録画した年末のガキ使を見ていて「ひいい」と思ったのでツイートした言葉が、えげつない勢いで拡散されてしまい、ブラックフェイスなんて何も関係ない私個人への誹謗中傷まで受けたりしてなんだかおもしろいことになった2018年のお正月。
まずはこのツイートをした理由から説明させてください。
▼ツイートをした理由
ダウンタウン浜田さんがブラックフェイスをして出てきた時、私はなんというか、びっくりしたといいますか、焦ったといいますか、とっても不思議な感覚に陥りました。「目の前で何かまずいことが起きている」と感じました。
例えるなら、幸せな結婚生活を送っているAさんが、Bさんが泥沼離婚調停中だということを知らずに突然「にしても結婚生活ってほんとしあわせ~♡」と言っているのを目の前で聞いているかのような強力な気まずさや焦燥感でしょうか。「頼む~!それ以上言わんでくれ~!」という感覚はかなり似ているかなと思います。
そこで、ツイッターで検索をかけると「これはレイシズムではないだろ」という意見がちらほらあったのでこれまた驚いてしまいました。こんなことを日本人が言ってたらまた私が怒られる・・・、と率直に思いました。
どういうことかといいますと、私はアメリカ人(白人)と日本人のハーフだということもあって、カリフォルニアに在住している頃からよく日本人のあれがダメ、これがダメ、ということを世界中からやってきた外国人の友人から聞かされていました。内容は「なんで日本人って私たちの前で日本語で会話するの?すっごく失礼じゃない?」「日本人ってなんでへらへらしてるだけで自分の意見ちゃんと言わないの?意思とか持ってんの?」「私の日本語が流暢すぎて電話越しでは外国人ってわからなかったみたいだけど、不動産屋に行ったらガイジンは銃持ち込むとか何するかわからないから貸す部屋は無いって言われたんだけどなんなの?」「全くしゃべったことのない赤の他人なのに大きいね!とか言ってくる日本人なんなの?めちゃくちゃ失礼なんだけど」などなど書ききれないくらい文句を言われてきました。それに対して私は「そうだよねえ・・・私も彼らが考えていることはわからないけど、my people(日本人)がいやな気分にさせてごめんね・・・」とよく謝っています。たぶん彼らも私が半分アメリカ人で私自身日本人から人種差別を受けてきた身だということを知っているので言いやすいのだと思います。(もちろん日本のこういうところがクールだね、日本人のこういうところがいいね、ということも言われます・・・稀に・・・)
なので、今回の一件も「はー、また怒られるやつだ・・・」と思いました。
今回のブラックフェイスの問題に限らず、これまで伊藤詩織さんの件や、神戸製鋼、三菱マテリアル、東レのデータ偽装問題、高校が生徒の生まれつき明るい髪を無理やり黒染めさせていたことなど、「おまえらなんなの?」と言われても仕方がないことが続いていて、New York TimesやBBCから批判されていただけに、「また日本人が世界に見放されていくなあ」と思った次第です。
この一言に激昂した人がかなり多かったので、一応説明させていただきました。
▼どうしてブラックフェイスがまずいと思うのか
話を戻しますが、どうして私はブラックフェイスを見て強烈な気まずさや焦燥感を覚えたのか。実はかなり感覚的で、説明がとても難しいです。ただ反射的に「あやばいこれレイシストだやばい」と思いました。自分が黒人奴隷の歴史を大学で勉強して、人種差別に関する卒論を書いて、自分自身が人種差別をされてきて、カリフォルニアという多様性のある空間で生活したことがあって、実際にブラックフェイスを嫌がる黒人の友人を知っていて、これがタブーだとされる環境で育ってきた、というのが私の反応のバックグラウンドにあるのではないかと思います。
本当に単純で、ブラックフェイスを見て不快に思う人がいると知っていながら「はっwうけるw」とはならない、というだけの話でもあります。
▼そもそも私はブラックフェイスを語ってはならない
たくさんいただいた質問のほとんどは、私が黒人でないと答えることができないものでした。当然ながら私は黒人として差別された経験がないため、彼らの悲しみや怒りそのものが分かる訳ではありません。むしろ、彼らの気持ちをすべて分かった気になって勝手に代弁することこそ無礼だと思います。なので「私はこう思います」「私はこう育ちました」「こういう動画がありますよ」と言うことしかできない訳です。
▼過敏に人種差別に反応すること自体が人種差別的だという意見
