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2018年1月3日 19:00

新春アニメプロデューサー放談(3)バンダイビジュアル杉山潔氏 「肝心なのは、作品そのものを面白いと思ってもらえるかどうか」

「ガールズ&パンツァー 最終章 第1話」キービジュアル

「ガールズ&パンツァー 最終章 第1話」キービジュアル

(C) GIRLS und PANZER Finale Projekt

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アニメメーカーのプロデューサーが、2017年を振り返る特別企画。第3回(※)は、公開中の「ガールズ&パンツァー 最終章 第1話」を手がけるバンダイビジュアル杉山潔プロデューサーに、5年におよぶ「ガルパン」のこれまでの足跡や、深く感銘をうけたという「この世界の片隅に」の魅力について語ってもらった。

※放談の掲載は、原則取材を行った順

取材・構成/五所光太郎(アニメハック編集部)

――杉山さんにとって、2017年はどんな1年だったでしょうか。

杉山:ひとことで言うと怒涛(どとう)のような1年でした。手がけた作品としては、15年11月の劇場版(「ガールズ&パンツァー 劇場版」)の次作が、昨年12月に公開された「最終章 第1話」だったため、のんびりしていたように見えるかもしれませんが、まったくそんなことはなくて、普通に作品を作っている以上に慌しかったですね。「シネマティック・コンサート」や、「オーケストラ・コンサート」の再演(「ガールズ&パンツァーオーケストラ・コンサート~Herbest Musikfest2015~追加公演」)など、ありがたいことにアニメ本編から派生した催しを数多くやらせていただくことになり、コンテンツの規模も大きくなってきました。
 かつては、作品を作ってテレビや劇場でかけたあと、最終的にビデオグラムで回収していくシンプルなビジネスモデルでしたが、弊社でいいますと、例えば「ラブライブ!」のように、アニメーションをひとつの核としながらも、その周辺が大きく広がっていくような作品がでてきました。はからずも自分が関わった「ガールズ&パンツァー」もそれに近い状況となり、そうした経験がない本人が右往左往する。そんな戸惑いにみちた年だったような気がします。

――「ガールズ&パンツァー」(以下、「ガルパン」と略)のテレビ放送は約5年前、劇場版の公開は約2年前になります。「ガルパン」は長い間、作品の熱がさめないまま、ファンの裾野が広がり続けている貴重な作品だと思います。

杉山:本当にありがたいことです。商品化の幅もすごく広がって、フィギュアなども複数のメーカーさんからお声がけいただくようになりましたし、書籍もアニメムックや資料集のようなものだけでなく、つい最近も、(作中のキャラクターである)秋山優花里が古今東西の戦車映画を解説する本(「不肖・秋山優花里の戦車映画講座」廣済堂出版刊)なども出ました。アニメ本編だけで完結した作品では、ありえない企画だと思います。

2017年11月19日に行われた「大洗 あんこう祭」

2017年11月19日に行われた「大洗 あんこう祭」

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――「ガルパン」のテレビシリーズを作られているとき、ここまで息の長いタイトルになると思われていましたか。

杉山:オリジナル作品ですし、どんな反響になるか、まったく予想がつかなかったです。12年にテレビ放送がはじまったときは、かけた費用をちゃんと回収できて、出資してくださった皆さんに少しでもお返しできればいいなぐらいの気持ちでした。それが幸せなスタートをきり、15年の劇場版では新たに多くの方々がファンになってくださったおかげで商品展開がさらに広がっていくという、とてもいいスパイラルができました。そして何より、翌16年には新作がないにも関わらず、大洗(茨城県東茨城郡大洗町)で開催されたイベントには、たくさんのファンの方にきていただきました。そうした状況はまったくの想定外でしたし、そうしたありがたい反響に応えるべく、ひたすら仕事をしてきた1年でした。

――立川の映画館シネマシティでの「極爆上映(極上爆音上映)」も、アニメ映画の新しい楽しみ方を提示したと思います。

杉山:シネマシティさんに「劇場版」をかけていただいて、アトラクション的に音を楽しむ鑑賞の方法が生まれ、それが4DXでの上映につながっていきました。「劇場版」の上映については、音響監督の岩浪(美和)さんが、自分たちの作った音を想定した環境でファンに届けたいと、手弁当に近いかたちで各地の映画館をまわってくれました。ご自分が前面にでて、「映画の音ってこういうものなんだよ」と地道に啓蒙してくれたおかげで、今の盛り上がりがあります。そこまでやってくださるスタッフって、なかなかいないと思うんですよ。仕事としては、自分の担当ぶんを納品すれば責任をまっとうして完結ですからね。「ガルパン」では、主要なスタッフが作品が終わったあともずっと関わり続けて、いろいろな提案をしてくれました。そうした活動にファンの皆さんが応えてくださって、これまでちょっとなかったような盛りあがりが生まれた。今思うと、本当にすごいことだったんだなと思います。先日も、ファンの方のなかには、「劇場版」の鑑賞回数が3桁の方もいると聞いて驚いたところです。

――100回以上ですか。それはすごいですね。

杉山:そこまで思いいれてもらえる作品になったのは、作品の見せ方に新しい提案があったからこそだと思います。そのひとつが、最初にお話した「シネマティック・コンサート」で、無声映画の時代のように、生のフルオーケストラで画面にあわせて劇伴を演奏するという試みです。そうしたことも「劇場版」がここまでの広がりを見せてくれたからで、本当に幸せな作品だなと感じています。
 「劇場版」では、もうひとつうれしかったことがあって、それは視覚障がい者の方や聴覚障がい者の方に見ていただけたことでした。私も今回のことで再認識したのですが、視覚障がいの方は、状況を説明した音声ガイドを聴きながら、音だけの情報で映画を楽しまれるんですよね。田端にある「CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)」というバリアフリー上映を専門にやっている映画館があって、ここでも岩浪さんが音響設計をボランティアでやられていました。その繋がりもあって最初に岩浪さんに「やろうよ」と言われたときは、正直私自身ピンとこなかったのですが、やってみたら障がいのある方に作品を楽しんでいただくことができたのはもちろん、新しい上映だからと健常者のファンの方も足を運んでくれました。支配人の方から、健常者の方が視覚障がいの方の手をひいて手助けするなど、同じ映画を見にきたファン同士の交流が生まれているとのメールをいただいて、本当にうれしかったです。

――いいお話ですね。どれぐらいの規模の劇場なのですか。

杉山:30人ぐらいの劇場です。完全防音の親子鑑賞室もあって、小さなお子さんと一緒に窓から映画を見ることもできます。こうしたことは、大きな劇場ではなかなかできないことですよね。「ガルパン」で、そういうことができたのも得がたい経験でした。

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