■虐待の衝動にもがき苦しむ介護士・直子さん(39)の場合
相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入居者19人が刺殺された事件が起きたが、この問題は老人介護にもあてはまる面があるとしてさまざまな議論が起きた。というのも、近年は介護福祉施設や特別擁護老人ホーム等を舞台に、入所者である高齢者に対し、本来彼らのケアをするはずの介護士が、あろうことか惨い虐待を行うという事例が相次いでいることが明らかになっているからだ。
有識者によると、こうした行為が露見し、事件として世に広まるケースはほんの一握りなのだという。実際にはそれよりも遥かに多い虐待行為が、日々、こうした施設で行われているのが実情なのだ。
「正直、私もいつニュースに出るんだろう? って思いますよ。実際、私に限らず、多くの同業者がそういうことを思って毎日過ごしてるんじゃないですかね」
そう語るのは、神奈川県内のある介護施設で働く佐藤直子さん(仮名・39)。彼女は既に10年近いキャリアを持つ中堅の介護士だが、そんな彼女は、日々の仕事の中で、“ある衝動”に駆られ、激しい葛藤に見舞われている人物の一人だ。
「ちょっと…突き飛ばしたりとか。そういうのはあります、正直。いや、誤解しないでくださいよ、別にそれで何か快楽を得るとかそんなんじゃないんです。イライラして、ふとした瞬間に、つい…でも逆に言えばそれだけキツいんです。みんなそういう状況だと思います」
ここ数年、常に入所者過多の状態が続いているという彼女の勤め先では、日本全国にある同様の施設がそうであるように、絶えず人手不足の状態にある。…
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