信じられないかもしれませんが、私はこれに強く同意しています。大学時代に人種差別について学んでいたその時からです。ハーフとして日本に生まれてしまったがために、普通の人として生きることを許されていない私からすれば、肌の色やルーツで私自身を判断されないことほど幸せなことはありません。なので、実際に第三者が特に何も意識していない人たちに対して過敏に人種差別を糾弾することで人種差別が助長されることもあると思いますし、そう主張する人たちが言うように肌の色でどうこうとかいう低レベルの話はしてない、という人たちの存在は今後人種差別をなくしていく上で重要な存在だと思います。けれど、だからと言って誰かが不快だと言っていることを進んでやることもないと思うのです。
私はアメリカ人と日本人のハーフで、日本に生まれ育ちました。だからこそ今でも日本で人種差別的扱いを受けます。銀行に行けばパスポートを要求され、病院に行けば「外人の方にはできない検査なので」と検査を断られ、仕事の面接に『日本生まれ日本育ち日本国籍で第一言語は日本語の日本人です』とわざわざ備考欄に書いた履歴書を持っていくと「履歴書見ましたが、日本人で間違いないですか?」と聞かれ、日本人なのにガイジン扱いされるという類の差別をずっと受けています。だからこそ「ハーフいいな~」「やっぱガイジンって違うね」なんてことを言われると不快です。そして「そういうことは不快だから言わないで」と言うと「おまえの過去なんか知らねえよ」「ただの会話の糸口だろ」と言われてしまう。自分の好奇心を満たしたいだけの人たちや、自分だけが良ければいい人たちによって私はずっと傷つけられてきました。
差別の種類や重みは違いますが、自分にもそういう経験がある以上、人種に関して「言われたくない」「されたくない」と誰かが表明していることを誰かが無理やりしているのを見て「いいじゃん」とは言えないのです。
そして何より、ブラックフェイスを差別か差別じゃないかを決めるのは、黒人の人たちであり、私たちではないと思います。繰り返しになりますが、単純に、私は人がいやがることをわざわざしようと思いません。
▼なんでもかんでも人種差別にすんな、という人たちへ
人種差別ジョーク、実は私大好物なんです。身内ではバシバシに人種差別ジョークを炸裂させています。しょっちゅう「ごめんよく見えないわ」と言っていますし、身内の会話ではJワードやNワードが飛び交っています。
でも、これってあくまで本当に面白いから、そして身内ネタの範囲だから許されるんですよね。今回の場合は、ただ顔を黒く塗ってエディーマーフィーになりました~アメリカンポリスだから~・・・これ何が面白かったんでしょう・・・?わからない・・・深みのない人種差別ジョークをしてしまうのは危険ですし、なんにせよテレビ局がやるにはあまりに薄っぺらで笑えないジョークだったと思います。これが本当に面白かったら、結果はもっと変わっていたかもしれませんが、多くの日本人に人種差別についての知識や経験が無い以上、やはりテレビ局がやること自体が誤りだったと思います。
▼黒人の友人たちに聞いてみた
先に述べている通り、私が彼らの代わりに語ることはできないので、黒人の友人たちに「ガキ使のブラックフェイス見てどう思った?」と聞いてみました。
- A
「ただただイタい。それだけ」
- B
「リアルタイムで見ていたんですが、なんなんこれふざけてんの?と思いました。とんでもないですよ。肌の色はコスチュームじゃないですから。けれど、それも仕方ないことだとも思います。なぜなら日本はアメリカではないからです。差別の歴史がないので、これを企画した人たちには悪意がありません。なんにせよ一番大事なのはそれがどういった意図で行われたかということですね。
日本には差別がない、日本人は悪いことをしない、という意見を持っている人が日本には多いですね。この件は、そのような人たちの学ぶ機会になると思います。もし他の人の考え方を学ぶと、レイシズムじゃない!と言っている人たちも理解できるかも。怒らないで反応するのが一番いいと思います。
学ぶことすらしようとしない人には怒りを覚えます。僕の仕事は5歳児から15歳までの子供に教えることだけど、彼らは初めて僕を見たときに『髪触らせて』とか『なんで肌がこんなに黒いの?』と何回も聞いてきます。けれど、そこから僕が外国人との交流の仕方を教えてあげられます。
大人が凝り固まった態度でいるなら、それ以上できることはないと思います。彼らの人生においてもその姿勢はよいものではないですね。
ほとんどの日本人が海外で差別された経験を持たないので、差別される気持ちが分かりません。もちろん差別される経験があることがいいという訳ではないけどね。難しいね。
