「自分が恥ずかしい」 樹海の自殺遺体投稿した米ユーチューバーが謝罪
ユーチューバーとして若者に人気の米国人ローガン・ポール氏が2日、山梨県の青木ケ原樹海で自殺したとみられる男性の遺体の映像を先月31日にYouTubeに投稿し、批判が殺到したことを受け、謝罪した。ポール氏は、許してもらえるとは思っていないと話している。
映像では、自殺者が多いことで知られる富士山の麓の青木ケ原樹海で、ポール氏と友人らが遺体を発見する様子が映されていた。
これに対しネット上で批判が殺到。「敬意を欠いて」おり、「すごく不快」との声も上がった。
ポール氏はその後謝罪し、「ショックと畏敬の気持ちで判断を誤った」と述べた。
ポール氏はツイッターに投稿したビデオで、「ひどい判断ミスを何度も犯した。許してもらえるとは思っていない」と謝罪した。
「ビデオを絶対に投稿するべきではなかった。カメラを置いて、自分たちがやっていることを撮るのを止めるべきだった。ほかにもいろいろなやり方はあったのに、そうしなかった」
さらに、「自分自身を恥ずかしく思う。自分にがっかりしている」とも語った。
映像は31日に投稿され、YouTubeで何百万人もが視聴したが、その後削除された。
ポール氏のYouTubeのチャンネルには、1500万人以上の登録者がいる。映像の中で同氏は遺体を発見しショックを受けながらも、冗談を言っていた。
日本は先進国の中でも自殺率が最も高い国の一つ。
青木ケ原樹海は国内外で、自殺者が多い場所として知られている。
樹海での毎年の自殺者数のデータは、樹海の認知度を高めてしまうのを避けるため、公表されていない。樹海には、自殺するのではなく、支援を求めるよう促す標識が立てられている。
ポール氏は友人らと日本に旅行し、複数のビデオを撮影。その中で、問題の15分間の映像を投稿した。
樹海に行き、「幽霊が出る」ことを主に取り上げようとしていたとビデオの中で話している。
ポール氏らは樹海の中を少し歩いたところで、遺体を発見。自分たちが遺体に近づくところを撮影した。また、顔にモザイクがかけただけの遺体を数回、接写していた。
カメラに映っていない一人が、「気分が良くない」と言うと、ポール氏は「なに、死んだ人の横に立ったことがないの?」と冗談交じりに話し、笑う様子が映っている。
自殺した男性の身元は分かっていない。
「最低な人」
ネット上では、ポール氏の行動は不適切で敬意を欠いていると非難の声が上がった。同氏のYouTubeのチャンネルの削除を呼びかける人もいた。
日本のツイッターユーザーの間でも、ポール氏の行動に嫌悪感を示し、愚かだというコメントが多数投稿された。一方で、「心霊スポット」として樹海に入るタレントを番組にするテレビ局も批判されるべきだという声があった。
<自身も妹を自殺で亡くしたアナ・アカナさんは、「ローガン・ポールへ、私の兄弟が妹の遺体を見つけたとき、兄弟は恐怖と混乱と悲しみで叫び、妹を救おうとした。あの遺体の人を、愛する人がいた。カメラを持って自殺で有名な森に入って行き、メンタルヘルスの意識を高めたかったと言い張ることはできない」とツイートした>
<エイプリールさんは、「ローガン・ポールは、自分が何をやっているか分かっていた。彼は「申し訳ない」とは思っていない。あの自殺した人と精神疾患のある人たち、そして日本に対して敬意を表していなかった。日本は世界でも最も自殺率の高い国の一つ。彼は何をやっているか分かっていた。すごく不快」とコメントした>
<フランシス・マックスウェルさんはツイッターで、「一番ひどいのは、ローガン・ポールの熱狂的なファンたちは幼い子供たちだということ。子供たちは、自分たちのアイドルが人が死んでいるのに、笑って冗談を言うのを見た。最低な人だ」と投稿した>
ローガン氏を支持する人たちは同氏の行動はミスだと述べ、許すべきだと主張した。ある人はハッシュタグ「#Logan_you_are_forgiven(ローガン、あなたを許す」」を使い、「あなたは今でも最高で、これからもずっとそうだ」とツイートした。
しかしポール氏は謝罪ビデオで、「僕の行動を擁護してくれるファンたちへ、どうか擁護しないで。擁護するに値しない行動だから」と語った。
ポール氏はまた、「自殺や自殺防止の意識を向上させることで、インターネットで大きなマイナスの影響ではなく、プラスの影響を与えたかった」と述べた。
ポール氏はビデオの中で、問題の映像からは収入を得ていないと話している。YouTubeは一定の視聴回数を超えるビデオを投稿する人たちに、お金を支払っている。BBCはYouTubeにコメントを求めたが、同社はすぐには応じなかった。
(英語記事 Logan Paul: YouTuber apologises over Japan dead man video)
東京都は自殺相談ダイヤルを設置しており、電話での相談をすることができます。