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2017年の声優楽曲ベスト100曲(その1)

  2017年の声優楽曲をまとめていたら、今年は100まで数が増えました。
  曲数を増やしすぎたので大まかにテーマ毎にまとめました。興味のあるところだけをチェックしてもらうのがいいのではないでしょうか。(申し訳ないことにページ内リンクの付け方が分かりませんでした…)

 その1は声優アーティストと作曲家を中心に注目して73曲です。(その2はキャラクターソング中心の予定です)試聴リンクがあるものはなるべくつけました。声優に興味がある人はもちろん、声優に興味のない人にも何か引っかかってくれればいいなと願っています。
(※一部事実誤認の指摘の部分があったため訂正しています)

①10年代渋谷系ブーム通過後のネオアコ、シティポップやAORの隆盛、ディスコソウルの復権(17曲)
②90年代前半NJSに回帰するR&Bサウンド(3曲)
③自らの強みをさらに打ち出していくソロ声優アーティスト(8曲)
④多様化差別化が進み、個性を確立していく声優ユニット(4曲)
⑤激しさを増していく声優楽曲と、著名アーティストとのコラボレーション(7曲)
⑥活動休止した声優ユニットのリリース(4曲)
⑦自由な活動の場とパーソナルな表現の場としてのラジオ楽曲・企画系楽曲(6曲)
⑧声優カバー企画楽曲(3曲)
⑨インディーリリース、自主制作の声優楽曲(5曲)
⑩ベテラン勢のリリース(4曲)
⑪注目の作編曲家(hisakuni、田中秀和、佐伯youthK、伊藤翼、宮川弾)(12曲)



~10年代渋谷系ブーム通過後のネオアコ、シティポップやAORの隆盛、ディスコソウルの復権(17曲)~

■POWER OF LOVE / 宮野真守
(from AL『THE LOVE』)
作詞:宮野真守・STY 作曲・編曲:STY 

  K-POPシーンでも活躍するDenzil “DR” Remediosなどを作曲に迎えて、よりサウンドが力強くなった6thアルバム『THE LOVE』。
  アルバムリード曲である「POWER OF LOVE」は、Justin Timberlakeのようなシンガーとしてのしなやかさを持ちながら、Chance the Rapperのように現代的なグルーヴの中でゴスペル要素を取り入れたファンキーなR&Bチューンです。
  優しい包容力と少年のような無邪気さを兼ね備える彼の魅力が存分に詰まっているとともに、声優アーティストとしてトップを走る彼の音楽にも手を抜かない徹底した姿勢が伝わってきます。


■No Color / 伊藤美来
(from AL『水彩~aquaveil~』)
作詞・作曲:大西洋平 編曲:水口浩次

試聴リンク(レコチョク)

  ネオアコ~ギターポップ~ソウルを中心にアルバムをまとめあげ、アルバムトータルの完成度は2017年屈指だった伊藤美来『水彩~aquaveil~』。
  アルバム収録のこの曲は、Curtis Mayfiledの泥臭くアーシーな部分を取り入れたようなシカゴソウル的なナンバーで、あっさりとした彼女の歌い口がサウンドの泥臭さを中和して、絶妙なバランスでガールポップとして成立しています。

■LOOP DAY / Atelier LadyBird featuring 小見川千明
(from EP『夢見るグラビティ』)
作詞:山崎あおい 作曲:吉村彰一,川崎泰弘 編曲:川崎泰弘

試聴リンク(レコチョク)

  吉村彰一(Dr / Gt)と川崎泰弘(Key / Engineer)の二人による音楽制作ユニットAtelier LadyBirdがフィーチャリングヴォーカルに小見川千明を迎えて制作したEPからの一曲。
  華やかなホーンとスラップベースとドラムが軽やかにグルーヴを牽引する生々しいバンドサウンドは、Haircut100などのブルーアイドソウル系ネオアコバンドの影響も感じさせます。噛みしめる独り言のような歌詞が小見川千明の切ない歌声によってスッと心に入り込み染み込んできます。

■理想ラビリンス / 松井恵理子
(from AL『にじようび』)
作詞:下地悠 作曲:多田慎也 編曲:中村友

試聴リンク(レコチョク)

  松井恵理子の1st『にじようび』は彼女の歌唱力を活かした濃厚な仕上がりのアルバムになりました。
  シンコペートするピアノとドラムにまとわり付くようなねっとりとした彼女の歌唱は、70年代歌謡曲シンガーのそれのようであり、逡巡や戸惑いを綴るこの曲では悶々とした感情をヴォーカルで爆発させながらも、声の品の良さがスッキリとした聴き応えを保っています。

■夜明けはまだ / 斉藤壮馬
(from SG『夜明けはまだ / ヒカリ断ツ雨』)
作詞:児玉雨子 作曲:高阪昌至 編曲:松本良喜

  2017年にソロデビューした斉藤壮馬の2ndシングル。
様々な文化的素養を持つ飄々とした本人のキャラクターを反映し、斜に構えながらもその裏で熱い気持ちを秘めた、真夜中のクラブのフロアを描写した歌詞が印象的なナンバーです。ダンスフロアを描写しながらもディスコに寄り過ぎない絶妙な塩梅のフィリーソウルも、天邪鬼な彼らしさが反映されているように感じられます。

■SIDE SEAT TRAVEL / 早見沙織
(from SG『夢の果てまで』)
作詞・作曲:早見沙織 編曲:増田武史

  2017年は竹内まりやからの楽曲提供も話題になった彼女。この曲はそのシングル『夢の果てまで』の自身の作詞作曲によるカップリング曲。
  彼女曰く「キリンジやMinnie Ripertonを参考にしている」とのことで、オールドタイミーな懐かしさと優しい柔らかさが込められたAORです。

■アイマイモコ / 水瀬いのり
(from SG『アイマイモコ』)
作詞・作曲:Haggy Rock 編曲:白戸佑輔

  アコースティックギターが疾走感を持ってかき鳴らされる、爽やかで切ないネオアコ~ギターポップナンバー。
  歌謡曲的な切ないメロディーとバックの演奏を食う勢いの迫力あるヴォーカルとの取り合わせが、否応なしに初期Mr.Childrenを彷彿とさせます。

