■「未来のレストラン」「無人(ファストフード)レストラン」「日本にも進出しヒット確実」等とメディアで話題になっていたファスト・カジュアルのイーツァ(Eatsa)が不振だ。2015年に1号店をオープンしたイーツァは注文から決済、受け取りまで全てセルフサービスで行われ、スタッフと接することなく全てが完結するファスト・カジュアル・レストラン。メニューはキヌアをベースとし肉を一切使用しないヘルシーで低カロリーなサラダボウルが中心となる。メインメニューの価格は一律7.95ドル(最近、6.95ドルから値上げした)となっている。一方で、まったくスタッフがいないわけではなく、アシスタント用のスタッフが店内におり、厨房にも料理を作るスタッフもいるとの話だ。レストラン内から料理している姿を確認することはできない。
革新的・画期的ともいえるイーツァは昨年10月、カリフォルニア州バークレーやニューヨーク・マンハッタン、ワシントンDCにある5店の撤退を発表した。しかもこれらの店はオープンから1年前後というスピード撤退となっているのだ。残っているのはサンフランシスコ市内にある2店のみ。
実はイーツァの撤退はそれ以前にもあった。ロサンゼルス郊外のショッピングセンター「ザ・ビレッジ・アット・ウエストフィールド・トパンガ(The Village at Westfield Topanga)」に2015年12月、イーツァ3号店がオープンした。サンフランシスコ市内の1号店と2号店に続きオープンした南カリフォルニア店は、オープンから1年ほどで閉店したのだ。イーツァは当初、突然の閉店を「一時的(temporary)」とし再オープンを示唆していたが、閉店から2年近く経過しても再オープンの話は聞かない。
今日はイーツァの画像を紹介しながら、8店舗(ピーク時)からわずか1年程度で2店舗となったイーツァの不振理由を明らかにする。
トップ画像:サンフランシスコに2015年にオープンしたイーツァ1号店。その後、イーツァはわずか1年程度で8店舗まで成長した。しかしそれから1年もたたずに6店舗の撤退だ。なぜか?
イーツァでは注文から決済、受け取りまで全てセルフサービスで行われ、スタッフに接することなく食事ができる、画期的なファスト・カジュアル・レストランだ。注文したものが出来ると、受け取りボックスの液晶に自分の名前が表示され、タップするだけで取り出せる。
注文は店内にある専用の端末か、スマートフォンにイーツァの専用アプリをダウンロードしてメニューをオーダーする。店内にはスタッフが一人だけ常駐し、端末でのオーダー等で困ったことがあればアシストしてくれる。
受け取りボックスの上には「現在の注文(Current Orders)」として注文者の名前(ファーストネームもしくはニックネームにラストネームのイニシャル)が表示される。トップに「Fumitoshi G.」とある。横には受け取りの「ボックス8(cubby 8)」となっている.
「ボックス8(cubby 8)」のガラス扉に「Fumitoshi G.」と映っている。名前の右側にある「タップ2回して(Tap Twice)」をタップしてガラス扉を開けるのだ。後藤が専用アプリからオーダーしたのは「パシフック豆腐丼(Pacific Tofu Bowl)」とコーヒーだ。
「パシフック豆腐丼(Pacific Tofu Bowl)」にもキヌアがたっぷり入っており、トッピングの食材はどれも新鮮で美味しかった。ボリュームもあり女性には食べきれないかもしれない。ビジタリアンなサラダ丼といっても結構、ガッツリ系だ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。イーツァのファースト・インプレッションは、ドライブインなどにあった「うどん・そば自販機」でした。イーツァのハイテクなパッと見に騙されてはいけません(笑)。うどん・そば自販機を巨大にして、IT化し、小洒落たファスト・カジュアル・レストラン仕様にしたのがイーツァです。だから流行らない。以前、クライアントから「イーツァを日程に入れたい」という意向がありましたが、日程時間(極めて短い日程)を理由に「見学するほどでもない」と省いたほどです。
イーツァの問題点は自販機ということ。注文したメニューは透明なボックスに用意されますが、皮肉にもイーツァはブラックボックスなんですね。「誰が調理しているのか?」「どうやって作っているのか?」が見えないのです。アメリカのトレンドは「情報の透明化」です。食材は透明化していますが、調理方法などはオープン・キッチンでないブラックボックスなんですね。
⇒ロボット(機械)が作っているのか?どんな人がどうやって調理しているのか?どのようなキッチンなのか?食材の保管はどうなっているのか?など全く見えないので無意識に気持ち悪いと感じてしまうのです。初めにオープン・キッチン等で展開し、お客さんに安心させてからのイーツァ仕様ならわかりますが、いきなりのクローズド・キッチンから始めた多店舗展開は難しいと思いました。
これと同じことがアマゾン・フレッシュ・ピックアップにも言えます。ドライブスルー専用スーパーのアマゾン・フレッシュ・ピックアップはダークストアです。スーパーといっても倉庫で、一般の買い物客は入っていけません。店の中で買い物ができるインストア・ショッピングはなく、倉庫となる300坪弱の「ダークストア(dark store)」に専用の駐車スペースがついた食料品の受け渡し専用拠点です。倉庫がダークボックスなので、生鮮品を選べないばかりか、どのように食品が扱われているかも見えないのです。
シカゴでアジア系ファーストカジュアル・レストラン展開するワォバォ(WOW BAO)がイーツァと契約し同システムを導入した店をオープンしています。オープンキッチンのウォバォのイーツァ系レストランが、どうなるのかが注目されます。