相棒 season 16 元日スペシャル #10[解][字] 2018.01.01
ったくもう!
毎年毎年同じことで…
司会者は最後まで映れよバカチン!
(チャイム)
(上条喬樹)トモ。
(椎名春子)今日はトモくんの大好きなハンバーグにしたよ。
はい。
(春子)ばあちゃんの事なら心配ないからね。
お隣さんがよくしてくれるから。
(携帯電話の振動音)
(折口洋介)はい折口ですが。
(山脇重弘)山脇だ。
ああ…山脇さんですか。
折口くん君も気をつけろ。
(電話が切れる音)
(不通音)
(アナウンサー)「ただ今入ってきたニュースです」「本日早朝多摩川の東玉堤で参議院議員山脇重弘さんが溺死体となって発見されました」「玉堤署は事故と事件の両面から捜査しています」「山脇さんは参議院議員を3期務め2014年に内閣官房副長官…」
(杉下右京)おはようございます。
(月本幸子)おはようございます。
いやあ株価が上がっても一向に恩恵が感じられないのはどうしてなんでしょうかねぇ。
(冠城亘)そういえば俺たちがいる時大抵他のお客さんいませんもんね。
(せき払い)そうなんですよねぇ。
あっ…はいお弁当。
いくら歳末のパトロールがお忙しいからといってお昼抜いちゃ駄目ですよ。
ねっ頼んだら作ってくれましてね。
朝早くからすみませんね。
いいえ。
またいつでもおっしゃってくださいね。
(女性)「メリークリスマス!」
(女性)「本日クリスマス」「なんとアトリウム広場特設ステージにてサンタさんがやって来てまーす!」
(女性)「本日こちらの広場内で…」いやあおいしかったですね幸子さんの弁当。
「いつでも」って言ってたし明日もお願いしましょうよ。
君一度辞書で「図々しい」という意味を引いてみたらどうでしょうねぇ。
(銃声)
(人々の悲鳴)銃声ですねぇ。
ええ。
(人々の悲鳴)
(人々の悲鳴)右京さん!警察です。
被害者は?自力で…逃げました。
犯人がこうやってみんなに銃を向けてそれであっちの方向にダーッと走っていって…!落ち着いてください。
犯人の性別およその年齢身長体形服装などを教えて頂けますか?えっと…犯人は若い男で身長は180センチぐらいで痩せていました。
あと青いパーカと黒いコートを着てて…。
お母さん…!
(泣き声)
(社美彌子)おばあちゃんちのクリスマスパーティー楽しみだね。
(マリア)うん。
今日はママとずっと一緒なんだよね。
そうだよ。
お食事終わったらいろんなゲームして遊ぼうね。
(携帯電話の着信音)社です。
わかりました。
すぐ行きます。
ごめんねマリア。
ママね…。
マリア先に行って待ってるね。
お願いします。
(家政婦)はい。
行こうか。
(ドアの開閉音)
(アナウンサー)「本日午後2時頃江東区東有明のショッピングモールのクリスマスイベント会場で発砲事件が発生しました」「犯人と見られる若い男は銃を所持したまま逃走中との事です」
(芹沢慶二)こんなふうに顔を隠してたんじゃ誰も犯人の顔見てないっすね。
(伊丹憲一)こんな人混みでぶっ放しやがってどこの組の者だ!組関係の人間なら狙う時は仕留める気ですから足などではなく腹や頭を狙うはずです。
ええ。
銃撃の場合相手を待ち伏せするか相手のいる場所に乗り込むかまあ大体どっちかです。
組と繋がりがなければどこで拳銃なんか手に入るんだよ!自販機で売ってる代物じゃねえんだぞ!ああもう…とにかく特命は引っ込んでて!ほら!
(芹沢)はいはい…帰って帰って!ほら引っ込んでて!
(手をたたく音)ああもう…!いつも以上に気が立ってますね。
無理もありません。
拳銃を所持した犯人が逃走中という緊急事態ですからねぇ。
右京さん俺もひとつ気になる事が…。
この血痕追っかけたんですけどね…。
ここで途絶えてますねぇ。
被害者は一体どこに消えたのか。
なぜ救急車の到着を待たなかったのか。
被害者はここから車に乗ったのでしょう。
ですがここは駐車場ですから通常タクシーは入ってきません。
じゃあ自分の車を運転して…。
いえ被害者は右足を撃たれていますから運転は難しいでしょう。
恐らくもう一人誰かいた。
ここで車を止めて待っていた人物が。
あいにく防犯カメラはないですね。
(益子桑栄)おい銃弾が見つかったぞ!
(益子)おい…こいつはまずいぞ。
はあ?どうした?持ち帰って確かめてみないと断言出来ないがこれは恐らくサクラから撃たれた弾だ。
(芹沢)サクラって制服警察官に支給されてる銃って事ですか?
(中園照生)サクラが!?確かなのか?
(内村完爾)直ちに全所轄の銃器庫にあるサクラを確認させろ。
はっ!これは大問題だ。
みんなちょっと作業の手を止めて聞いてくれ!今回使われたのはサクラではないかという報告があがった。
(どよめき)直ちに全国の武器庫及びその他の確認作業に入ってくれ!
(捜査員たち)はい!
(無線)「警視庁から各所轄宛て」「現在サクラを使用した発砲事件が発生」「各所轄においては銃器庫内のサクラの残存数を確認されたし」「繰り返す。
各所轄においては…」銃撃に使われたというサクラは特定出来たの?
(石川大輔)いいえまだ…。
(堀部保)課長メディアが会見を急いでくれと言っています。
(石川)どうしますか?今の段階でサクラが使われたと公表しても何もつかめていない。
銃に関する詳細は現在調査中という事にします。
会見は50分後に。
はい。
伊丹さん現在日勤に就いている制服警察官のサクラも確認するよう本部に進言してください。
(伊丹)まさか犯人は警察官だっていうんですか?先ほどの映像を思い出してください。
(銃声)発砲の反動で腕が上がっていました。
犯人は銃の扱いに慣れていない。
つまり警察官ではない。
じゃあ犯人が制服警察官の銃を奪った。
それならすぐに報告があがってるはずだろう。
それは銃器庫のサクラも同じです。
どこからの報告もあがっていないにもかかわらずサクラを使った銃撃事件が起こった。
あらゆる可能性を考慮しましょう。
警察の銃で民間人に死者が出てからでは遅い。
(新田)この非常時に無線に応答しないなんて理解に苦しむよ。
(堺)現場の緊張感が足りないんじゃないんですかね。
まったくだ。
おい署からの連絡は聞い…。
サクラがないぞ。
(新田)自殺に使ったサクラを誰かが持ち去ったんだ。
広報課からは以上です。
何か質問はありますか?
(記者たち)はい。
(携帯電話のアラート)
(男性)気象庁の緊急災害メール?
(新田)「署に連絡」
(堺)「はい…」
(新田)「署に連絡だって」
(堺)「あっ…はいはいはい!」どうなってんだ?これ。
(伊丹)どこから撮影されたのか気づかなかったのかよ!近くに人がいなかったんです。
それは確かです!右京さん俺ちょっと…。
映像はこちら向きでした。
角度と距離を考えると…。
恐らくカメラはここ。
あっパソコンのウェブカメラ!ええ。
何者かがパソコンに侵入し遠隔操作して交番内を盗撮していたのだと思います。
おいあのパソコンすぐにサイバーセキュリティ対策本部に回せ。
伊丹さん僕が行きましょう。
映像には会見の30分前の時刻が入ってましたよね?警察は警察の銃が犯行に使用された事をつかんでいながら隠蔽しようとしたんじゃないですか?そのような事実は一切ありません。
公表が遅れたのは当該所轄署から情報があがってくるまでに若干の時間を要したからです。
隠蔽の意図などありません。
(記者)隠してたんじゃないんですか?
(記者)社課長!本当にそれでよろしいんですか?会見は以上になります!以上です!