■OVER HEAT / Machico
(from AL『SOL』)
作詞:桜アス恵(TRYTONELABO) 作曲・編曲:岡野裕次郎(TRYTONELABO)

  前作に比べて格段に音がゴージャスになったMachicoの2ndアルバム「SOL」。
  アルバムリード曲のこの曲は山下達郎の「FUNKY FLUSHIN'」や「Sparkle」を思い出すようなパワフルにホーンが響き渡るファンキーなAOR。中盤以降のフュージョン的な曲展開もカッコいいです。


■Never say never end / SCREEN mode
(from AL『SOUL』)
作詞:林勇 作曲・編曲:太田雅友

試聴リンク(レコチョク)

  ヴォーカルの林勇と、ギター&ソングライター太田雅友の、SCREEN modeの二人のルーツであるブラックミュージックをテーマに制作されたアルバムからの一曲。
  テンポを落としたムーディーでセクシーなスロウバラードで、80'sブラックコンテンポラリーや90'sネオソウルへの造詣の深さを感じさせます。林勇の直情的なヴォーカルによってソフトになりすぎずにコシのある楽曲となっているのもポイントです。

■disco / TrySail
(from AL『TAILWIND』)
作詞・作曲・編曲:YUKO 

試聴リンク(レコチョク)

    直球のタイトル通りのKC and the Sunshine Band的な70'sライクな王道アッパーディスコサウンド。
  若い彼女たちらしい歌声の喧しさと朗らかさはとても健康的で、そんな意味ではABBAにも通じる安心感があります。

■HAPPY WEDDING SONG / Trignal
(from AL『Back to Basic』)
作詞・作曲・編曲:倉内達矢

試聴リンク(レコチョク)

  活動5周年で『Back to Basic』と冠したアルバムで原点回帰を図ったTriginal。
しかし過去の元気よく爽やかなKiramuneスタイルではなく、年相応の落ち着きでもって友人を祝福するウエディングソング。
  Cherry Lynnの「GO TO BE REAL」に似た大人の余裕を感じさせるソウルフレイヴァーがあり、甘すぎない優しさで包み込みます。

■こいのす☆イチャコライズ / 塩出美彩希
(from AL『こいのす☆イチャコライズ ボーカルアルバム』)
作詞:仲村芽衣子, 三ツ矢新 作曲:諸田英慈 編曲:諸田英慈, maru(project lights)

試聴リンク(youtube)

  新進アニソン系インディーレーベル「プレスター」からリリースされた新人声優シンガー塩出美彩希同名PCゲーム主題歌。
  濃厚な甘さを持つウィスパーボイスは、Daniele Vidalなどのフレンチポップスのシンガーのような雰囲気があり、曲全体をシュガーコーティングしたような強い甘々しさは病みつきになります。


■Screamin'2nite - buzz★Vibes
(from SG『Screamin’ 2nite』)
作詞:森久保祥太郎 作曲・編曲:Shinnosuke

試聴リンク(レコチョク)

  “M.K.B"こと森久保祥太郎と、元SOUL’d OUTのShinnosukeによるユニット"buzz☆Vibes"による配信シングル。
  TuxedoやChromeo直系のきらびやかなエレクトロブギーで、森久保祥太郎の過剰なヴォーカルもとにかく楽しい楽曲です。

■Don’t Worry~モノタリナイ物語~ / 野島健児
(from AL『Don’t Worry~モノタリナイ物語~』)
作詞:野島健児・松井五郎 作曲・編曲:藤谷一郎

試聴リンク(youtube)

  自主制作で音楽制作とライブ活動を続けている野島健児。セルフプロデュースの内省的な作品が続いていましたが、今作は藤谷一郎とともにソウルやディスコのテイストも導入し、軽やかで暖かくしかし強い気持ちが込められた作品となっています。
  アルバムには毎回ポエトリーリーディングの曲が収録されていて、自分らしい"声優の音楽表現"ということに対して自覚的に取り組み続けている人でもあります。

■ハニーアンドループス / 豊崎愛生
(from SG『ハニーアンドループス』)
作詞:仁科亜弓 作曲・編曲:古川貴浩

試聴リンク(レコチョク)

  本人もMVでダンスする、ダンサブルなディスコソウル。
  ロック色のあるファンキーな曲を得意とする古川貴浩らしい力強いバンドサウンドを豊崎愛生のガーリッシュなヴォーカルのフィルターに通すことで、大人かわいいガールポップとなっています。

■D・I・Y ~キミ色に染めて~ / 桃井はるこ
(from SG『星空ダンシング』)
作詞・作曲:桃井はるこ 編曲:馬場一嘉

  桃井はるこ25枚目のシングルのカップリング曲。
  ニューウェービーなシンセの裏をカッティングギターがかき鳴らさながらも、タメを抑え気味のグルーヴはスッキリとしていて、各所でディストーションギターソロが炸裂する、先日なくなったPrinceの桃井はるこ的解釈ともとれる楽曲です。

■SPLASH / 大橋歩夕
(from SG『SPLASH』)
作詞・作曲・編曲:SPOOKY ELECTRIC

試聴リンク(youtube)

  Princeの影響大と言えば大橋歩夕。スペーシーなシンセが鳴り響く中をティンバレスが打ち鳴らされるファンクハウスです。
  今作も近年の音楽制作を支えるSPOOKY ELECTRICのバックアップが敷かれており、インフォメーションではファンカラティーナという記述もありましたが、トランシーな色合いが強くニューエイジなトリップする感覚を味わえます。



~90年代前半NJSに回帰するR&Bサウンド(3曲)~

■お願いWeekend / 芹澤優
(from miniAL『only you? only me!』)
作詞:IMAKISASA 作曲:太田雅友 編曲:EFFY

試聴リンク(レコチョク)

