者(CIO)のマイク・ウィルソン氏が論じるリポートが3日に配布された。

  「米国で発効したばかりの減税は短期的な経済成長を押し上げる可能性があるものの、同時にリセッション(景気後退)前にありがちな景気の過熱を前倒しする可能性もある。こうした過熱は株式市場よりもクレジット市場で先に顕在化するものだ」とリポートで指摘。「当社は最近、高利回り債のポジションをゼロにして、営業利益率の低下に伴う質の悪い企業決算の悪化に備えることにした」と続けた。

ジャンク債リターン、過去最高

出所:ブルームバーグ

  2018年の世界市場は好調な経済データに支えられて、順調にスタートした。MSCIオールカントリー・ワールド(ACWI)指数は今週に入り1.6%上昇し、ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル・ハイイールド指数は0.4%上げた。いずれも過去最高水準で推移している。

  ウィルソン氏は景気循環がピークに近づくにつれ、今年は少なくとも1度は世界の株式市場に調整が起きる可能性に備えるべきだと警告。モルガン・スタンレーでは今年中のリセッションは予想していないが、リスクは高まっていると判断している。金融政策が引き締められる一方で、企業業績と経済データに予想を上回る余地が小さくなってきており、相場には投機的な上昇余地しか残されていない可能性が高いという。

  「2018年と19年は16年、17年に比べて投資で稼ぐのがずっと難しくなるだろう。リセッションおよび正真正銘の弱気市場のリスクが近づいているからだ。サイクル後期の特徴がますます鮮明になってきた」とウィルソン氏は説明した。

原題:Morgan Stanley Wealth Exits Junk Bonds, Warns on Recession Risk(抜粋)

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