核のボタンは自分の机の上に 金正恩氏、オリーブの枝も

北朝鮮の最高指導者・金正恩氏の新年のあいさつを駅で見る人たち(1日、ソウル) Image copyright Getty Images
Image caption 北朝鮮の最高指導者・金正恩氏の新年のあいさつを駅で見る人たち(1日、ソウル)

北朝鮮の最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は1日午前9時(日本時間同9時半)、テレビ放映された新年のあいさつで、米国が「戦争を決して始められないよう」に、自分の机には常に核兵器発射のボタンがあると述べた。

朝鮮中央テレビが放送した新年のあいさつで、金委員長は、米国全土がすでに北朝鮮の核兵器の射程圏内にあり、「これは脅しではなく、現実だ」と強調した。委員長はさらに、「核弾頭や弾道ミサイルを大量生産し、製造スピードを速めなくてはならない」と述べ、核・ミサイル開発事業の推進に意欲を示した。

しかしその一方で、自分には韓国と「対話の用意がある」とも述べ、韓国に対する友好の「オリーブの枝」ともとれる表現をした。

委員長は「2018年は北と南の双方にとって、大事な年になる。北は建国70周年を迎え、南は冬季五輪を開催する」と指摘。この表現は、過去1年間の敵対的な姿勢から大きく逸脱したものと受け止められている。

金氏はその上で、今年2月9日から韓国・平昌で予定される冬季五輪に選手団を送る可能性もあると、さらに友好姿勢を示唆した。韓国は以前から、北朝鮮選手団の出場を歓迎すると表明している。

「冬季大会に参加すれば、民族の団結を示す良い機会になる。大会の成功を願っている」と委員長は述べ、「両国の担当者が喫緊に会談し、その可能性を協議するかもしれない」と五輪出場に前向きな姿勢を示した。

Missile range
Image caption 北朝鮮のミサイルの推定射程範囲。赤い(5)が11月に試射された「火星15」が通常の軌道で打ち上げられた場合の推定射程範囲。

金委員長の警告について記者団に聞かれたドナルド・トランプ米大統領は、「どうなるかこれから分かる」と答えた。トランプ氏は、フロリダ州の私邸リゾート「マール・ア・ラーゴ」で新年を迎えた。

北朝鮮が11月29日に試射したミサイル「火星15」は、高度4475キロに達し、53分をかけて960キロ飛行した後、日本海に落下した。国際宇宙ステーションの10倍以上の高度で、通常の軌道で発射していれば1万3000キロ以上飛行した可能性がある。この場合、米本土全土が到達可能だったことになる。ただし、核弾頭をそれだけの距離にわたり運べるかは不明。

北朝鮮は、完全に実戦配備可能な核兵器を開発したと主張しているが、専門家の間ではまだ疑問視する声もある。

(英語記事 North Korea's Kim Jong-un issues threats and olive branch

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