  「自分の意志に沿わないものは提供しない」という高い意識をインタビューでも語っていた芹澤優。声優兼アイドルユニットi☆Risとしても活動する彼女の2ndミニアルバムの収録曲です。
  90年前後のニュージャックスウィングそのままの、オーケストラルヒットが繰り返し鳴り続けるファンキーなミッドテンポR&Bで、声優としての前にアイドルでもあるという意識が強く出ていて、逆にアイドルでは中々聴けない甘く強いヴォーカルが逆説的に声優らしさを感じさせます。


■Can’t Go Back / 小野大輔
(from EP『ROSA ~Blue Ocean~』)
作詞:草川瞬 作曲・編曲:中土智博

試聴リンク(レコチョク)

  ディスコ路線、ラテン路線がおなじみになってきた小野大輔も今作ではニュージャックスウィングを取り入れています。
  この曲ではオリジナルNJSの特徴的なハイハットやライドシンバルの響きは抑えめでメロウなムードも強く、そんなところはBruno Marsからの影響を感じさせます。


■JUMPER / 渡部優衣
(from AL『Vivid Station』)
作詞・作曲・編曲:Kon-K

試聴リンク(レコチョク)

  再度注目を浴びているニュージャックスウィングをKon-Kがハウス的に解釈した曲が、渡部優衣の2ndのラスト曲である「JUMPER」。
  タイトル通り軽やかに飛び跳ねるようなクラップのスネアとバッキングのキーボードがNJSのリズムを模しながらも、イーブンキックのハウスグルーヴが曲全体を推進していきます。


~自らの強みをさらに打ち出していくソロ声優アーティスト(8曲)~

■三森すずこ / 恋はイリュージョン
(from SG『サキワフハナ』)
作詞:三森すずこ 作曲・編曲:矢野博康

試聴リンク’(youtube)

  彼女のミュージカルの出自の強みを活かした、ビックバンドジャズをさらに進化させたラージジャズアンサンブル。
  ドラムどギターカッティングでリズムを引っ張ることで軽やかさとともに、ホーンの華やかさを引き立てています。そしてなにより三森すずこの水を得た魚のような生き生きとした姿には"本領発揮"という言葉が頭に浮かんできてしまいます。


■リバーサイド・ラヴァーズ(奈落の恋) / 上坂すみれ
(from EP『彼女の幻想』)
作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND

試聴リンク(youtube)

  坂本龍一の「千のナイフ」やYMOの「東風」のようなオリエンタルなテクノポップナンバー。
  テクノボーイズと上坂すみれの取り合わせならではのオールドスクールなテクノポップで、妖艶な雰囲気の中で鳴り響くローランドTRシリーズのタム音がシュールであり、上坂すみれらしい聴き手を挑発するような挑戦的な視線を感じます。

■FIRE FIRE / 小野賢章
(from SG『Against The Wind』)
作詞:Kanata Okajima 作曲:TAKAROT 編曲:TAKAROT,Shinji Tanaka

試聴リンク(youtube)

  TAKAROTのモダンでシャープなサウンドメイクが展開されるラテンファンクロック。
  ミュージカル経験豊富な彼の持ち味を活かしたダイナミックかつダンサブルな楽曲で、ライブでの彼のダンスも意識されているのが窺われます。

■モラトリアムダンスフロア / 内田真礼
(from miniAL『Drive-in Theater』)
作詞・作曲・編曲:大石昌良

試聴リンク(youtube)

  プロデューサーの冨田明宏のマーケティング力の高さが光る内田真礼のアーティスト活動。
  多幸感あるアッパーなロック、メロウなR&B、陶酔感あるEDMなどシングルだけでも楽曲は多方面に渡っていますが、やんちゃで気まぐれな彼女らしさが反映されていると思うのは、この曲のようなロカビリー~ネオGS歌謡なダンスロック。ちょっといたずらっぽく振る舞うことで逆にかわいさが引き立つ、小悪魔的な存在感を持っています。

■ワガママMIRROR HEART / 大橋彩香
(from SG『ワガママMIRROR HEART』)
作詞:真崎エリカ 作曲:加藤裕介 編曲:酒井拓也(Arte Refact)

試聴リンク(youtube)

  高速BPMでハイトーンなサビ、半音下がりパート、そして二段サビ構造という非常に難解な楽曲であっても笑顔で歌いこなす大橋彩香。
  カップリングの「ロンリーハートサンシャイン」では激しいハードコアエモチューンでもって激情を迸らせるヴォーカルを披露していて、高い歌唱力を持ちながらもそれを楽曲のために適切に使いこなせる柔軟性もある稀有な才能の持ち主です。
  さらに『BanG Dream!』内のバンドPoppin’ Partyではドラムとしてバンドを支え、『アイドルマスターシンデレラガールズ』では中心として活躍しており、現代女性声優の活動の多面性をまさに体現する存在です。

■ハートシグナル / 羽多野渉
(from SG『ハートシグナル』)
作詞:shigeo 作曲・編曲:彦田元気

試聴リンク(youtube)

  ヒットした「You Only Live Once」の続編のような同じく彦田元気(DJ Genki)によるアップリフティングなEDM。
  アッパーになりすぎずに、ブリッジなどではトロピカルハウスの上品で優雅な雰囲気を残しています。

■ターザンNight / 小野友樹
(from miniAL『パーティーマン3 ~大地のリディム~』)
作詞:Carlos K. 作曲:Carlos K., TAKAROT, Shoma Yamamoto 編曲:TAKAROT, Shoma Yamamoto, Shinji Tanaka

試聴リンク(youtube)

  エンターテイナー小野友樹の3rdアルバムは、トロピカルハウスにUK Funkyのノリを融合させたようなパーカッションが鳴り響く一曲。
 アルバムを通してライオンキングを意識したようなミュージカル的なコンセプトアルバムとなっていて、大人が本気で遊ぶとこうなるという面白さが詰まっています。