(アナウンサー)「映像を撮影拡散させたサイバー犯の身元はまだわかっていませんがこの右下にあるQTES689がサイバー犯のハンドルネームと思われます」「警察はウェブサイトの管理者に…」
(青木年男)QTES689は気象庁の緊急災害速報メールの発信元をハッキングして例の映像を拡散したようです。
(南)奴のIPアドレスは特定出来ないのか?
(谷崎莊司)ウクライナのプロキシサーバー経由なので難しいかと…。
残る手掛かりはハッキングされた交番のPCだけか。
それは僕が担当します。
悪いけど青木くんでは力不足かと思いますが…。
谷崎くん結果を見てから言ってもらいましょうか。
お待たせしました。
パソコンへの侵入の手口はいろいろありますがハッカーが使うコードにはそれぞれ特徴があるんです。
それを見つければ過去のサイバー犯罪と照合して犯人を絞り込める。
よろしければ作業のほうを。
ではQTES689の正体に迫りましょう。
(青木)えっなんで?データが消える…。
えっ…えっ…!自爆プログラム!?あっ待って消えないで!ああ〜っ!犯人の仕掛けた罠にまんまとはまりましたねぇ。
(角田六郎)交番の風間巡査部長の死亡推定時刻は昼の12時から13時の間だそうだ。
右手に硝煙反応がばっちり残ってて自殺に間違いないらしい。
ところで本部は銃撃犯とQTES689は全く無関係な別人と考えているようですが。
ああ…人混みで拳銃ぶっ放す凶悪犯とパソコンカチャカチャやってるサイバー犯とじゃタイプが違うからな。
銃撃犯は風間巡査部長が拳銃自殺した時の銃声を聞きつけて交番に行き銃を持ち去ったというのが本部の筋読み。
その可能性かなり低いと思いますけど。
ええっ…なんでよ?住宅街の交番にもかかわらず銃声を聞いたという通報が一件もなかった。
これってやっぱりおかしいなと…。
で辺りの聞き込みをして突き止めたわけです。
午前中近くのマンションで下水管の取り換え工事をしてたのを。
つまり工事の騒音で銃声は聞こえなかったと考えるのが妥当というわけですね。
ズバリそのとおり。
…となるとホシは風間巡査部長が拳銃自殺したのを知った上で交番に行ったって事か?そりゃパソコンのウェブカメラで盗撮してればわかるでしょ。
まさか…!QTES689と銃撃犯が同一人物だっていうのか?今はスマホからパソコン操作する事も出来ますからね。
犯人は警察が風間巡査部長を発見するのをスマホで確認してから映像をばら撒く事も出来た。
あり得ますね。
少なくとも銃撃犯とQTES689は全く無関係と考えると他にもおかしな点が出てきます。
(角田)何よ?おかしな点って。
盗撮していたのが世間を騒がせて喜ぶサイバー犯であれば最もショッキングな映像を流したはずです。
それは風間巡査部長が拳銃自殺をしその拳銃を何者かが奪っていく光景です。
しかしQTES689がばら撒いたのは事態に動転する捜査員の姿だけです。
なるほど。
QTES689は自分がサクラを持ち去ったと知られないようにそこまでの映像をカットして拡散させたわけか。
サクラの銃弾は5発。
1発は風間巡査部長がもう1発は犯人が使用し残りは3発。
犯人が銃を奪った目的はなんなのか。
そもそも犯人はなぜ風間巡査部長を盗撮していたのか。
それからもうひとつ。
被害者はなぜ姿を消したのか。
(大木長十郎)課長!あっ…。
テレビ見てくださいテレビ。
おう…。
(アナウンサー)「続きまして本日午後に発生した江東区ショッピングモール発砲事件の続報です」「犯人の身元はわかっていませんが事件発生の瞬間の映像を…」
(小島麗華)この男…。
「事件現場に偶然居合わせた視聴者がスマートフォンで撮影した生々しい映像をご覧ください」
(椎名智弘)あいつの事ばあちゃんには言わないで!「当時現場に居合わせた家族連れの男性が所持していた…」
(春子)さてと…お茶でも淹れようかね。
よいしょ。
いいよ。
私もうそろそろ行くから。
それよりたい焼き冷めないうちにね。
いつもありがとうね。
お隣さんじゃない。
クリスマスにたい焼きっていうのもなんだけど…。
じゃあおやすみ。
ありがとう。
(刑事)おいこれ…。
(刑事)はい。
被疑者のパーカとマスクが江東区東有明の路上で発見された。
この地域を重点的に当たれ!
(捜査員たち)はい!一刻も早くサクラを奪って逃走中のホシを確保しろ。
(捜査員たち)はい!
(携帯電話の着信音)おっ…。
冠城亘…。
撃たれた被害者が入院してる病院がわかりました。
ええっ本当に!?嘘です。
つまりまだ被害者の行方がわかってない。
こっちは忙しいんだよ!二度と電話してくんな!すいません。
ちょっといいですか?はい。
昨日の午後2時頃…。
この辺りに止まっていた車見ませんでしたか?
(大河内春樹)風間巡査部長の異動の理由?ええ。
病気が理由の異動であれば署内の事務などもっと負担の軽い仕事があったはずです。
それがなぜ刑事課から交番だったのか。
その辺りの事情を監察官ならご存じなのではないかと。
(大河内)3カ月前の山脇参議院議員の溺死の件はご存じですね?内閣人事局長だった山脇さんですね。
その件は確か事故で決着したと聞きましたが。
雨で増水した川に誤って転落したと。
ええ。
ですが風間巡査部長は納得出来なかったようです。
理由があっての事ですね?当時彼は玉堤署の刑事課にいたんですが捜査員たちが現場に到着する少し前に上流の川岸に残されていた山脇さんの鞄の中から何かを持ち去る人物を見たという目撃者がいたんです。
(杉下の声)鞄から何かを持ち去った…。
ええ。
しかしその目撃者はのちに見間違いだったと証言を翻した。
現場となった川に着くまでに山脇さんが誰かと会って何か受け取ったというような事は…?要人の不審死という事で徹底的に捜査したようですがそういった事実はありませんでした。
しかし風間巡査部長は事件決着後も捜査を続けていてその事で抗議がきたんです。
抗議というとご遺族から?
(大河内)いえ折口官房副長官からです。
折口さんと山脇さんは共に官房副長官で以前から親しかった。
急ぎますから。
(風間博)あの晩山脇さんは公衆電話からあんたに電話したんだろ!折口さん!監察官ひとつお願いがあるのですが。
なんでしょうか?証言を翻した目撃者の名前と住所を…。
それを調べるのは私の仕事なんでしょうか?しばらく前になりますがねぇ監察官が関わった仕事に協力したような記憶があるのですがねぇ。
(ため息)昨日の2時頃?ええ。
ああ急発進した車でしょ?見ましたよ!あっ本当ですか?ええ。
ナンバーも覚えてますよ。
メモりましたから。
駐車場でなんだあの運転はって思いましたし。
ありがとうございます。
じゃあ連絡させて頂きます。
はい。
(松葉杖をつく音)
(松葉杖をつく音)あんた昨日撃たれた…。
私あなたの事をよく知ってるんですよ冠城亘さん。
あなたの周りの人間の事もね。
じゃあ当然俺が警察官だって事もご存じですよね?ちょっと失礼。
持ってませんよ警察手帳なんて。
私を公安だと思ったらお門違いです。
じゃあ俺はあんたの事なんて呼べばいいんだ?安田といいます。
この話悪い条件じゃないと思いますけどね。
もし断ったら?もうおわかりでしょう。
あなたの大切な人の人生はめちゃくちゃになる。
これまでの全てのキャリアを失い「警察」と名のつく場所にはいられなくなる。
あのその「大切な人」って言い方やめてもらえませんか?誤解を招くんで。
あんた何者なんだ?約束は守って頂きますよ冠城さん。
(麗華)駄目だ…やっぱ帰ろう。
あれ?どうしました?何よ。
あれ?このバッグ偽物ですよ。
わかってますよ。
失礼な人ね。
すみませんねぇ。
彼は根が失礼なもので。
それでまたどうして銃で撃たれた男性の事を知りたいんです?あの人を見た事があるんです。
半年くらい前知り合いの男の子と一緒にいて。
半年も前の事をよく覚えていらっしゃいましたね。
そのあとすぐにその子が失踪したから。
失踪ですか…。
ええそれで?名前は椎名智弘。
高校1年。
アパートの隣の部屋におばあさんと2人で暮らしてた。
いなくなったのは6月24日。
その前の日に…。
(麗華の声)なんか普通じゃない感じがして気になって…。
そしたらその日の晩…。
(麗華)トモくん!どうしたの?こんな夜中に。
そんな恐ろしいものを見たなんて思わなかったんだ…。
ねえ…昼間会った男になんか言われたの?あいつの事ばあちゃんには言わないで!
