サッチャー元英首相、パンダ同乗拒否 「縁起が良くない」
故マーガレット・サッチャー氏が英首相だった1981年、ロンドンからワシントンへの飛行機にジャイアントパンダを同乗させることを「縁起が良くない」と拒否していたことが明らかになった。新たに公開された英国国立公文書館の文書に記載されていた。
米ワシントンのスミソニアン協会は1981年、飼育しているジャイアントパンダ「ジンジン」と交配させるため、ロンドンの「佳佳(ジアジア)」を貸してほしいと英政府に申し出ていた。
これを受けて、当時ロンドン動物学会の会長だったザッカーマン卿は、サッチャー首相のコンコルド機にジアジアを乗せてはどうかと提案した。
これに対して、ロバート・アームストロング内閣官房長官(当時)は文書で「ザッカーマン卿は、両国の特別な関係のしるしになると見ている。英米関係にとって最良と首相が思うタイミングで、パンダの貸し出しや輸送について発表できれば非常に幸いだと、卿は考えている」と書いた。
「首相が来月、ワシントンを訪問する際、コンコルド機にパンダを同乗させてはどうかとまで、卿は提案している」と官房長官は書いていた。
しかしサッチャー氏の私設秘書官を務めていたクライブ・ウィットモア氏はこれに対して、「(首相は)パンダを連れて行くつもりはないと話している。『パンダと政治家の組み合わせは縁起が良くない!』からだ」と返答した。
公開文書には、サッチャー氏の当初の反応も含まれていた。提案の概要を説明する書類に、首相は青色のサインペンで、「パンダを自分と一緒に連れていくつもりはない。パンダと政治家の組み合わせは縁起が良くない!」と手書き。自分の気持ちを十分に伝えるため、「ない」に二重線を引き、「自分と」にも下線を引いていた。
首相はさらに、「Z卿(ザッカーマン卿)は私よりもパンダに詳しい。きっと何かしら手配できるはず」と書き足していた。
ロンドン郊外キューにある国立公文書館は、1100万以上の公式文書を保管している。文書の大半は政府機関から移管されたもので、約30年後に公式記録として公開されることが多い。
(英語記事 National Archives: Thatcher refused to share flight with panda)