■Le paradis / 田村ゆかり
(from AL『Princess ? Limited』)
作詞:松井五郎 作曲・編曲:YASUSHI WATANABE

試聴リンク(レコチョク)

  自身のレーベル"Cana Aina"をMAGES内に立ち上げた田村ゆかりの、清竜人などを迎えて制作した約2年ぶりの新作アルバムからの一曲。
  ポリグラム時代の音源をまとめた 2015年の編集アルバム『EARLY YEARS COLLECTION』から続けて聴いても違和感のない、メランコリックな00年前後のR&Bが展開されていて、彼女がシンガーとして本来志向している部分が見えてきます。



~多様化差別化が進み、個性を確立していく声優ユニット(4曲)~

■ぼくのティンカーベル / petit milady
(from AL『petit miretta』)
作詞:lotta 作曲・編曲:松坂康司

試聴リンク(youtube)

  豪腕・工藤智美率いる声優レーベル「ZERO-A」を代表するアーティストであるpetit milady。
垢抜けなさがあった初期と比較すると作を重ねる毎に洗練が進み、4作目のアルバムとなった今作では二人のキュートでパワフルなボーカルの個性が的確にかつ存分に発揮された濃い内容のアルバムとなりました。
  特にリード曲の「ぼくのティンカーベル」はハードコアパンクのような激しさと、プログレッシブロックのようなトリッキーさを持ちながらも、ヴォーカルのインパクトで小難しさを吹き飛ばし、ひたすらにアッパーなテンションで暴れ回るジャズパンクです。声の暴力とでも言うような圧倒的なパワーはもはやNaked Cityのようですらあり、"声優らしさ"の前にこの二人にしかできない表現だと確信させます。

■Blue light / ミルキィホームズ
(from AL『横濱行進曲』)
作詞・作曲・編曲:鈴木裕明

試聴リンク(レコチョク )

  ダンスホールレゲエやムーンバートンのリズムを取り入れたダンサブルなビートでワクワク感を演出しながらも、安心感や家族的なチームワークを感じさせるユニゾンヴォーカルが彼女たちらしい一曲。
  意欲的な挑戦や変わったテイストを取り入れても、結果としてミルキィにしかならない4人の個性の立ちっぷりを再認識できます。

■"MY LIST” to you! / Aqours
(from SG『勇気はどこに?君の胸に!』)
作詞:畑亜貴 作曲:原知也 編曲:ラムシーニ

試聴リンク(レコチョク)

  メイン曲は9人のユニゾンで歌うことが多いAqours。
しかしこの曲は基本的それぞれがソロを取り、他のメンバーがドゥーワップコーラスを入れるというスタイル。
  彼女たちが活動の中で確立してきたそれぞれの個性が発揮されていて、ユニークでユーモラスな魅力が伝わってきます。

■カミサマと金魚 / A応P
(from SG『Another World』)
作詞:山本メーコ 作曲:鈴木一史(CWF)・櫻井亮(CWF) 編曲:佐々木裕

試聴リンク(レコチョク)

  2017年で活動5年のA応P。非声優ユニットとしてスタートしたA応Pが、世間の流れとメンバーチェンジを経てメンバーも声優業に進出し、徐々に声優ユニット的な在り方へと変化してきているのを感じる一曲です。
  ピコリーモのハイテンポでハードなサウンドの中でも、メンバーそれぞれの個性ある力強くケレン味たっぷりの歌い口が、"声優ユニットらしさ"を図らずとも体現しています。



~激しさを増していく声優楽曲と、著名アーティストとのコラボレーション(7曲)~

■涙 one of them / 田所あずさ
(from AL『So Whar?』)
作詞・作曲:Q-MHz 編曲:Q-MHz, 滝善充

試聴リンク(レコチョク)

  彼女のキャリア史上最も激しいエモロックチューンはQ-MHzと9mm Parabellum Bulletのギター滝善充の共作による楽曲。
  発声がストレートで綺麗な田所あずさでは朗らかになりすぎていた所を滝善充の荒々しいギターがかき回すことで、ハードコアの混沌とした激しさをもたらしています。

■ひかり、ひかり / 相坂優歌
(from SG『ひかり、ひかり』)
作詞・作曲:尾崎世界観

試聴リンク(youtube)

  相坂優歌自身のラブコールによって実現したクリープハイプの尾崎世界観とのコラボレーションシングル。情念過多タイプだった彼女に抜群にマッチする雨の中を爆走するようなエモロックで、楽曲提供が決まった時に思わず泣き崩れたという彼女の強い思い入れがヴォーカルに迸っています。
  来年に控えている大森靖子とのコラボの的確さも含めて、スタッフに彼女のキャラクターが理解された上で楽曲制作に当っていることが伝わってきます。


■サタデー・ナイト・クエスチョン / 中島愛
(from SG『サタデー・ナイト・クエスチョン』)
作詞:加藤慎一 作曲:山内総一郎 編曲:フジファブリック

試聴リンク(youtube)

  約3年越しの復活を遂げた中島愛の復活シングルはフジファブリックを迎えてのナンバー。
  Tame ImaparaやTemplesなどの10年代モダンサイケロックの影響を感じさせるサウンドで、ボンジュール鈴木とtomgggを迎えたカップリング曲「はぐれた小鳥と夜明けの空」とともに、過去の中で立ち止まらず自身をアップデートしていく気概を見せつけてくれます。


■サテライト / in NO hurry to shout(歌:ニノ(CV:早見沙織))
(from SG『アレグロ』)
作詞:江戸山こべに 作曲:NARASAKI 編曲:in NO hurry to shout

試聴リンク(youtube)

  SADESPER RECORDのNARASAKIとWATCHMANが全面的にバックアップした作品『覆面系ノイズ』の劇中バンドin NO hurry to shoutのシングルのカップリング曲。
  in NO hurry to shoutは激しいサウンドが中心で、その中でもがくように歌う早見沙織のヴォーカルも聴きどころですが、ディストーションギターで空間を埋め尽くすような浮遊感あるシューゲイズサウンドは本来的には上品な歌唱の彼女の持ち味が活かされています。