日本の97%が日本人でも、世界の97%が日本人という訳ではない。たくさんの経験をした、たくさんの人たちがいます。私たちは同じ人間で、みんな幸せや悲しみ、怒りを感じます。お互いのことを理解しようとすることは、みんなのためにもいいことなのではないでしょうか」
- C
「レイシズムは笑えるんだよ、誰かが傷つくまではね。誰かが不快だと言えばやめればいい。人が傷つけばもう笑えないからね。簡単なことだよ」
- D
「かなりきわどいけど、アレックスフォーリー(エディーマーフィー)のコスプレだと思ってやったみたいだから、大きな問題だとは思わないな。ぶかぶかの服にドゥーラグかぶって『Yoビッチ、俺様は黒人だぜ』ってやったんなら話は別だけど。
節度を保って、かつ今回みたいに実際の人物を真似しようとしたなら大丈夫だよ。まあただ俺は画像を見ただけだからどれぐらいひどいのかが分からないからなんとも言えないんだけどね。
Dear White Peopleっていう映画があって、それでブラックパーティーってやつをやってるんだけど、ああいうのはアウトだよ。
一線を超えてる。コメディーでもなんでもない、ただのレイシズムだね」
- E(黒人-アメリカ人と日本人のハーフ)
「うーん、それが面白かったら俺は別に気にしないけど、普通9割が面白くないよね(笑)
映画Tropic Thunderはマジ傑作だったけど、その他でブラックフェイスしてんの見るとだいたい呆れちゃうね。
どう感じるかは人それぞれだと思うよ。俺の友達の中にはブチギレる連中が確実にいると思うけどね(笑)
黒人を本当に完コピして『はは、確かに俺たちそういう風にもの言うわw』とか『そういう喋り方とか仕草する奴知ってるわw』とか思わせるレベルに仕上げるならいいけど、ただ見た目を似せたいだけなら消え失せろって感じかな」
こういった具合で、完全に意見が別れてしまいました。
ちなみにこちらの動画ではBuzzFeedのスタッフたちがブラックフェイスを強く否定していて、ハフィントンポストが2015年におこなった調査では白人のアメリカ人52%が問題ないと答え、黒人のアメリカ人55%が容認できないと答えたとあります。
更に、日本に住む作家の黒人男性も今回の件でハフィントンポストの取材を受けています。
▼意識調査してみた
私もツイッターで調査をしてみましたが、ブラックフェイスをレイシズムと思うか思わないかというアンケートではほぼ50/50という結果が出ました(まだ集計中-2018/1/4現在)。
これだけきれいに分かれてしまうといよいよどうしていいかわからない、という人もいるのではないでしょうか?
けれど重要なのは、黒人の人々の中には実際にブラックフェイスを容認できないとしている人たちがいるという事実かと思います。
▼史実
あまり私の口からは語りたくないところなので、映画Roots、Mississippi Burning、Freedom Writersなどを見ることをおすすめします。
▼おわりに
今回これをツイートすることで、みんな「またイタいババアがキャンキャン言ってるわ」と思ったことかと思います(まだ25歳ですけどね!)。けれど、私にとっては日本人の人たちがブラックフェイスをどうとらえているのか、人種差別をどうとらえているのかを知れるいい機会になりました。ただ、ブラックフェイス関係なく私個人の誹謗中傷を送ってきた人たちに対しては何がしたかったのか疑問しか残りませんが・・・(笑)
こうして「それは人種差別だよ、よくないよ」と言うことで「人種差別っつってるてめーの方がもっと人種差別脳だろうが!」というお返事をいただいて初めて、なるほどそう考えてくれる人もちゃんといるのか!と気づけました。
ただ一方で、「自分さえよければいい」という人たちの多さも目につきました。「自分さえ笑えれば誰が傷ついてもいい」「傷つくのは傷ついてる奴が悪い」「おまえらの過去なんか知らねえわこっちにそれを押し付けんな」といった、不快感を表している人たちの過去や歴史を侮蔑するような人たちが一定数いることも知れたのでまたひとつ成長できたと勝手に思っております。
私に暴言を吐き続けてくれた人たちがいたおかげで、この記事を書くこともできました。ありがとうございます。
それでは、この記事をもって私からのこのお話は終わりにさせていただきます。あとはご自由に調べるなり議論するなりしてください。(すみません、私はもう疲れました)
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