(麗華)なんか切羽詰まった感じだった…。
いなくなってすぐに警察に届けたんだけどトモくんあんまり学校行ってなかったから家出じゃないかって言われてきちんと調べてもらえなくて…。
きっと何か事件に巻き込まれたんだと思う。
では智弘くんのお母様は彼を産んでまもなく…。
ええ。
父親と2人で暮らしてたんですけどあの子が小学校4年生の時にその父親が大きな借金をこしらえて雲隠れしちゃったんですよ。
会社辞めてあぶくみたいな事業を起こして…。
もう本当に馬鹿な人なんですから。
でその借財のほうは?死んだ亭主の土地家屋を処分して私が返済しました。
それでこの団地に越してきたんです。
そうでしたか。
(春子)智弘は小さい時から内気な子で学校でもいじめられ友達も出来ずに…。
でもとっても優しい子なんです。
そんな子が私を置いて家出するはずがありません。
どうかお願いですから早く捜してください!わかりました。
どうですか?ええ…手掛かりになるものはなさそうですね。
智弘くんはここで寝ていたのですか?ええ。
狭っこい場所が落ち着くみたいで。
小さい頃父親の家に取り立て屋がしょっちゅう来てたからでしょうね。
ちょっと失礼。
あっ…右京さん…。
すいません。
ああ…あれ。
ん?「チームTomo」
(春子)こんなの初めて見ました。
あんなに友達作れって言ってたのに…。
なんで隠してたんだろう?どこかの飲食店のようですね。
ヘヘッ…よく撮れてるでしょ?俺が撮ってやったんですよ。
お祝いっていう事でね。
お祝いというと…?えー…なんかの大会で3人で優勝したとか言ってましたね。
この3人よくこちらに来てたんですか?えっとね…この真ん中の子が制服で前にも来てましたね。
多分そこの里中高校の生徒だと思いますよ。
さようなら。
さようなら。
真っすぐ帰るんだぞ。
真ん中の子は3年の上条喬樹ですね。
上条喬樹くん?ええ。
でも半年ほど前にいなくなっちゃいましてね。
いなくなった?家出でしょう。
元々よく授業をサボってましたから。
お手数ですが自宅の住所を教えて頂けますか?ああ…少々お待ちください。
ああ教頭先生ですか。
ええ…。
上条喬樹くんも失踪ってどういう事です?しかも半年前って智弘くんが失踪したのと同じ時期です。
冠城くんこのもう一人の少年の顔写真を生活安全総務課に照会してください。
まさか…。
(上条沙紀)少しやんちゃですけど喬樹は家出するような子じゃないんです。
本当です。
喬樹くんはよくパソコンを?ええ。
もうご飯を食べるのを忘れるくらい夢中で…。
いなくなったのは6月24日ですね?そ…そうです。
右京さん。
もう一人の少年も行方不明者届が出てました。
名前は富樫航太高校2年生。
失踪したのは…。
6月24日。
ええ。
3人は同じ日に失踪した…。
冠城くん。
あっこれ…。
ええ。
「BUGHUNTERCONTEST2017優勝」。
コンピューターのセキュリティの脆弱性を見つける大会ですねぇ。
参加するのは主にハッカーたち。
ここに3人の名前がありますね。
お祝いというのはこの事でしょうね。
しかし智弘くんの部屋にパソコンはなかったですよね。
(角田の声)なるほどな。
智弘って子の父親はコンピュータープログラマーでソフトウェアの開発会社を立ち上げて失敗したわけか。
ええ。
祖母の春子さんに確かめたところやはりそうでした。
父親の借金をかぶったおばあさんの気持ちを考えてパソコンやってるのを隠してたんだなあ。
俺は富樫航太くんの家を回ったんですが両親は豆腐屋さんを営んでましてね。
「絶対に家出じゃない。
捜してくれ」って頼まれて。
航太くんの部屋にパソコンはありましたか?ありました。
半年前この被害者の男が智弘くんの前に現れた。
そしてその晩智弘くんは切羽詰まった様子で「そんな恐ろしいものを見たなんて思わなかった」と言っていた。
そして翌日智弘くん喬樹くん航太くんの3人が失踪をした…。
そうなるな。
喬樹くんと航太くんの2人にも智弘くんと同じ事が起こったのではないでしょうか。
2人も何か恐ろしいものを見た。
そして2人の前にもこの男が現れた。
その男本部のほうでもまだ身元不明のままらしいぞ。
冠城くん君午前中に被害者の行方を追っていたんでしたねぇ。
どうなりましたか?残念ながら手掛かりなしでした。
(ため息)あんまり考えたくはないが何かやばいものを見たせいで3人が消えたんだとしたら事は深刻だぞ。
見られた側は3人の口を封じようとする。
振り返ってる…。
犯人は振り返って撃っています。
犯人はこの男に追われていた?えっ?上条喬樹くんの身長は179センチ体重68キロ。
銃撃犯は身長180センチくらいの痩せ形。
喬樹くんと一致しますねぇ…。
まさか銃撃犯がこの子だっていうのか!?あくまで可能性ですがしかしハッカーの喬樹くんなら風間巡査部長のパソコンにも簡単に侵入出来た。
あり得ますね。
待て待て。
もしそうだとしたらだよ智弘と航太はどうなったんだ?ひょっとしてこの2人はもう…。
逃走中の犯人を喬樹くんだと仮定した場合2人は生きているはずです。
なんでそうなるんだよ?この男に追われていたのだとしたら喬樹くんには例の映像を編集し自分が銃を持ち去る場面をカットする時間はなかったはずです。
つまり彼以外の誰かが映像を編集し大掛かりなハッキングで拡散させた。
智弘くんと航太くんならその技術を持っている。
ええ。
2人は喬樹くんが犯人と知られないようにして映像をばら撒いた。
恐らく喬樹くんに逃げきるチャンスを与えるために。
しかしいくら大会で優勝したからってまだ子供だぞ。
気象庁の緊急災害情報メールの発信元をハッキングするなんて出来るか?実際にカナダでは2012年に12歳の少年が警察を含む官公庁のウェブサイトをハッキングし2日間サービスを停止させました。
12歳で…。
僕の推論が正しければ3人は行動を共にしている。
つまり今も一緒に逃亡している。
仮に警部殿の言うとおりだったとしてだよこの事件と山脇さんの溺死の件一体どう関わってるんだ?そこまではまだわかりませんがねぇ。
(携帯電話の着信音)あっすいません。
(携帯電話の着信音)おお…。
はあ…いいねモテる男は。
(携帯電話の着信音)冠城です。
安田です。
その後いかがお過ごしですか?冠城さん。
(富樫航太)見つからなかったか?
(喬樹)心配すんな。
元々顔見られてないし。
(喬樹)それよりトモは?
