100年前の日本人が「全員結婚」できた理由

「恋愛結婚」が9割の現代は離婚率も増加

お見合い結婚と恋愛結婚の比率の推移をあらわしたグラフを見るとお見合いの衰退は顕著です。戦前戦後時期は、お見合い結婚は全体の7割を占めていましたが、今では5%程度しかありません。しかもこれは結婚相談所きっかけ(約2%)を含みますので、伝統的なお見合い結婚はたった3%程度しか存在しないことになります。そのかわり恋愛結婚が87.7%にまで伸長しています。

恋愛結婚がお見合い結婚を上回る分岐となったのは1960年代後半でした。生涯未婚率が上昇し始めたのは1990年代以降です。それよりも30年以上も前に衰退したのであれば、お見合い結婚減は未婚化には無関係だと思いますか?そうではありません。1965年に25歳だった適齢期の男性が、生涯未婚の判断基準となる50歳になった時が1990年です。つまり、お見合い結婚比率が恋愛結婚比率を下回った第1世代は、そのまま生涯未婚率上昇の第1世代となったと言えるのです。

職場婚の減少も未婚化に影響

もうひとつ忘れてはならないのが職場での出会いによる恋愛結婚です。これは分類上恋愛結婚とされていますが、当時の職場結婚もまた社会的マッチングシステムのひとつでした。お見合いよりも自由度はあったと思いますが、出会いのきっかけとしてお膳立てされていたということは事実です。しかし、この職場での恋愛は今やセクハラ問題と表裏一体。職場結婚は今後も減少していくでしょう。

お見合いと職場結婚とを合算して1960年代から現在に至る婚姻数の推移をみると、構成比は1960年代の7割から半分の31.9%にまで激減しています。当然全体婚姻数も減っていますので絶対数の減り幅は膨大です。

もっとも婚姻数が多かった1972年と直近の2015年とを比較すると、お見合いと職場結婚を合算した婚姻数のマイナス分は約46万組となり、婚姻総数のマイナス分とほぼ同等です。つまり婚姻数の減少はこれら2つのきっかけの減少分だったと言えるのです。

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  • NO NAMEb2c9a443c1ec
    浮気やDVがあっても夫婦は一生寄り添うものなのでしょうか?
    離婚が悪いことばかり言われているけれどその後の生活が幸せかどうかが大事だと思う。
    up432
    down157
    2018/1/2 07:09
  • NO NAME8efc9f99df71
    我々が常識と思っているものも、どこかで作られているんですね。ということは別の常識も作り出せるわけで、そこに希望の光を見出したいですね。
    up311
    down37
    2018/1/2 07:47
  • 経済面で答えが出てるb0ea849c825e
    経済的な観点からズバリと分析すればいい。結婚して子供を持つことが、過去に比べ、労多く益少なしになったからね。庶民はいつの時代もタフで時代の変化に敏感だ。色々な理論をこねくり回すエッセイが多いけど、経済的な理由に行き着く。ただ人は動物でもあるので子孫を残したいという本能があるから本質が見えにくくなるだけ。卑近な例では独身で親の持家に暮らし、フルタイムの仕事がある人が一番生活に余裕がある。次にダブルインカムだ。子持ちは何処も経済的にはかなりきつそう。余裕のある子持ちの生活って今は本当に一握りでは?誰も貧乏くじは引きたくないよね。
    up305
    down100
    2018/1/2 08:25
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