2017.10.01.Sun.
■[アニメ] “プリンセス・プリンシパル”
あまり期待せずに見始めたらけっこうおもしろかった。
でも最後まで見て全体的に振り返ってみると、ものすごく高い完成度でまとまることができたとまでは言えないかも。
一方で、いろいろポテンシャルを秘めた作品だったと思う。たぶんもっと深く語れることはあるはず。
- テーマ上のキーワードは、「嘘」と「壁」。
嘘については1話(case13)で集中的に語られていた。
壁については世界設定としてロンドンの東西、王国と共和国を分かつものとして。最終話にて主人公の閉ざされた心を指す語として。
- とくに嘘というキーワードがポイント。
この語は容易に「フィクション」という概念へつながる。
一義的には作品内での主人公の性質。スパイであるために必要とされる嘘。王女と貧者の入れ替えということに伴われる嘘(マーク・トウェインの古典的作品 “The Prince and the Pauper”)。
そして、壁に分断されるロンドンという歴史改変的な虚構世界。
アンジェが繰り返し口にする「黒蜥蜴星」というものもただしくフィクション的。
- このシリーズの大きな特徴として、放送話数と各話タイトルに振られたナンバーとの差異が挙げられる。作品内世界の時系列と、物語として語られる(アニメによる物語として提示される)順番の食い違い。
これも「作中世界の物語をどのように語るのか」というフィクション論の文脈で見ておもしろいところ。
放送話数12話に対してサブタイトルで示唆される物語の話数は24で、あからさまにII期を狙ったかのような構成になっている。
ただ、実際にII期がつくられるとしてこの構成がうまく納まるのかには疑問もある。
なぜなら、最終話(case24)では最大の敵であるノルマンディー公との決着も果たされていないし、物語内で掲げられたゴール、アンジェ/シャーロットが女王になるという目的も達成されておらず、つまり物語自体はcase24以降もまだ続くことが示唆されているからだ。
どの話が飛ばされている(語られていない)のかについても奇妙なところがある。
たとえばcase7/9/11/13あたりは、放送としてはひとつずつ飛ばして描かれているのだが、なぜひとつ飛ばしで進んでいるのか。仮にII期があったとして、歯抜けになったこれらの話が語られ空白が埋められていくのだろうか?
そうなるような気もするしそうならないような気もどちらもするんだけど、もし飛ばされたこれらの話がII期で語られるとしたら、ひとつ前の話をそれぞれ何か覆すようなかたちで話が語られるのではないかと思ったりする。予想というよりひとつの願望として。
またもっとありそうなのは、これらの空白は決して埋められない、この物語はむしろ空白を前提として組み込んでつくられている、というもの。
明かされることのない嘘というのがあるとして、これらの空白は決して語られることのない物語として用意されたものなのでは、と思わなくもない。
- もうすこし東西の違いを作中で見たかったというのはある。ほとんど王国側の生活の様子しかわからなかったので。
- アンジェとシャーロットの入れ替えはもっと複雑に視聴者を翻弄させるものになるかと思ったけど意外とシンプルだった。
- 5話(case7)のアクションは相当高いレベルに達していたと思う。
#02 case 1 Dancy Conspiracy チェンジリング作戦 #03 case 2 Vice Voice ベアトとHMSグロースター号 case 3 case 4 case 5 case 6 #05 case 7 Bullet Blade's Ballad ちせと列車 case 8 #04 case 9 Roaming Pigeons 採掘場、テムズ川 case 10 #09 case 11 Pell-mell Duel ちせの決闘 case 12 #01 case 13 Wired Liar 亡命者と保険 case 14 case 15 #07 case 16 Loudly Laundry 洗濯屋 case 17 #06 case 18 Rouge Morgue ドロシーとモルグ case 19 #08 case 20 Ripper Dipper 公園と少女、革命前の回想 case 21 #10 case 22 Comfort Comrade 養成所の同期 #11 case 23 Humble Double ゼルダとプリンセス暗殺計画 #12 case 24 Fall of the Wall 再会、カサブランカ
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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもう環 (ループ) を背負ってない”
―Angela Mitchell