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当選への戸惑いから髪形の秘密まで…バノン氏、トランプ政権の内幕暴露
【1月4日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の最側近だったスティーブ・バノン(Steve Bannon)元首席戦略官・上級顧問が、ジャーナリストのマイケル・ウルフ(Michael Wolff)氏の新刊「Fire and Fury: Inside the Trump White House(仮訳:炎と怒り──トランプのホワイトハウスの内側)」でトランプ政権の内幕を暴露している。米誌ニューヨーク(New York)と英紙ガーディアン(Guardian)、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)が掲載した抜粋部分は以下の通り(引用中敬称略、丸括弧内は補足)。
■陣営は敗北を予想
大統領選当日(2016年11月8日)午後8時すぎ、トランプが本当に勝利するかもしれないという思いもよらない大勢が判明してきた時、ドン・ジュニア(トランプの長男ドナルド・トランプ・ジュニア、Donald Trump Jr)は友人に、父のことを指してDJTはまるで幽霊のように見えたと語った。メラニア(トランプ夫人、Melania Trump)は涙を流していたが、喜びの涙ではなかった。
スティーブ・バノンがさして面白くもない観察を1時間あまり続けている間に、放心したトランプから、起きたことが信じられないトランプ、怖気づいたトランプへと次々に変わっていった。だが、最後の変身、つまり自身が米国の大統領にふさわしく、なりきれると信じる男への変身はまだだった。
■ロシアとの接触「FBIに連絡すべきだった」
陣営の幹部3人であるトランプ・ジュニア、娘婿のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner、現上級顧問)、ポール・マナフォート(Paul Manafort、当時の選対本部長)は、弁護士の立ち会いなしでトランプ・タワー(Trump Tower)25階の会議室で外国政府関係者と会うのは良いアイデアだと考えた。実際、弁護士は一人も同席しなかった。これが反逆的だとか、非愛国的、あるいはひどいことではないと思われていたとしても、私はそのすべてが当てはまると考えている。すぐFBI(連邦捜査局)に連絡すべきだった。
■「中国はナチス」
「真の敵は中国だ」とバノンは言った。中国は新たな冷戦(Cold War)の最前線にいる。中国がすべてだ。他はどうでもいい。中国に好き勝手にやらせてはならない。そんなことは一切許してはならない。単純なことだ。中国は1929~30年のナチス・ドイツ(Nazi)のようなものだ。当時のドイツ人と同じように、中国人は世界で最も合理的な国民ではある。そうでなくなるまでは。彼らもまた30年代のドイツと同様、熱狂しつつある。超国家主義の国が誕生しそうになっている。そうなってしまえば誰にも止められない。
■娘も大統領に野心
イヴァンカ(・トランプ、Ivanka Trump、大統領補佐官)とジャレッドは、ウエストウイング(West Wing、ホワイトハウス西棟)での役割について、周囲の人たちからのアドバイスを受けながら、リスクと見返りをよく考えた上で引き受けることを決めた。それは夫婦が一緒に決めたことであり、ある意味で一緒に仕事をするということだ。二人の間では本気でこう決めている。いつの日か機会が訪れれば、イヴァンカが大統領選に出馬すると。イヴァンカは米国初の女性大統領はヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)ではなく、自分だと考えて悦に浸っている。
■毒殺恐れるトランプ氏
トランプは長い間、毒殺されるのではないかと恐れてきた。彼がマクドナルド(McDonald's)で食事をするのが好きな理由の一つもそれにある。自分が来ると知っている人がおらず、食べ物は事前に安全に作られているからだ。
■側近や身内も辛口批判
トランプは夕食後に電話で話をした際、スタッフそれぞれの欠点について根拠もなくあれこれ語っていた。バノンは不誠実でいつもひどい身なりをしている、(ラインス・)プリーバス(Reince Priebus、前大統領首席補佐官)は貧弱でちび、クシュナーはご機嫌取り、ショーン・スパイサー(Sean Spicer、前大統領報道官)はばかで見た目も悪い、ケリーアン・コンウェー(Kellyanne Conway、前大統領顧問)氏は泣き虫だなどとね。イヴァンカとクシュナーに関しては、ワシントンに来るべきではなかったとも言っていた。
■あの髪形の秘密も
イヴァンカはトランプと一定の距離を置き、トランプの前後左右になでつけた髪形も皮肉交じりに周囲に語っている。イヴァンカは友人たちによくこんな裏話をしている。スカルプリダクション手術(はげ治療のために脱毛部分の頭皮を除去する手術)をした後の、てっぺんだけきれいに髪の無い頭は両横と前の髪に囲まれている。その髪の毛を全部真ん中に集めて後ろに流して、スプレーで固める。髪染めは「ジャスト・フォー・メン(Just for Men)」を使うのだが、液剤を塗ってから時間を置くほど、髪の色は濃くなる。トランプのあのオレンジ色のブロンドは短気の表れだとね。(c)AFP