■PARTY TIME TOGETHER - IDOLiSH7[和泉一織(増田俊樹), 二階堂大和(白井悠介), 和泉三月(代永翼), 四葉環(KENN), 逢坂壮五(阿部敦), 六弥ナギ(江口拓也), 七瀬陸(小野賢章)]
(from SG『Sakura Message』)
作詞:結城アイラ 作曲:HIROTOMO・SI.V 編曲:中土智博

試聴リンク(レコチョク)

  盛り上がりのために高速化し音数を増やしていった結果、スカンク~ブラストビート的な領域まで突入してしまった楽曲。
  ドラムはメタリックな激しさなのにそれ以外は普通のポップス、というミスマッチ感が面白いですが、高速ビートには否応なしにテンションが上がってしまいます。

■ROCK WITH YOU / 緋ノ耶魔隊(Vo:寺島拓篤)
(from AL『DYNAMIC CHORD shuffleCD series 2nd vol.2 緋ノ耶魔隊』)
作詞・作曲・編曲:非公開

試聴リンク(youtube)

  氣志團よりも遡って、外道やルースターズのようなクラシカルなヤンキーロックをオマージュしたような、ブルース色の強いハードロック。
  V系ロック好きな寺島拓篤のもったいぶった粘着力ある歌いぶりが誘うようなセクシーさを醸し出しています。

■スーパーカラフル / 久保ユリカ
(from AL『すべてが大切な出会い ~Meeting with you creates myself~』)
作詞・作曲:徳田憲治 編曲:スムルース, 橋口祐介

試聴リンク(レコチョク )

  久保ユリカが学生時代から熱心なファンだったというバンド、スムルースの代表曲のカバー。
  アルバムにもスムルースが複数曲参加しており、彼女のスムルースに対する強い思い入れと、彼らが参加することがアルバム制作に対するモチベーションとなっていたであろうことが分かります。キャラクターソングでは奇矯な歌声が印象的な彼女ですが、この曲ではゆっくりと心を温めていくような優しさに満ちた歌声を聴かせてくれます。


~活動休止した声優ユニットのリリース(4曲)~

■ちゅるちゅるちゅちゅちゅ / every♥ing!
(from AL『Colorful Shining Dream First Date?』)
作詞・作曲:IMAKISASA(Wee’s Inc.) 編曲:小川裕太郎(Wee’s Inc.)

試聴リンク(youtube)

  2014年6月の結成から2017年10月の活動休止まで駆け抜けた約3年半、木戸衣吹と山崎エリイの19歳の二人のティーンエージャーの瞬間の輝きがパッケージングされた1stアルバムのリード曲。
  ロックテイストのモータウンビートが印象的な王道アイドルソングですが、男性目線の歌詞の中に挿入される妄想のようなセリフパートが古典的なアイドル像をなぞっていて、アイドル以上にアイドルらしさを全うした彼女たちを象徴しています。


■ハーモナイズ / ゆずもも(葉月柚子(CV:石原夏織), 朝比奈桃子(CV:小倉唯))
(from AL『ガールフレンド(仮) キャラクターソングシリーズ Vol.03』)
作詞・作曲・編曲:kz

試聴リンク(youtube)

  6月に突如活動休止したゆいかおりの小倉唯と石原夏織による「ハーモナイズ」は 彼女たちが声優として共演したガールフレンド(仮)のキャラクターソングでありながら、奇しくも二人の状況を重ね合わせたような楽曲になっています。
  kzのダイナミックでドラマチックなアレンジも相まって心に迫り、ロック的なアレンジでもらしさを発揮するようになった彼の編曲家としての進化も感じる曲です。


■開運!招福!炎天歌 / アース・スター ドリーム
(from SG『開運! 招福! 炎天歌』)
作詞:桑原永江 作曲・編曲:渡部チェル

試聴リンク(youtube)

  同じく12月で活動休止したアース・スター ドリームのラストシングルとなった「開運!招福!炎天歌」。
  パーカッションとホイッスルが鳴り響く濃厚なラテンファンクロックで、随所に入る合いの手や節回しで和のテイストを取り入れ、オケのトラック単体では渋みが強く出ていても、彼女のたちの溌剌とした歌声によってビビッドな彩りを加えています。


■Blue Horizon / Trident
(from SG『Blue Horizon』)
作詞・作曲・編曲:Heart’s Cry

試聴リンク(youtube)

  2016年に解散したTridentの解散ライブで披露されていた楽曲が配信にてリリース。
  TridentらしいアッパーでサイケデリックなEDMでありながら優雅さが漂っていて、他にない個性を持ったユニットであったことが改めて分かります。



~ 自由な活動の場とパーソナルな表現の場としてのラジオ楽曲・企画系楽曲(6曲)~

■Two Steps / 八代拓
(from EP『「8P」ユニットソング vol.4』)
作詞:yuiko 作曲・編曲:岩野道拓

試聴リンク(Amazon)

  若手男性声優8人によるバラエティ企画『8P』のユニットCDからの一曲。
キラキラとしたシンセとスラップベースの激しさのコントラストが鮮やかなアーバンなフュージョンAORとなっています。たどたどしさが少し残る八代拓の素直な歌唱も印象的です。

■Wonder Step!! / 櫻井孝宏
(from EP『こむちゃっとカウントダウン Vocal CD 2017』)
作詞・作曲:Q-MHz / 編曲:EFFY

試聴リンク(youtube)

  アーティストデビューはおろかキャラクターソングも希少な櫻井孝宏の歌が聴ける場として、こむちゃっとカウントダウン恒例のヴォーカルCDがあります。
  爽やかにホーンが響くAOR~ソウルで、彼のセクシーでありながらも清潔感のある歌声が爽快な一曲です。

■Radio Time prediter / 佐倉としたい大西(佐倉綾音・大西沙織)
(from SG『Radio Time Predator』)
作詞・作曲:Q-Mhz, 編曲:Q-Mhz, やしきん

