日本株反落、米金利低下や円高で金融や輸出安い-先物主導午後崩れる

更新日時
  • 米10年債利回りは7bp低下、9月以来で最大の下げ
  • 為替市場では円高進む、ドル・円相場は20日以来の1ドル=112円台

28日の東京株式相場は反落。米国の長期金利が大きく低下し銀行や保険など金融株が下げたほか、午後に入り為替の円高が進み電機や輸送用機器といった輸出関連にも売りが増加した。銀行は東証1部業種別下落率1位。

  TOPIXの終値は前日比10.76ポイント(0.6%)安の1819.03、日経平均株価は同127円23銭(0.6%)安の2万2783円98銭。

  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは「日本株は先行きの期待がかなり織り込まれ、上値を追うには成長率の上向き確度がさらに上がるような材料が必要」だとした上で、「米国でイールドカーブがフラットニングしたことはグローバルの金融機関に対するプレッシャーになる」と述べた。

  27日の米10年債利回りは7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて2.41%と9月以来最大の下げとなった。「米税制改革によって米インフレ期待は高まったが、年末年始の重要指標を控えていったん現実を確認しようとの市場心理がある」と、野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは指摘。米長期金利がことしの節目となっている2.5%を明確に上抜けるには「米景気が上振れしながら来年の利上げ回数が3回、4回と増えてくる必要がある」と言う。

  株価指数は午前に底堅く推移したものの、午後に入り為替市場で20日以来の1ドル=112円台にドル安・円高が進展すると、先物主導で売りが膨らんだ。北朝鮮が人工衛星かミサイルの発射準備を進めている可能性があるとCNNが報じたことや、韓国が投機熱を抑え込むため一部の仮想通貨取引所を閉鎖する可能性を含め選択肢を検討していると発表し、仮想通貨ビットコインが再び急落したことなども投資家心理を冷やした。

  もっとも、午後の下げについては「薄商いの中でリスクの高い商品のロングを外す整理売りや短期筋の先物売りなどが要因。相場が順調に上がってきた中で、下値では買いたい向きも待ち構えており、大きなトレンドではない」と、三井住友信託の瀬良氏は話していた。

東証内

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  東証1部33業種では銀行や証券・商品先物取引、石油・石炭製品、保険、その他製品、その他金融など29業種が下落。非鉄金属や電気・ガス、鉄鋼など4業種は上昇した。

  売買代金上位ではビットコイン急落からSBIホールディングスが下落、SMBC日興証券が業績予想を減額した日本水産、純利益予想を減益にした日本板硝子も下げた。半面、銅市況高で住友金属鉱山が買われ、地政学リスクの高まりから石川製作所など防衛関連株の一角は大幅高。

  • 東証1部売買高は9億9736万株、売買代金は1兆7306億円
  • 値上がり銘柄数は606、値下がりは1353
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