千葉営業所

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研修最終日にこれから直属の上司となる成田所長の案内で千葉営業所に連れて行かれた。

同期ではこれから長い付き合いになる同期なんだけど大卒で年上の鈴木さん確か東洋大学を出てなんか如才ないというか出世するタイプ?事実その後出世したし、伊藤、年上だけど名前の読みを変えて「せんいち」って読んでいた、すげえいい奴でこいつも年下の俺にタメ口きかれても全然平気だったみたい。そしてすぐにケツ割ったからあんま覚えていないけど松下と藤といかいう男、そして紅一点の山下という女、こいつら三人は確か同じ中学だったように覚えている。なかでも山下という女は、まあ結構かわいい部類だったのかな?これから男社会である愛すべき職場をある意味かき回すキャラだ!最後に会った時は飲み屋のママだったから推して知るべしという感じだ。

あ~あと忘れてた!斉藤だ!こいつとは同じ高校だったんだけど高校時代は一言もしゃべった事がなかった。あいつ今なにやってんだろう?元気かな?

その同期7人で所長に連れられて千葉営業所へ向かった。

俺は正直、自分では学歴コンプレックスなんかないと思っていたが実はコンプレックスの塊である事がはやくも自覚できた。同期でもこいつらには負けたくない!そして4年後に自分とタメ年のやつが大学を卒業して入社してくる、そいつらには絶対負けねえぞ!そんな事を思っていた。

まだJRになったばかりの稲毛駅を降りてバスに乗って10分位の東京酪乳千葉営業所に着いた。

俺の記念すべき社会人としての第一歩を踏み出す建物が見えて来た。門をくぐったと言いたい所だが、そんな気の効いたものはどこにもない。夕闇せまる中、目にした建物はトタン屋根の外に鉄製の階段を左右に備えた2階建ての建物。当時は会社とかオフィス、事務所というとビルの中にあって、トレンディドラマから飛び出てきたような中で綺麗な女性の先輩とかがいてオフィスラブのひとつでもあるんじゃねえ?なんて勝手に空想していた。でも現実に目の前に建っているのはどうみても2階建ての飯場のようだ。古い映画かなんかで炭鉱夫がすすだらけの顔や服でどかどか入ってきて若い賄の女に「たみちゃん飯!」「なんだ、たみちゃん!こうじの飯のほうが多いんじゃないか?」「お前とこうじとじゃ顔の出来もおつむの出来も違うんだからしょうがねえじゃねえか」「ひゅーひゅー熱いぜご両人」みたいな古い映画のひとコマで出てくるようなそんな建物だ。

その建物の前にはプラットホームと呼ばれる一段高くなった荷捌き場みたいなのがあって、その前を今も変らぬ独特のカラーリングの2トントラックが整然と20台位、並んで停まっている。

なんだか他人事のようで、これから俺どうなっちゃうんだろう?不安で色んな事が頭の中を駆け巡っていた。

建付けの悪そうな入り口の扉を開けるとヤニくさい匂いが鼻をつき、大量の煙が出迎えてくれた。狭い室内に一癖も二癖もありそうな男たちが、くわえタバコで伝票を整理したり現金を数えていた。

オフィス禁煙、分煙化なんて概念が全く無い吸わない奴がガマンしろ的な職場だった。

不良指数が高く俺には適した職場だったかもしれない。

会社の名誉のために言っておくが昭和62年当時の話である。

まだ全員揃っていなかったから正式には明日みんなに紹介するからと言う事で軽く挨拶をした後に営業所を後にした。

帰りの道中、バスの中で皆が感想を言っていた。雰囲気悪そうだな?誰がいうでもなくそんな話をしながら駅についてそれぞれの家路に着いた。

俺も明日からの事を考えて寄り道もせず真っ直ぐ家に帰った。

黄色い電車に乗って千葉駅に着いて外房線で茂原駅まで帰りながら本当に色んな事を考えた。大丈夫かな俺?続くかな?

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