私は、協会のこの方針は自殺行為だと思っていました。貴乃花が巡業部長として報告しなかったことに落ち度があったとしても、その非がすべて貴乃花にあるとは思えず、暴力体質について信頼がない協会側が貴乃花を非難する資格はないというのが私の意見でした。
「相撲協会に対する不信とあるまじき暴力 協会に不信感をもつ貴乃花の行動は非難できない」
しかし、相撲協会の実態は、私が想像するよりもひどかったようです。この情報を知るまでに時間を要しましたが、やっぱりそうなのかと思いました。
「八角理事長「何気ない気持ちでやった暴力」が大不評 「反省してない」「呆気にとられる」」(J-CAST2017年12月22日)
「元横綱・日馬富士による平幕・貴ノ岩への暴行問題を受け、再発防止のために日本相撲協会が研修会を開いた。そこで八角理事長が述べたとして報告された「何気ないちょっとした気持ちでやった暴力」という言葉が大きな物議を醸している。」
「八代英輝、池坊議長の貴乃花批判は「言いがかりに近い」 相撲協会は警察からの連絡後も動かず」(J-CAST2017年12月14日)
「巡業部長の貴乃花親方は、暴行の報告義務を怠ったとして協会から何らかの処分が降される可能性がある。池坊氏は以前、「巡業部長として速やかに報告していれば、(八角)理事長も対処のしようがあったと思います」などと貴乃花親方の対応を疑問視していた。」
要は、事前に貴乃花が報告をしていれば協会側がうまく丸め込むことができたという意味です。
そのような協会が信頼されるはずがありません。八角理事長や池坊保子評議員会議長の発言がなかったとしても、誰もが相撲協会はそういうところなんだろうなと思っていたということですが、この発言を聞いてしまうと、もう救い難いところまで来てしまっているんだと思いました。
もう青少年にとって目指す対象ではなくなった
貴乃花が相撲協会の中で一定の支持層を持っているのは、そういった相撲協会の陰湿な暴力体質への不満が大きいことを示しています。
「貴乃花親方支援の3親方、時津風一門を離脱」(読売新聞2017年12月26日)
「大相撲の錣山親方(元関脇寺尾)が26日、湊(元幕内湊富士)、立田川(元小結豊真将)の両親方とともに所属する時津風一門を離脱したと明言した。」
協会側が貴乃花を処分するということは、協会側が貴乃花との対話を拒否し、力でもって貴乃花をねじ伏せようという姿勢を示すものであり、暴力体質改善とはほど遠い対応です。
こうしてみれば、貴乃花が協会側の事情聴取を拒否した対応は、むしろ正しかったということになります。頭を下げるべきは協会側であり、今後、協会の暴力体質を改善するためにはどうすれば良いかという観点から真摯に協議すべきでした。
貴乃花への処分はこの道を協会が自ら閉ざしたということです。
八角理事長の発言を聞いている限り、もはや相撲協会に将来はありません。