昭和62年4月

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なんだこのズボン?学生時代に散々ボンタンやドカンと呼ばれている太いズボンばかりを好んで穿いていた俺には、モモヒキとかタイツを穿いている位の違和感があったのを今でも覚えている。今では死語となった三つ揃いのスーツをはじめて着た俺は、正式名称も知らなかった黄色い電車に乗ってJR水道橋駅まで行った。

俺の社会人としてのキャリアもJRと同じだという事をこのような形で振り返る事で気付かせてもらえた。

国鉄分割民営化、そんな単語がマスコミをにぎわしていた頃に俺は社会人としての第一歩を踏み出した。

これから訪れるであろうバブル景気に向けた変化が少しずつ感じられてきた年だったのではないかと今なら感じる事ができる。まさに泡だらけの虚像の狂った時代に向かって人々が浮かれはじめていた頃だった。

JR水道橋駅は、当時と今もそんなに変っていない。後楽園球場と遊園地がある場所?そんな認識しかなかった。翌年春に完成する東京ドームはやっと形ができはじめて来た頃だった。

ビールの歴史を変えた「アサヒスーパードライ」が市場にでたのも確かこの年だったはずだ。

入社式は滞りなく進行した。正直感動とか喜びとかは皆無だった。強烈な不安のほうが勝っていたのだろう。今日は式典で明日からこの同じ会場で新入社員研修が行われる。軍隊でいうと新兵の根性を叩きなおす期間なのだろう。明日からの研修の説明の時、人事担当社員が壇上にあがり耳を疑う事を言った「え~皆さんには週休2日と言う事で入社して頂きましたが、実は当社は現在週休2日を目指している段階でしてまだ週1日しか休みじゃありません。」なんだそりゃ?

社会人っていうのは、平気で吐いたつばを飲むのか?そんなの約束と違うと今更言えるわけでもないし、入社して、1日も経たないうちにはじめて会社から心が離れた瞬間だったのではないか?

あ~どうしょう?そんなの話が違うから今辞めますとか言おうかな?

明日からの研修気が重いな?

そんな気持ちにさせたれたのを今でも痛烈に覚えている。

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