(航太)ずっと震えてるみたいで何も食わないんだ。
ほらこれ。
あったかいの買ってきたから。
(智弘)喬樹…僕は人殺しだ。
人殺しなんだ。
トモが人殺しなら俺たちも人殺しだ。
ほら。
一口でもいいから。
食べたら少し眠れよ。
(航太)家出る時喬樹がお金隠しておいてくれてマジ助かった。
(喬樹)こう見えて俺用心深い人だから。
(航太)フフッ…。
(航太)なあ。
ん?
(航太)1人1000万手に入れられたら何もかも終わりに出来るのかな…。
(喬樹)馬鹿な事考えんなよ航太。
でもこれからどうする?ここにもいつまでもいられないし。
安田たちも警察も俺たちの事捜してる。
大丈夫。
警察が追ってるのは俺だけだから。
俺だけってなんだよそれ。
喬樹!俺たちチームだろ?そうだな…。
(有馬武人)そろそろ態度を決めて頂きませんとね。
まあ選択肢はないと思いますが。
有馬さん。
風間さんが亡くなった事はご存じですか?
(有馬)彼がこうなってあなたはむしろ安堵すべきだと思いますよ。
(携帯電話の着信音)では一両日中に結論を出してください。
(携帯電話の着信音)
(衣笠藤治)はい衣笠ですが。
(有馬)「ご無沙汰してます。
お元気ですか?」ああお久しぶりですねぇ。
何か?ちょっとお知らせしたい事がありましてね。
これが銃撃犯が着ていたパーカですか。
あっあっ…ちょいちょい…。
おい誰だよ出したの。
これ駄目だよ大事な遺留品なんだからさ。
ほら。
(ドアの開閉音)右京さん衣笠副総監が捜査本部に乗り込んできたそうです。
それも犯人の身元を特定したらしいです。
どうもありがとう。
(衣笠)では犯人特定の経緯はサイバーセキュリティ対策本部の谷崎くんのほうから。
(谷崎)えー…今年5月警察庁のデータベースサーバーに外部からの侵入がありました。
ファイル流出の痕跡はなく実害はなかったのですがその被疑者として浮かんだのが上条喬樹17歳。
(谷崎)昨晩衣笠副総監より身長体形などから銃撃犯はこの上条喬樹ではないかとのご指摘があり静脈パターン照合を行いました。
人間の手の甲の静脈は指紋と同様に固有のパターンを有しており動画または写真で照合が出来ます。
そこで今回はこの上条喬樹の右手の甲と銃撃犯の右手の甲の静脈パターンを比較したところ2つは完全に一致しました。
(衣笠)ありがとう。
いいか?この上条喬樹がQTES689であり逃走中の銃撃犯だ。
未成年といえども警察官のサクラを奪い白昼無関係な市民を銃撃した凶悪犯。
抵抗した場合は発砲をためらうな。
以上だ。
(捜査員たち)はい!
(捜査員)上条喬樹の画像を共有します。
副総監少しよろしいでしょうか?杉下分をわきまえろ!いや構わんよ。
(衣笠)なんだね?上条喬樹くんと共に大会で優勝した2人の少年が彼と同じ日に失踪しています。
しかもその失踪の前日に被害者の男性が少年の一人と接触している姿が目撃されています。
(中園)なんだと!?上条喬樹くんを含むこの3人の少年たちがなんらかの事件に巻き込まれてる可能性も考慮して事に当たるべきではないでしょうか。
よくわかった。
つまり君たちはこの大事件において重要な被疑者をつかんでおきながら今まで意図的に本部に隠していたというわけだね。
内村刑事部長これは非常に重大な服務規程違反に当たるのではないですか?
(内村)まさにおっしゃるとおりです。
杉下右京冠城亘両名を停職処分とする。
ちょ…ちょっと待ってください。
(内村)追って文書で正式な通達を出す。
行け。
(甲斐峯秋)やられたね。
衣笠副総監の後ろにはどなたかいらっしゃるようですね。
どういう事です?昨日まで本部は銃撃犯とQTES689を別人だと考えていたんですよ。
ところが衣笠副総監は当然のように同一人物だと考えその上半年前に警察庁のサーバーをハッキングした被疑者の身長と体形を記憶していた。
これはちょっとあり得ないと思いませんか?
(甲斐)誰かが彼を使って本部を動かしたんだろうね。
無論何か目的があっての事だろうけど。
その人物は初めから銃撃犯は上条喬樹くんだと知っていた可能性があります。
(携帯電話の振動音)失礼。
(携帯電話の振動音)杉下です。
(大河内)山脇さんの溺死の件で証言を翻した目撃者がわかりました。
田中茂さん。
詳しくはメールします。
あっそれからわかってるとは思いますが停職処分の正式な通達が届いたら即警察手帳は返納です。
それ以降は決して捜査…。
「ありがとうございました」
(不通音)
(ラムネをかむ音)
(田中茂)帰ってくださいよ。
警察に話す事なんてありませんから。
ご迷惑をかけるような事はありませんので。
田中さんこの男の人知ってます?この人警察官じゃないんです。
えっ?警察手帳見せなかったでしょう?そういえば…。
でも一緒に来た若い刑事さんが手帳を見せてくれたんでこの人もそうだと思って…。
ああ…その若い刑事も騙されていたんですねぇ。
やはり経験が少なかった。
ああ…それで今我々はその偽刑事の事を調べているんです。
そうなんですか。
この男が来た時の事を詳しく話してもらえませんか?その偽刑事と若いのが見間違いじゃないかってしつこく聞くんでね私言ってやったんですよ。
川べりにあった鞄から誰かが何か抜き取っていくのをこの目で見た。
見間違いなんかじゃないって。
そしたら…。
(秦野直之)ああ…息子さんいい会社に就職が決まったみたいでよかったですね。
(田中の声)なんでそんな事知ってるんだろうって思いました。
はあ…どうも。
(秦野)ところでご近所に堤貴志さんという方がお住まいですね?さあ?よく知りませんが。
(秦野)人を集めてホームレスの支援とかをしている。
あの…別に悪い事じゃありませんよね?人間っていうのは集団になると暴力的になる傾向があるんですよ。
そういう危険を未然に防ぐのは我々の仕事なんです。
その堤さん息子さんの小学校時代の同級生なんです。
息子さんが何か悪い影響を受けてないといいんですが…。
就職先の研修なんかで妙な活動をするとか…。
いやしませんよ!うちの子にはなんの問題もありません。
田中さんあの朝あなたが見たあれの事なんですがやはり見間違いだったんじゃないですか?怖くなったんです。
警察が息子の就職先であれこれ聞いて回ればそれだけで内定が取り消しになる。
それで…。
証言を翻した?それではもうひとつだけ。
あなたが目撃した男は山脇さんの鞄からどんなものを抜き取っていたのでしょう?はっきりはわかりませんでしたが何か封筒のようなものでした。
若い刑事のほうは恐らく公安ですね。
刑事事件と無関係な人間であっても必要とあらば徹底的に身辺調査を行う。
公安と考えてまず間違いないでしょう。
公安を手足のように使えるとなるともう一人の男は恐らく内閣情報調査室。
ええ。
内調のトップは長年ほぼ警備公安畑の警察官僚出身者が占めていますからねぇ。
現場で動いているこの男は内調のケースオフィサー辺りですねぇ。
となるとその後ろで糸を引いてるのは内調の幹部クラスの誰か。
しかも衣笠副総監と直接連絡を取り合えるような人物。
右京さんこれも持っていきますね。
ええ。
この状況で捜査してるのがバレたらお前さんたち間違いなく免職だぞ。
…って聞きやしねえか。
ああ課長この先何かとお願い事があるかもしれませんが…。
毎回コソコソしてる俺の身にもなってよ…。
まあまあまあそう言わずに…。
(ため息)それにしてもタイミングが良すぎないか?お前さんたちがあの子たちの事をつかんだ翌日に上条喬樹が犯人として特定されるなんて。
情報が漏れたと考えるのが妥当でしょうねぇ。
昨夜の時点で3人の事を知っていたのは僕と彼と角田課長です。
じゃあ角田課長…。
いいえ冠城くん犯人は君です。
では伺いますが一片の躊躇もなく俺を疑う理由はなんです?理由は2つあります。
1人柄。
2田中さんに会った時に君が一番にこの男の写真を見せた事。
田中さんがこの男の脅迫を受けて証言を翻したと直感しているようでした。
なぜ突然そんな直感が働いたのか。
それは君が同じ体験をしていたからです。
つまり君はこの男に脅迫を受けて情報を漏らした。
参りました。
で君は一体何を脅されていたんです?内緒です。
(手をたたく音)はいわだかまりがなくなったところで…。
こいつは安田って名乗ってました。
偽名でしょうけど。
それから事件当日安田が乗った車のナンバーわかったんで調べたんですがペーパーカンパニーの所有になっててそこから先はたどれませんでした。
そうですか。
向こうはこちらが警察手帳を失えば動けないとわかっているはずですからしばらくは接触してこないでしょう。
ところでのぞいてる人間が1人増えると目立つものですねぇ。
(角田)あっお前何やってんだよ!あの…。
杉下さんと冠城さんのお役に立ちたいなっていうか…。
たまには事件解決に貢献したいなっていうか…。
なんか僕に出来る事ありません?あっこの間の大失敗挽回しないとやばいってか。
なんでも任せてください。
お任せされたいんです今。
では本部に何か動きがあったら知らせてください。
はい。
あっついでに広報課のほうも何かあったら。
えっ?広報課なら今まさに大揉めに揉めてますけど…。
(石川)「被疑者の上条喬樹17歳は悪質なハッカー」「虚言癖があり十代前半から遊び感覚でハッキングを繰り返して」って…。
こんな内容を課長は本当に記者会見で発表するつもりなんですか?