  人気ラジオ「佐倉としたい大西」のテーマソング。
  アーティストデビューしていない佐倉綾音のキャラクターソングではない本人としての歌唱が聴ける貴重な楽曲です。
  やしきんらしい畳み掛けるような高速シャッフルビートに乗せて、二人の早口のような歌唱が次々と吐き出されていきます。


■song of K.E.N.P.R.O. ~社歌~ / 浅利遼太, 小松昌平, 畠中祐, 濱健人, 増元拓也, 益山武明, 逢田梨香子, 稲川英里, 北原沙弥香, 古城門志帆, 末柄里恵, 藤田茜, 内海賢太郎
(from EP『KENPROCK Festival 2017 Special Song Disk』)
作詞:内海賢太郎 作曲・編曲:西岡和哉

試聴リンク(youtube)

  賢プロダクション設立30周年を記念して開催された音楽イベント「KENPROCK Festival 2017」に伴って販売されたスペシャルCDに収録の一曲。
  西岡和哉らしい重厚なファンクロックに乗せて賢プロの錚々たる人気若手声優たちのパワフルな歌声が堪能できます。全員集合のゴチャ混ぜ感はP-Funk All Starsのようなお祭り騒ぎのようでもあります。

■WHO IS THIS? / 野村香菜子, 駒形友梨, 角元明日香
(from SG『Radi Go! / WHO IS THIS?』)
作詞:平井佑果 作曲・編曲:岡野裕次郎 (TRYTONELABO)

  スペースクラフトの新人声優、野村香菜子、駒形友梨、角元明日香によるラジオ番組「だれ?らじ」のテーマ曲。
  ラジオでのボケっぷりとワチャワチャぶりが反映された歌詞が、マーチングビートに乗せて繰り出されていきます。三人の騒がしいヴォーカルはもちろん、合いの手も各所で入って楽しげな様子が伝わってきます。

■ゴリライフ / 高橋美佳子, 高橋未奈美
(from 特典CD『たかみーのゴリラジオ ウホ!』)
作詞・作曲:高橋美佳子 編曲:森青空

 ロック的にソカを解釈したような、跳ね回るビートが楽しい一曲。
  井口裕香にも楽曲提供する音楽制作ユニットBBを主宰する高橋美佳子のソングライティング力の高さが光っています。


~声優カバー企画楽曲(3曲)~

■眩暈 / 豊永利行
(from AL『T's』)
作詞・作曲:鬼束ちひろ 編曲:田川伸治

試聴リンク(レコチョク)

  広い音域を誇る豊永利行。そのヴォーカル音域を活かしたロートーンとファルセットの二声で男声と女声を歌い分けるという驚異の楽曲。
  必要最小限のギター演奏で、Antony and the Johnsonsのような緊張感ある歌声を披露していて、特に後半の鬼気迫るヴィブラートには有無を言わさぬ説得力があります。

■だいすき / 山中真尋&白井悠介
(from miniAL『iris quartz radio Songs「Colors」』)
作詞・作曲 岡村靖幸 編曲:白石元久

試聴リンク(レコチョク)

  webラジオ「アイ♡ラジ」ヴォーカルミニアルバムに収録の一曲。
  岡村靖幸のライブでマニピュレーターを務める白石元久のアレンジによって、現行の岡村靖幸ライブのサウンドを踏襲していて、ソリッドなビートとともに二人の熱い咆哮が響きます。特に原曲にはないポエトリーパートが加わっていて、声優カバーとしての意味を新たに加えています。

■接吻 -KISS- (ボヤラジカヴァーver.) / 高橋英則&濱野大輝
(from AL『ラジ友presents DOUBLE DARE COVERS』)
作詞・作曲:田島貴男

試聴リンク(youtube)

  先のアイ♡ラジも含めたWebラジオステーション、ラジ友(RADIO TOMO)の番組パーソナリティが集結してのカバーアルバムの一曲。
  あえてORIGINAL LOVEの名曲を選んだ意味の分かる、二人の甘く官能的な歌声が堪能できる楽曲となっていて、アルバム全体を通して楽曲制作を行っているレーベルart sonicの安定したプロデュース力が結実した楽曲です。


~インディーリリース、自主制作の声優楽曲(5曲)~

■すき。 / 高井舞香
(from AL『Magistrale』)
作詞:Kimotto&野崎心平 作曲・編曲:野崎心平

試聴リンク(oficial site)

  MAUSU Divaや清桜など自社の音楽制作が盛んな声優事務所マウスプロモーション。
  この高井舞香のアルバムもイベント限定販売で一般発売はされておらず、そうなると低クオリティのものを想像しがちですが、しっかりとしたバンドサウンドを展開していて、この曲ではオルタナチックな轟音ギターと甘ったるいヴォーカルが絶妙なバランスを織りなすパワーポップです。

■Without You / hibiku
(from AL『Without you』)
作詞:hibiku 作曲・編曲:Akifumi Yatsuda

試聴リンク(レコチョク)

  hibiku名義で音楽活動する山村響の2ndアルバムからの一曲。
本人によるジャケットイラスト、物語仕立てのコンセプチュアルな構成、と入魂の作品になっていて、彼女の音楽を通しての表現に対する並々ならぬ思い入れを伝わってきます。
  この曲は神秘的なニューエイジトラックの中で、情感たっぷりのヴォーカルをじっくりと聴かせてくれます。

■*kanau* / 平山笑美
(from SG『*kanau*』)
作詞:平山笑美 作曲・編曲:丸山公詳

  こちらも新進アニソン系インディーレーベル「プレスター」のリリースによる、平山笑美の珍しいミュージックカードでの3曲入りシングル。
  タメの効いたビートでありながら、ブラックなテイストを抑えた00年代J-R&B的な切なくメロウなナンバーで、ウィスパー気味でありながらキレよく伸びる彼女の特徴的な歌声が味わえます。

