米国、デモは敵が扇動とのイラン政府主張に反論
イラン全土に広がった反政府デモをめぐり、敵がデモをあおっているとイランが非難したこと受けて、米国のニッキー・ヘイリー国連大使は2日、「完全なナンセンス」だと反論した。
イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は同日、デモに関して初めて発言し、敵がもめ事を作り出そうとしていると非難した。
ヘイリー大使は、デモが「自然に起こった」ものだと述べ、米国はイラン情勢を協議する国連の緊急会合を呼びかける予定だと語った。
先月28日に始まったデモの死者は22人に上っている。
一方、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はイランのハッサン・ロウハニ大統領との電話会談で「自制」を求めた。両大統領は今週予定されていたフランスのジャンイブ・ルドリアン外相のイラン訪問を延期することで一致した。
米国とイランの対立
ハメネイ師は自身の公式ウェブサイトで、「ここ数日、イランの敵が資金や武器、政治、情報機関などのさまざまなツールを使って、イスラム共和国に対してもめ事を作り出そうとしている」と述べた。
専門家らは、ハメネイ師の「敵」とは、イスラエルや米国、中東地域のライバル国のサウジ・アラビアへの批判だと指摘している。
<ハメネイ師はツイッターで、「イラン人国家の尊厳と安全、進歩は、殉教者たちの自己犠牲のおかげだ。敵の残虐行為を防ぐのは、勇気と犠牲、国家への信頼だ」とコメントした>
ヘイリー大使は、イランの非難は「ばかげている」と話した上で、「イランの人々は自由を強く求めている。自由を愛する全ての人は、彼らの信条を擁護しなければならない」と強調した。
ヘイリー大使は、米国はイランの反政府デモについて協議するため、国連安全保障理事会の緊急会合を要請すると述べた。
ニューヨークで取材するBBCのナダ・タフィク記者は、平和と安全への国際的な脅威に対処する安保理において、緊急会合開催を十分な数の理事国が支持するかは不明だと話す。
ヘイリー大使はまた、「国連憲章に明記されている自由が、イランで脅かされている。数十人がすでに殺され、何百人もの人が逮捕された」と語った。
「イランの独裁制の歴史を参考にするならば、今後数日間でさらにとんでもない加害行動が起きるだろう」
イランの指導者らは、ドナルド・トランプ米大統領の一連のツイートを含め、米国の反政府デモへの姿勢に対して強く反発した。
イランの外務省報道官、バハラム・ガセミ氏は、トランプ氏は「何十人もの人が毎日殺されていることや、(中略)何百万人ものホームレスや十分な食事がない人達の存在など自分の国の国内問題」に注力すべきだと話した。
イランでは改革派や穏健派の議員たちも、この状況をうまく利用しようとしていると米国を非難した。
衝突はどこで起こっているのか
ソーシャルメディアの情報によると2日時点で、デモがさらに拡大しているようだが、真偽や正確な発生日時を確認する方法はない。
- ベフバハーンで複数の建物が燃える
- デモが北西部タブリーズに拡大
- 南西部アフワーズで、デモを鎮圧しようとした警官隊が催涙ガスを使用
- ゴハルダシュトとエスラマバド・エ・ガルブで抗議デモ
ソーシャルメディアに投稿された未確認映像では、ハマダーンの路上にデモ参加者と治安部隊が出ているほか、ラシュトで閃光爆弾か手投げ弾が投げられ、カラジの街路で火が燃えている。
(英語記事 Iran protests: US brands Tehran's accusations 'nonsense')