(堀部)課長!
(石川)課長!失礼。
こんな内容とは?あっ…公安部が記者会見で発表する内容を指示してきたんです。
銃撃とサイバー犯罪の被疑者として上条の顔と名前を公開した上でこの内容で会見しろと。
(石川)「被疑者の上条喬樹17歳は悪質なハッカー」「虚言癖があり十代前半から遊び感覚でハッキングを繰り返して警察のサーバーにもサイバー攻撃を仕掛けた前歴がある」「自作のウイルス等をダークウェブで販売して利益を得ていたと思われ余罪を追及する方針」逮捕後に取り調べをしてからならまだしも逮捕前に警察が公式に発表したらマスコミは事実として書きますよ!こんな憶測発表していいんですか?これは憶測ではなく虚偽です。
特殊な技術がなければ入り込めないダークウェブはドラッグ違法ポルノ銃器人身売買等に至る闇市場の世界的な拠点となっています。
もし喬樹くんがダークウェブで犯罪に手を染めていたのなら銃など簡単に手に入る。
わざわざサクラを奪う必要などありません。
それは社さんもわかっているはずです。
課長ちょっと…。
社課長脅されてるんじゃないですか?マリアちゃんの事で。
何者かがあなたを使って事件の真相をねじ曲げようとしているのなら事はあなただけの問題では済みません。
社さん今回の事件にはあなたの古巣である内調が絡んでいる可能性が極めて高い。
マリアちゃんはあなたとロシアの諜報員ヤロポロクとの間に生まれたお子さんでしたねぇ。
ですが秘密はそれだけではないと僕は思っています。
警察上層部が事態を知ってあなたを追及した時あなたは見事に彼らを黙らせた。
私は事実を話したまでです。
乱暴されたんです。
それで出来た子供です。
確かにそうでも言わなければたとえあなたが国は裏切っていないと申し出たところで幹部たちは誰一人信じなかったでしょうねぇ。
(美彌子)杉下さん。
社さん。
あなたがスパイ容疑で逮捕されたらマリアちゃんは父親だけでなく母親も失う事になる。
そして娘のそばにいるためならば母親はどんな事でもする。
どう考えようとそれは杉下さんの自由です。
社さん発表は通常の範囲内にとどめてください。
脅迫者が秘密を暴露する前に必ず事件は解決します。
この脅迫の犯人は事件の背後で糸を引いている人物です。
喬樹くん智弘くん航太くんの3人も同じ脅迫者から逃げるために半年前に姿を…。
僕とした事が…。
冠城くん。
はい。
喬樹くんが着ていたパーカです。
新品ではありませんが清潔です。
半年間子供だけで逃げ回っていたらこうはいきません。
彼らに衣食住を保証していた人間がいた。
この場合むしろ3人をどこかに閉じ込め軟禁していたと言うほうが正しいでしょう。
彼らはそこから逃げ出したわけか…。
安田たちの手口は一貫しています。
目撃者を脅して証言を翻させる。
君を脅して情報を流させる。
社さんを脅して指示どおりの広報をさせる。
つまり相手を脅迫して思いどおりの事をさせる。
喬樹くんたちにも同じ事をしていたのではないでしょうか。
脅しネタは警視庁のサーバーに侵入した件ですよね。
ええ。
智弘くんは…。
そんな恐ろしいものを見たなんて思わなかったんだ…。
…と言っていました。
恐らく3人でやったのでしょう。
安田たちは3人を脅して軟禁した。
その目的はなんです?彼らにあるのは飛び抜けたハッキングの才能です。
安田たちはそれを使って政治家や官僚の秘密を探らせていたのではないでしょうか。
恐喝して思いどおりの事をさせるために。
そしてその標的の一人となったのが山脇内閣人事局長だった。
内閣人事局長は各省庁の幹部職員人事を一元管理しています。
ここを押さえれば官僚人事は思うままです。
恐らく山脇さんと親しかった官房副長官の折口さんも標的となっている。
待ってください。
じゃあ山脇さんは脅迫に抵抗し謀殺された?いえもしそうなら謀殺直後に山脇さんの鞄から例の封筒のようなものが抜き取られていたはずです。
(杉下の声)それが目撃されたのは翌日の早朝。
警察に彼の死の一報が飛び込んだあとです。
(冠城の声)という事は安田たちもその時初めて山脇さんの死を知って慌てて手下を現場に向かわせた。
(杉下の声)だとすれば封筒のようなものは見当がつきます。
脅迫され追い詰められた山脇さんは橋に着いてから鞄に入れた。
それじゃあ…。
そう彼は自ら命を絶つつもりだった。
恐らく抜き取られたのは遺書だったのでしょう。
(アナウンサー)「25日に発生した江東区ショッピングモールの発砲事件について新たな情報です」「これは防犯カメラの映像に映っていた人物に関する情報を警視庁広報課が発表したもので銃を持って逃走していると見られるのは17歳の少年です」「警察は現在この少年の行方を…」守るべき相手を間違えたようですね社さん。
(航太)智弘熱がひどいみたい。
(航太)喬樹…?「なんなんですか?」
(航太)これって…喬樹のお母さん…!
(沙紀)「本当にやめてください!」
(パソコンを閉じる音)安田と取引をして俺は警察に行く。
俺も行く。
駄目だ。
なんでだよ俺なんかが行ったって役に立たねえっていうのかよ。
違うそうじゃない。
じゃあなんでだよ!?安田が裏切ったら誰がトモを守るんだ?でも…。
航太は残ってトモを守ってやるんだ。
(喬樹の声)「今夜10時に地図の場所に迎えにきてくれ」
(安田)《「智弘と航太を自由にすると約束すれば警察には何も話さない」》どんな約束でもしてやるよ。
(益子)ここで作業されても困るんだよなあ。
ここ意外と見つからないと思うんですよね。
何…そっちの都合でもの言うなよお前。
大体何飯持ち込んでるんだ。
ここ飲食禁止なんだよ!ちゃんと片付けておきますから。
…ったくお前。
おいいろんなもん触るんじゃねえぞ!失礼します。
お気をつけて。
やはり説明がつきません。
どうしたんです?今回の事件でひとつだけどうしても説明のつかない余分なピースがあるんですよ。
ここ。
航太くんと智弘くんはなぜハンドルネームなどを残したのか。
喬樹くんに逃げる隙を与えるためならこれは必要ないはずです。
確かにそうですね。
QTES689…。
サクラは?