■シグナル / 上間江望
(from EP『二日月のシグナル EP』)
作詞:上間江望 作曲・編曲:Heart’s cry

  2016年リリースのミニアルバム『風と言の葉』に続いてリリースされたEPの一曲。
  宙に浮かぶようなリードシンセと隙間のあるゆったりとしたドラムが後期フィッシュマンズを彷彿とさせるミッドテンポナンバーです。隙間のある演奏の中を間延びせず、しっかりと声のグルーヴを生み出していきます。

■Pieces  / 能登有沙
(from AL『Dynamis World』)
作詞:sai 作曲・編曲:有木竜郎

試聴リンク(youtube)

  StylipSでも活動する(活動休止中?)能登有沙の2ndフルアルバム。
  ハッピースタイルでフルを1枚ミニアルバム4枚、ランティスでもミニアルバムを1枚、と実はリリースキャリアは豊富な彼女。今まではアイドルとしての自分を演ずるようなガーリッシュな楽曲が、自己の感情を吐露する内省的な楽曲へと変化していて、張り上げるようなスタイルだったヴォーカルも楽曲に合わせて自然体のそれへと変化していっています。アーティストへと脱皮しようとする苦悩や試行錯誤の姿はアルバムにも刻まれています。



~ベテラン勢のリリース(4曲)~

■あのね / バナナフリッターズ
(from SG『あのね』)
作詞・作曲:安部純 編曲:武藤星児

試聴リンク(youtube)

  90年代初頭に活動していた山寺宏一・日高のり子・関俊彦によるユニット、バナナフリッターズが華麗に復活を遂げCDをリリース。
  ソウルフレイヴァー溢れる中にもリゾート感のあるAORで、タレント揃いの華やかな声の個性が存分に楽しめます。

■めんたいビートにあこがれて / 山口勝平
(from AL『メンタイコごはん』)
作詞・作曲・編曲:石田洋介

試聴リンク(レコチョク)

  以前からめんたいロックへの愛を語っていた山口勝平が全面的にめんたいロックをオマージュしたアルバムをリリース。
ジャケットにも音にも愛が溢れ出す仕上がりで、ARB「魂こがして」ルースターズ「どうしようもない恋の唄」のカバーも最早コピーというレベルになっています。
  このオリジナル曲でもルースターズ愛を感じるロカビリー色のある高速ビートロックを披露しています。

■うゐろう売り / BANANA★YU
(from AL『FULL Kabs ~伝説(レジェンド)にはまだ早い!~』)
作詞:歌舞伎台詞 作曲・編曲:BANANA ICE

試聴リンク(レコチョク)

  舞台での共演をきっかけに水島裕が中心となって井上和彦、三ツ矢雄二に声をかけ、限定ユニットとして活動し初ライブとともに解散。
  ラブライブのカバーも含むカバーアルバムで、どこまでがギャグなのかすら分からないサービス精神旺盛な姿勢が見えてきます。下町兄弟のBANANA ICEによるアルバムラストのこの曲は、声優のトレーニングでもお馴染みのうゐろう売りをラップ調に仕上げていて、業界で生き抜いてきた彼らの実力と声の迫力が存分に発揮されています。
  ちなみにダジャレのようなユニットの命名は戸田恵子。

■みらいいろ / 緒方恵美
(from AL『Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~』)
作詞:有村竜太朗 作曲:長谷川正 編曲:黒須克彦

試聴リンク(レコチョク)

  2017年はクラウドファンディングでアルバム『アニメグ。25th』を制作し、記録的な早さで支援者を集めるなど未だに人気の高さを知らしめた緒方恵美。
この曲はPlastic Treeの20周年記念トリビュートアルバムからの一曲。
  彼女のヴォーカルの癖の強さの影響元の一つに90’s V系バンドがあることが分かる、錚々たる参加メンバーの中でも見劣りしない迫力のヴォーカルを聴かせます。


~2017年もハードなトラックを量産したhisakuni(2曲)~

■Yellow Sweet / 内田彩
(from AL『ICECREAM GIRL』)
作詞・作曲・編曲:hisakuni

試聴リンク(youtube)

  内田彩の代表曲である2015年の「with you」、2016年の「Floating Heart」と、彼女のFuture Bass路線を担ってきたhisakuni。
  3rdアルバムリード曲「Yellow Sweet」はその路線の総決算となる重いビートと分厚いベースが叩きつけられる楽曲です。ミッドテンポでも曲のテンションを落とさずにファンキーなバックビートで曲を牽引していく彼の持ち味がここでも発揮されていて、一口にFuture Bassと言っても他とは違うひとひねりが加えられています。

■ミライSniper / Pyxis
(from SG『FLAWLESS』、AL『Pop-up Dream』)
作詞:結城アイラ 作曲・編曲:hisakuni

試聴リンク(レコチョク)

  hisakuniのファンキーなバックビートの持ち味が違った形で発揮されているのがPyxisのこの曲。
  House~Trap~Bmoreと目まぐるしくビートパターンを変えながらも、力強いスラップベースが終始ファンクの色合いを曲に差し入れていて、荒々しくもスタイリッシュな仕上がりになっています。



~00年代のエッジな部分を抽出していく田中秀和(3曲)~

■恋? で愛? で暴君です! / Wake Up, Girls!
(from SG『恋? で愛? で暴君です!』)
作詞:畑亜貴 作曲・編曲:田中秀和(MONACA)

試聴リンク(youtube)

  活動4年目に突入し、本来のアニメ作品のユニットとして以外の活動も増えたWake Up, Girls!。
  この曲では初期Vampire Weekendを彷彿とさせるクラップやボンゴを駆使したアフロパンクを展開し、跳ねるシンコペーションビートの上で7人の声が騒がしく暴れまわります。シングルの収録の3曲ともヴォーカルを食う勢いのトリッキーなアレンジが施されていて、MONACAのアレンジの個性=WUGの個性として認識されている部分もあり(そして一番過激なアレンジが目立つ田中秀和)、歌声と編曲の相克も聴きどころの一つとなっています。