(喬樹)約束守ってくれるんだろうな?もちろんだ。
(航太)喬樹!航太…!
(航太)喬樹…。
なんだよ?おい!喬樹…喬樹…!航太!うわっ!
(喬樹)航太…?
(公安刑事)富樫航太の家に公衆電話から着信です。
(航太の母親)「航太なの?」
(航太の母親)「航太なんでしょ?」「どこにいるの?返事してよ」「航太!」
(航太)「ごめん…」
(航太の母親)「大丈夫なの?今どこ?」「心配してた…」
(秦野)公衆電話の位置特定しました。
杉並区高井戸3の7の1。
(安田)どうやら予定より早く片がつきそうだな。
(秦野)はい。
(安田)押さえろ。
(航太)嫌だ!
(航太)嫌だ嫌だ嫌だ…。
(航太)嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ…!
(航太)痛い痛い痛い!ごめんなさい。
もう許してください。
(バイクのエンジンをふかす音)
(航太)喬樹…喬樹!助けて喬樹!喬樹!
(喬樹)航太逃げろ!おい!待て!
(公安刑事)おい待て!おいやめろ!
(衝撃音)航太!
(安田)この中だ。
中を調べろ!
(物音)えっなんで…?
(智弘)ああっ!
(公安刑事たち)待て!もう…!ごめんなさい!
(智弘)うわっ!
(智弘)ああっ!シーッ!大丈夫ですか?大丈夫ですか?あっ…。
どこ連れていきます?警察は公安がいるし俺と右京さんマークされてますしね。
またご迷惑をおかけするしかないようですねぇ。
(幸子)熱だいぶ下がったみたいです。
それはよかった。
朝方まで付き合わせてしまって申し訳ありません。
いいえ。
でもどうしてこの子の居場所がわかったんですか?QTES689はハンドルネームではなく暗号だったんです。
(幸子)暗号?ええ。
智弘くんと航太くんが逃げていた喬樹くんに隠れ家の場所を知らせるための暗号です。
彼がテレビか何かで必ず見ると思ったのでしょうねぇ。
パソコンのキーボードをローマ字変換ではなくひらがな変換にして「QTES」と打つと…。
QTES…。
「たかいと」となります。
「たかいと689」。
これは高井戸689…住所ではないかと。
なるほど!それで駆けつけて彼を見つけたんですね。
ええ。
右京さん角田課長からでした。
航太くんは手術中でご両親が病院に向かっています。
持っていた写真から身元がわかったらしく。
そうですか。
それで喬樹くんは?いえ…。
一人きりで逃げているわけですか…。
(智弘)うわっ!えっ…?ごめんなさい…ごめんなさい!もう大丈夫。
心配しないでください。
僕は警視庁特命係の杉下右京といいます。
冠城です。
大丈夫。
人を殺しました。
僕人殺しです。
僕があの山脇という人の秘密を見つけたりしなければ…。
秘密ってどんな?話さなくてもいいんですよ。
山脇さんが命と引き換えに守った秘密ですから。
いいですか?智弘くん。
山脇さんが自殺したのは君のせいではありません。
彼を死に追いやったのは君に秘密を見つける事を強要しそれを使って彼を思いどおりに操ろうとした人間です。
決して君ではない。
(智弘のすすり泣き)君たち3人が安田に脅されたのは警察庁のサーバーに侵入したのがきっかけですね?システムにセキュリティの穴を見つけられるかどうか3人で試したんです。
そしたらサーバーに入れちゃって。
いくつかのファイルを開いたけどなんの事か全然わからなかった。
それで穴にパッチを当てて出たんです。
ところがその事で安田が現れた。
お前たちが見たのは特定秘密だったんだ。
(智弘)特定秘密…?国の防衛外交治安維持のための機密事項。
つまり普通の人間が見ちゃいけないものだ。
特定秘密保護法に違反すると10年以下の懲役及び1000万以下の罰金って知ってるよな?えっ?世間っていうのはな一度道を踏み外した人間を一生小突き回してやりたいと思ってる人間であふれ返ってるんだ。
人生それでおしまいだ。
おまけに1000万以下の罰金。
(智弘)い…1000万円なんて大金うちにはないです。
そうだよな。
誰だって自分の借金を家族に背負わせたくないよな。
だったら自分たちで働いて稼ぐっていうのはどうだ?3人とも子供じゃないんだし。
そしたら今回の事は目をつぶってやってもいい。
(智弘)働く…?
(智弘の声)部屋に着いてすぐ財布とスマホを取られてその時初めてリストに載っている人のパソコンやモバイルを徹底的にハッキングするように命令された。
(喬樹)いいのかよそんな事して。
(喬樹)あんた警官なんだろ?なんとか言えよ。
(安田)警察っていうのはな強い者の味方なんだよ。
力のある者は何をやっても裁かれない。
そういうふうに出来てるんだよ。
(喬樹)そんなのおかしいだろ。
この世に正義やら公正さなんてあると思ってるんだったらいい加減目覚ましたほうがいいぞ。
(智弘の声)隣の部屋に見張りがいて食事や寝る時以外は一日中ハッキングをやらされた。
でも1年我慢すれば見逃してくれるって約束で…。
山脇さんが亡くなったあとも彼の死に疑惑を抱いていた風間巡査部長を監視するよう言われたんですね?「ああ…ああ…!」「
(銃声)」あっ…!見るな。
もう嫌だ…。
もうこんなの嫌だ。
この銃手に入れて逃げよう。
何言ってんだ。
銃を持ってるってわかったら奴らも追いかけてこない。
航太…。
これ以上ここにいたら智弘おかしくなっちまうぞ!俺が見張りをまいて拳銃を取りに行く。
その隙に航太はトモを連れて逃げろ。
(智弘のすすり泣き)
(智弘の声)喬樹があんな事をしたのは僕と航太を逃がすためだったんです。
(銃声)喬樹と航太は今どこにいるんですか?航太くんは怪我をして病院に。
喬樹くんは行方がわからない。
お願いです。
喬樹を助けてください。
どんな小さな事でも構いません。
隠れ家に3人でいた時喬樹くんは何か手掛かりとなるような事を言っていませんでしたか?あっあの時…。
安田が裏切ったら航太がデータをネットに流して有馬のした事を暴露してやれ。
(杉下の声)喬樹くんは確かに「有馬」と言ったんですね?
(智弘)はい。
有馬って内調の2番手の…。
ええ。
有馬武人内閣審議官。
そういえば俺聞いた事あります。
現在の内調のトップ広瀬情報官のポストは有馬が用意したって噂。
どうやら彼がこの事件の主犯のようですねぇ。
しかし喬樹くんは一体どうやって有馬の事知ったんだ…?喬樹は安田に地図を添付したメールを送ってました。
なるほど。
添付ファイル…。
12時間前にあのパソコンからクラウドに暗号化したデータが保存されています。
(安田)12時間前?喬樹くんはウイルスを仕込んだ地図を使って安田のスマホに侵入しメールのデータを抜き取ったのでしょう。
そのメールで有馬の名前を知ったのか。
喬樹なら大事なデータを暗号化してクラウドに隠すと思います。
でも作業に使ったパソコン僕が持ち出せなくて…。
安田がスマホのデータを盗まれた事に気づけば公安の職権を利用してアカウントを凍結させデータを取り出せなくするはずです。
喬樹くんは航太くんの生死もわからず智弘くんも安田たちに連れ去られたと思っているでしょう。
彼は全てを一人で終わらせようとする。
恐らく喬樹くんは…。
(杉下の声)今所持しているサクラで有馬を狙う。
喬樹くんを止めなければなりません。
(冠城の声)しかし相手は内調の審議官です。
告発しても智弘くんの証言は一笑に付されて終わりです。
(杉下の声)今は有馬審議官本人に危険を知らせ彼からSPを要請してもらうしかありません。
その上で庁舎にとどまってもらう。
彼も命は惜しいはずです。
上条喬樹が私を狙っている?一体どんな理由があって私を狙うというのです?それはあなたが一番よくご存じのはずです。
無論職務柄逆恨みをされる事がないとは言えません。
しかし杉下さん私は大局に立って誰かがやらねばならない事をしているだけです。
どういう事でしょう?私は国を守る上で最も重要な武器はミサイルなどではなく情報だと考えています。
テロや国家間の争いにおいてはもちろん国内に潜む不穏分子を炙り出すには綿密に張り巡らされた情報網が不可欠です。
その点我が国の情報収集体制は脆弱と言わざるを得ない。
危機感を持つ人間が結集し速やかに制度を強化する必要があるのです。
制度を強化する?国民一人一人が国防の目となり耳となるよう不穏分子を見つけた際には直ちに通報する事を義務づける。
そして誰を調査するかはあなたがお決めになる。
右京さんここは…。
そうやって恐喝の材料を集めあなたの意に沿わない者を次々と排除してきたわけですか。
確かに我々は政府要人を調査する事もあります。
国家の中枢に体制を脅かすような思想の持ち主がいては困りますからね。
しかしやましい事がなければ調べられてもなんの問題もないはずですよ。
ではあなたご自身はいかがです?未成年3人を脅迫して軟禁し個人の秘密を探るよう強要するのはなんの問題もない事ですか?杉下さん国家間の争いや不穏分子の活動においてルールは存在しないのです。
あえてあなたの妄想にお付き合いすれば些末なルールにとらわれ結果脅威を増大させる事はむしろ大罪と言うべきではありませんか?絶大な権力を握る者が自らルールを破り己に都合の良いルールを人々に強要しようとするほうが大罪だと僕は思いますが。
窓際で安穏として俸給をもらいながら気の向いた事件にだけ首を突っ込むあなた方のような人間が100人いても国防にはなんの用もなさない。
あなたが我々をどう思おうと我々にはあなたを守る義務があります。
(ブザー)
(職員)「有馬審議官警視庁の方がお見えです」
(有馬)わかった。
警視庁?
(有馬)今朝広瀬情報官宛てにこんな脅迫状が届いたので。
「広瀬篤おまえが標的だ」「QTES689」QTES689というハンドルネームはニュースで全国に知れ渡っていますからね。
もちろんいたずらかもしれない。
しかし万一の場合を考えて警視庁に広瀬情報官の警護をお願いしました。
QTES689はハンドルネームじゃありません。
これあなたが捏造したものだろ。
こんなものまで用意してあなたは喬樹くんを捜査員の前におびき出すおつもりですか!もうおわかりだと思いますが上条喬樹が公安の分析どおりの人物なら逮捕後彼が何を話しても誰も信じませんよ。
広報はあんなもの公表しない。
それはどうでしょう?
(携帯電話の着信音)
(マリア)おはよう。
あっママの写真だ!
(ため息)マリア…。
世界中がママをどんなふうに言ってもマリアにはひとつだけ信じてほしい事があるの。
マリアはパパとママに愛されて生まれてきた。
信じてくれる?
(石川)おはようございます。
本日の定例会見ですが…。
(堀部)課長今朝の新聞読みました。
(美彌子)それで?正直何を信じていいかわからなくなりました。
新聞は私も読みました。
その上で何を信じるかは私の問題ではなく皆さんの問題でしょ。
(美彌子)石川くん。
はい。
上条喬樹に関する昨日の原稿を破棄してください。
責任は私が取ります。
(石川)わかりました!
(中園)QTES689のハンドルネームで広瀬情報官に脅迫文が来た。
いたずらの可能性もあるが万が一にもサクラで情報官が銃撃されれば警察史上に残る汚点となる!最大限の警備を怠るな!
(捜査員たち)はい!マジっすか?その話…。
うわっこれむちゃくちゃやばいっすよ先輩。
しかし現状上条喬樹が有馬審議官に銃口を向けたら引き金を引く前に彼は撃たれますよ。
ええ。
それを防ぎたいのです。
喬樹くんは恐らく有馬審議官と刺し違える覚悟です。
(芹沢)ええ!?しかも喬樹くんが送ったメールのウイルスは安田のスマホを経由して有馬審議官のスマホに感染している可能性があります。
もしそうなら審議官のスケジュールは全て喬樹くんに把握されてます。
だとすれば上条の狙いはここです。
14時から警察庁・内調合同の懇親会を兼ねた御用納めがあります。
会場には大小いくつものホールがあって一般人も出入りする。
はい。
会場の図面はありますか?
(芹沢)はいここに。
僕のスキルで事件解決に貢献出来るんですね?お前のスキルが喬樹くんより上だったらな。
ほう…それは聞き捨てなりませんね。
(有馬)もう結構です。
少し外してください。
(操作音)私です。
特命係は事の全容をつかんでいるようです。
椎名智弘から話を聞いたのかもしれません。
わかりました。
かくまってる場所を突き止めて智弘を押さえます。
(携帯電話の着信音)冠城です。
「安田です」「冠城さん椎名智弘の居場所ご存じですよね?」きちんと償えば人は必ずやり直せるものよ。
(智弘)どうしてそんな事言えるの?私がそうだから。
えっ?
(幸子)杉下さんたちは必ず真実を暴いてくれる。
きっとあなたたちの力になってくれると思うわ。
(チャイム)ここにじっとしていなさい。
(チャイム)誰?
(小松真琴)警視庁の小松と大木です。
ちょっ…。
あの…特命係のお二人に頼まれた角田課長の命令で警護に来ました。
(太鼓)安田には真っ赤な嘘を言っておきました。
あの嘘持って1時間です。
それで十分です。
「
(太鼓)」
(拍手と歓声)
(招待客)随分と警備が物々しいようだが例の脅迫状の件か?
(刑事)万一という事もありますので。
警察です。
ちょっとお待ちください。
警察手帳を。
あれ?あっ車に忘れてきました。
取ってきてください。
車修理中なんで。
何言ってんだ?お前。
すいませんねぇ。
現在停職中なもので。
だったら入れるわけないだろ!
(甲斐)構わんよ。
その2人は私の連れだ。
(衣笠)なるほど。
そうですか。
そういう事でしたらこの2人のおかげで何かあった場合甲斐さんに全て責任を取って頂けるというわけですね?そう考えて頂いて結構です。
失礼。
ありがとうございます。
いやあ正直今…ちょっと心配してる。
ハハッ…。
じゃあ。
情報官警備は万全ですので安心して楽しんでください。
(広瀬篤)ありがとう。
そうさせてもらいます。
折口さんお久しぶりですね。
息子さんお元気ですか?ええ。
おかげさまで。
いい施設に入れてよかったじゃないですか。
(内村)ホール関係者を含めて若い男は全てチェックしろ。
(捜査員)「了解」
(パトカーのサイレン)もう嫌だ…。
もうこんなの嫌だ。
(衝撃音)
(中園)あっ被疑者発見!カメラ2の…駐車場だ!ほら!ああっ撃った!被疑者発砲!
(非常ベル)「警視庁の有り様がなお一層国家…」
(非常ベル)先輩…先輩。
慌てるな。
(非常ベル)右京さん。
(通信員)全捜査員被疑者は銃を携帯し…。
やはり上条喬樹か…。
弾は残り2発。
陽動にのるな。
上条はどこにいるかわからん。
(内村)広瀬情報官は動かすな。
(非常ベル)
(音楽)
(内村)えっ?お…おい!あっ…。
あれ?えっちょっと…!もう…!