■全力アイドル宣言♡ -Two for all Edition- / ダルタニャン(CV:本渡楓), 紫苑(CV:石原夏織)
(from SG『We are “Two for all"』)
作詞:こだまさおり/作曲・編曲:田中秀和(MONACA)

試聴リンク(レコチョク)

  同じく田中秀和の手による「全力アイドル宣言♡」は、「カレンダーガール」や「ススメ☆オトメ」のようなニューディスコ路線を経由して、そのニューディスコのスピード感を保ちながらクラシカルソウルへ回帰しています。
  新鮮な驚きとともにどこか安心感のある曲ですが、Bメロの不安定なコード進行は田中秀和らしさがあって、そんな少しの居心地の悪さも織り込む部分は、Todd TerjeやLindstrømなど現代ニューディスコのアーティストとも共通しています。

■Silent Star / サイレンススズカ(高野麻里佳)
(from EP『STARTING GATE 01』)
作詞:Cygames(corochi) 作曲・編曲:田中秀和(MONACA)

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  競馬をテーマとしたスマートフォンゲームを中心としたメディアミックスコンテンツ 『ウマ娘 プリティーダービー』  。そのウマ娘のCDシリーズ第一弾に収録された楽曲です。
  グリッチノイズを含んだ幻想的なトイトロニカな幕開けから、ストリングスの入ったメロディアスなポストロックへと移行する、00年代中盤のエレクトロニカ~ポストロックを強く意識した楽曲。
  特にヴァイオリンとギターがリードする中盤以降の展開は圧巻で、Dirty ThreeやSgt.などのようなドラマチックなサウンドの中を、呟くような高野麻里佳のヴォーカルが静かに彩りを添えています。



~泥臭いファンクをスタイリッシュに聴かせる佐伯youthK(3曲)~

■S・I・O -Salt in Ocean- / 深紫塩音(CV:濱野大輝)
(from AL『アイドルDTI「裸美rinth」』)
作詞・作曲・編曲:佐伯youthK

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  スマホゲーム『アイドルDTI』のキャラクターソングであるこの曲は濃厚にファンクを取り上げた楽曲。
  ギャグのような歌詞と匂い立つような濱野大輝の歌声の色気が全開になったうねるグルーヴのミスマッチに笑顔になってしまいます。


■さらば29 / 井口裕香
(from AL『Love』)
作詞・作曲:佐伯youthK 編曲:大久保薫

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  佐伯youthKの持ち味の一つのブラックミュージックのアーシーな部分が反映された楽曲。
  頭韻・脚韻でライムを踏み続けるラップと歌の中間のような節回しは彼ならではで、29歳をテーマにした歌詞の大人らしさと少女のかわいさを両立させながら、難なく歌いこなす井口裕香の表現力の高さに驚きます。

■とんでいっちゃいたいの / 一ノ瀬志希(藍原ことみ), 三村かな子(大坪由佳), 宮本フレデリカ(髙野麻美)
(from EP『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS MASTER SEASONS SUMMER!』)
作詞・作曲:佐伯youthK 編曲:睦月周平

試聴リンク(youtube)

  ストリングスとピアノが麗しく響く裏を静かにカッティングギターが差し込まれるエレガントなR&Bですが、サビで入るドラマチックな半音下げクリシェ進行と、ソフトなコーラスはいかにも佐伯youthKらしい楽曲。
  スタイリッシュなソウルのアレンジを得意とする睦月周平の手が加わることによってさらに洗練の度合いが進んでいるようにも感じます。



~クラシックの素養を強くにじませる伊藤翼(2曲)~

■Maybe the next waltz / 小松未可子
(from SG『Maybe the next waltz』)
作詞・作曲:Q-MHz 編曲:Q-MHz, 伊藤翼

試聴リンク(youtube)

  レーベル移籍し2017年アルバムをリリースした小松未可子。伊藤翼も参加したQ-MHzプロデュースによるアルバム『Blooming Maps』リリース後、さらに続けてリリースしたシングル曲。
  三拍子のワルツに乗せて、ジャズと室内楽クラシックとロックのダイナミズムを組みあせたような複雑で感情が交差するドラマチックな楽曲で、様々なジャンルをクラシックの器の中に流し込み破綻なく仕上げるセンスには、現代ポストクラシカルの影響も感じさせます。

■キライキライCЯY / 市杵島瑞葉 (田澤茉純) & 長谷川みい (空見ゆき)
(from AL『キラリズム』)

作詞:Soflan Daichi 作曲・編曲:伊藤翼

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  ポニーキャニオンとコンプティークによる雑誌連載とゲーム同時進行のコンテンツ『Re:ステージ!』のアルバムからの一曲。
  ハイテンポでありながらエレガンスさを失わないフレッシュなAORになっていて、女子中学生アイドルをテーマにした企画の曲らしいガーリッシュさと洗練された幻想的な雰囲気が同居しています。



~ヴェイパーウェイヴ通過後のニューウェーブを構築する宮川弾(2曲)~

■滞空時間 / 花澤香菜
(from AL『Oppotunity』)
作詞・作曲・編曲:宮川弾

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  非常にストイックな作品となった花澤香菜の4thアルバムの中でも、一際ビビッドなきらめきを放つこの曲。
  キッチュなシンセの音色はヴェイパーウェイヴムーブメントの影響を感じさせますが、グルーヴを刻みながらも抑制の効いたベースとドラムによって、花澤香菜の繊細な歌声が宙を舞うような儚くも美しい空間が作り上げられています。

■王様のカデンツァ / Wake up, May'n!
(from SG『One in a Billion』)
作詞・作曲・編曲:宮川弾

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  Wake Up, Girls!とMay'nのコラボレーションシングルのカップリング曲。
  スペーシーなシンセが各所で鳴り響き、両者の歯切れのいいヴォーカルがある種の超現実空間で鳴り響く、シュールリアリスティックでポップな世界観はPC MUSICにも似たものを感じます。


以上73曲でした。最後まで読んで下さった方がいらっしゃいましたら、ありがとうございました。どの曲もおすすめです。