(どよめき)
(綿貫肇)どうしました?会場の照明が落ちました。
なんとかなりますか?今確認します。
急いで。
(司会者)「ただ今一部照明が落ちたようでございますがどうぞ皆様そのままお待ちくださいませ」「一部照明がなんらかの事情により…」
(伊丹)おい有馬審議官は?あれ?いや今までここに…。
あれ…?
(司会者)「ご自身のお席でそのままお待ちくださいませ」「今しばらくお席でお待ち頂ければと存じます」「ただ今原因の調査中でございます」
(警備員)落ち着いてください。
(施錠音)
(施錠音)
(警備員たち)落ち着いてください。
おい開かないぞ!開けてください!
(どよめき)喬樹くんその銃を下に置いてください。
どけ!
(喬樹)その有馬って奴が俺たちを脅して半年間も閉じ込めて政治家や役人のスキャンダルをハッキングさせてたんだ。
脅迫のネタをつかむために。
山脇って人はそいつに脅されて自殺したんだ。
(どよめき)これでどうだ…!
(解錠音)開いた!
(捜査員)はいどいてください!
(捜査員)すいません下がってください!どいてください!下がって下がって!来るな!
(銃声)
(人々の悲鳴)
(捜査員)下がってください!あと1発…。
あの人が自殺してトモがどんなに苦しんだかわかるか!?トモは夜中に悲鳴を上げて目を覚ますようになった。
自分は人殺しだって…。
毎晩家族の写真を見てた航太はあんたの仲間に追い詰められて屋上から落ちた。
ああ…!何をしてる!早く撃て!撃ち方待て。
(内村)「し…しかし…」ここは杉下に…。
(内村)全捜査員撃ち方待て。
よく聞いてください。
航太くんは今病院で治療を受けています。
智弘くんは安全な場所にいます。
有馬審議官のした事は僕たちが必ず明らかにしてみせます。
力のある人間は何をしても裁かれない。
そいつの手下が言ってたよ。
(喬樹)警察は強い者の味方だって。
この世に正義なんてものはないんだってな!どかないと撃つぞ!引き金を引いては君の負けです。
智弘くんは君を助けてほしいと言っていました。
君は君たちの帰りを待っている家族がいる事を忘れてはいけない。
撃ってみろこの腰抜け。
ああーっ!!
(伊丹)やめろ!待て!
(芹沢)撃つな撃つな撃つな…!
(芹沢)撃つな撃つな!これで上条喬樹の容疑は殺人未遂になりましたね。
いいえ。
彼が撃つようにあなたが仕向けたんです。
捜査員に彼を射殺させあなたの犯罪を闇に葬るために。
彼を殺そうとしたのはあなたのほうですよ。
僕がその目撃者です。
杉下警部。
彼が言ったとおり私は有馬審議官に脅されていました。
秘密を公にしない代わりに健康上の理由で職を辞せと。
全て供述します。
有馬審議官。
少しお話を伺わせてもらったほうがよろしいようですね。
私の志を継ぐ者がすでに大勢いるという事を忘れないほうがいい。
相変わらず身の振り方がお上手ですね。
さてなんの事でしょう?失礼。
(喬樹の嗚咽)ハラハラさせやがって…。
喬樹くん。
君は自分のした事に責任を取らなければなりません。
恐らく成人と同じ刑事裁判を受ける事になるでしょう。
しかし僕は今回の事で君が自分の生きている社会を諦めてほしくないと思っています。
この社会にはたくさんの不正が存在します。
君が今回体験したようにこの世に正義などないのではないかと感じる時もあるかもしれません。
正義は人間が考え出したもの。
根の弱い人工の植物のようなものだからです。
その存在を望み大切に育てる人がいなくなればたちまち枯れてしまう。
不正にのみ込まれて力のない人間は押し潰されていってしまう。
僕は君に正義と公正さを望みそれを実現しようと努力する側の人間であってほしいと願っています。
そして…。
君はそうなれる。
僕は信じています。
(泣き声)
(泣き声)トモくん!ああもう…心配したんだからもう!でもよかったね。
本当によかった。
航太!おかえり!もう…。
(航太)ただいま。
もう…心配かけるんだから!ごめんって。
(ため息)
(智弘)「喬樹!元気?」
(航太)「元気にしてるか?」
(智弘)「俺航太のところでアルバイトする事になったから」
(航太)「いやいいとは思わないけど…」
(智弘)「喬樹も戻ってきたら一緒にやろうな」
(航太)「えっ豆腐を?」
(智弘)「いや…豆腐もそうだけどまあ…」「俺たちチームだからな」
(杉下の声)僕は君に正義と公正さを望みそれを実現しようと努力する側の人間であってほしいと願っています。
そして…君はそうなれる。
僕は信じています。
(ため息)
(美彌子)上条喬樹の裁判弁護側の証人に立つそうですね。
ええ。
警察官が弁護側の証人に立つなんてどれぐらい非常識な事か右京さんわかってないみたいですね。
僕は当たり前の事をしているだけです。
まあ停職が解けて俺としては万事オーケーなんですけど…。
杉下さん。
はい。
今回の事件の事礼は言いません。
ええ。
僕たちがいようといまいとあなたは結局同じ選択をしたでしょうから。
それじゃあそういう事で。
相変わらず素直じゃないですね。
ところで冠城くん。
はい。
君が安田に脅されていた件ですがね脅しのネタは社さんだったのではありませんか?停職の通達を受けて特命係の部屋を出る時…。
では本部に何か動きがあったら知らせてください。
(青木)はい。
あっついでに広報課のほうも何かあったら。
あの段階で君はすでに有馬たちが社さんの秘密をつかんでいるのを知っていた。
君がその事で脅されていたからです。
違いますか?彼女元上司ですし。
それに右京さんなら情報が漏れたぐらいでびくともしないと思ってましたから。
冠城くん君が本当に心配したのはマリアちゃんの事だったのではありませんか?社さんが警察上層部に話した事がそのまま報道されれば一番傷つくのはマリアちゃんです。
そしてその傷は深い。
君はその事を考えた。
あっそうだ!喬樹くんの裁判の時俺傍聴席から手振りますから右京さん記念に証人席でVサインしてくれません?こんな感じで。
あっいいチャンスだ。
前から言おうと思っていたのですがね君少しは常識というものを身に着けたらどうですかねぇ。
いやあ右京さんにそう言われたくないですけどね。
それはそうと冠城くん。
はい。
今年がいい年になるといいですねぇ。
ですね。
フフッ。
(陣川公平)ただいま帰りました。
陣川くんおかえりなさい。
(岡村咲)児童相談所で出会った仲間。
なんで死んだのか…。
自殺ではないと疑っているのですか?背後には反社会的組織が存在する。
彼女は何かを抱えているようですねぇ。
2018/01/01(月) 21:00〜23:15
ABCテレビ1
相棒 season 16 元日スペシャル #10[解][字]
警察官の拳銃“サクラ”による発砲事件が発生!!
容疑者として浮上したのは3人の高校生!?
消えた被害者と暗号の謎に特命係が挑む!!
詳細情報
◇番組内容
【第10話】元日SP『サクラ』
イベント会場で発砲事件が発生。奇妙なことに、加害者のみならず被害者も行方をくらましてしまう。残された銃弾から、制服警察官に支給されている拳銃“サクラ”だと判明。その直後、交番で銃が持ち去られているのが発見される。広報課長の美彌子(仲間由紀恵)は、混乱を避けるため発表を控えようとするが、何者かが緊急災害速報メールの発信元をハッキングし、サクラ盗難の証拠を拡散してしまう
◇出演者
水谷豊、反町隆史
鈴木杏樹、川原和久、山中崇史、山西惇、浅利陽介、神保悟志、田中隆三、小野了、片桐竜次
大杉漣、仲間由紀恵、石坂浩二
【ゲスト】健太郎、小原唯和、山下真人、石原良純、篠井英介、梶原善、鶴見辰吾
◇スタッフ
【脚本】太田愛
【監督】内片輝
◇音楽
池頼広
◇おしらせ
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【番組HP】http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
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