ADHD(注意欠陥多動性障害/注意欠如多動症)の池田ラスカル (@rasukarurun) です。私は、ADHDとうつ病で精神障害者保健福祉手帳3級を取得しています。
今はアルバイトをしていますが、雇用先には障害者であることを隠しています。(クローズ就労)
11月になり、確定申告や年末調整の時期が近づいてきました。私は、雇用先に障害者であることがバレないように障害者控除を申告したいと思っています。
今回の記事では、精神障害者保健福祉手帳)のメリットである障害者控除について書きたいと思います。
精神障害者保健福祉手帳の取得に関しては、過去記事(ADHDの診断を受けた後、障害者手帳3級が交付された話①-申請から手元に届くまで - )を参照ください。
注意点
※池田ラスカルは税務や福祉の専門家ではありません。記述に間違いがありましたらTwitter(@rasukarurun) でお問合せ下さい。
※主に「仕事をしている精神障害者本人が控除を受ける場合」について記述しています。障害者を扶養している場合の控除や、知的・身体障害者の控除についてはほとんど触れていません。
※精神障害者の当事者の目線で、できるだけ分かり易いように、嚙み砕いた表現をしています。詳しく知りたい方は目次から「参考リンク」をご覧ください。
<目次>
障害者控除とは?
障害者や、障害者を扶養している人は、納める税金(所得税・住民税)を安くできることがあります。
所得税や住民税(市町村税、都道府県民税)の金額は、所得額によって決まります。所得が高ければ高いほど、納める税金は高くなります。所得を低く申告した方が、税金が安くなります。
この所得から一定の額を差し引くのが「控除」です。
所得から一定額を差し引いて申告する(障害者控除)=納める税金が安くなる
精神障害者が控除を受けるには?
所得税上の控除には「障害者控除」と「特別障害者控除」の2つの区分があり、対象となる状態が定められています。
障害者控除の対象 特別障害者控除の対象
- 身体障害者手帳3級~6級の方
- 知的障害をもつ方
- 精神保健福祉手帳2級~3級の方
- 身体障害者手帳1級~2級の方
- 重度の知的障害の方
- 精神保健福祉手帳1級の方
精神障害者保健福祉手帳2級~3級なら「障害者控除」の対象となり、1級なら「特別障害者控除」が適応されます。
障害者控除の金額は?
精神障害者本人が所得を申告する場合、以下の金額を所得から控除することができます。
障害者控除(精神保健福祉手帳2級~3級):27万
特別障害者控除(精神保健福祉手帳1級):40万
勤務先に出す扶養控除申告書とは?
会社員・フリーターの方は、中途採用で入職した時や年末になると「給与所得者の扶養控除等の申告書」の提出を求められます。
働いたことのある人は、見覚えがあると思います。
池田は「自分で確定申告をするから、出さなくていいのでは?」と思いましたが、会社で年末調整をせずに確定申告をする場合も、提出義務があるようです。
給与所得者が障害者控除を受ける最も手軽な方法は、扶養控除申告書で申告することです。
書類の「障害者」にチェックをし、会社で年末調整を受けることで、障害者控除が適応されます。
これにより、所得から障害者控除を差し引いた額で税率が計算され、所得税・住民税が安くなります。
「扶養控除等申告書」で障害を申告すると勤務先にバレるか?
クローズ就労(障害の有無を隠して働くこと)をしている人は、障害者であることを知られたくないと思います。私もその一人です。
会社に提出する「扶養控除等申告書」で「障害者本人」にチェックをした場合は、勤務先に知られる可能性があります。
扶養控除等申告書で「障害者」にチェックをすると、障害者手帳の種類・等級・公布日を記載しなければなりません。
また、多くの場合は障害者手帳のコピーの提出を求められます。
障害をオープンにして働いている場合は堂々と申告しても問題ありませんが、私のように隠したい場合はリスクになります。少なくとも、書類を受け取って処理をした事務員には知られることになります。
大きな会社ならともかく、小さな会社であれば経理担当の事務員と顔見知りだったり、事務員がバラしてしまうのでは?という不安もあると思います。
私は、扶養控除等申告書の「障害者」にチェックを入れませんでした。
しかし、このままでは障害者控除は適応されず、所得税・住民税を払い過ぎて損をすることになります。
そこで大事なのが確定申告・還付申告です。
勤務先に申告しなくても、自分で確定申告(還付申告)をすると控除が受けられる
扶養控除等申告書で「障害者」にチェックをしなくても、自分で確定申告をすることで、障害者控除を受けることができます。
会社で年末調整をしている場合でも、そのあとに還付申告(還付を受けるための確定申告)ができます。
2016年度所得の確定申告の時期は翌年の2017年2月16日(木)〜3月15日(水)です。
確定申告(還付申告)をすることで、障害者控除を適応した税率で、税金の額が計算されます。
前年度の所得税を払い過ぎている場合は、税務署から還付(払い戻し)されます。
また、確定申告の所内容は、翌年度の住民税の額に反映されます。障害者控除を受けることで、次の年の住民税が安くなります。
確定申告(還付申告)の方法は?
確定申告の手続きの方法は3つの方法があります。
①税務署に行く②郵送する③e-Taxを利用してインターネットから電子手続する
私は②の郵送で、27年度の確定申告をしました。
税務署のHPの「確定申告コーナー」から簡単に書類が作成できました。
職場から発行してもらった源泉徴収表の内容を打ち込むと、自動で税率を計算してくれます。
あとは確定申告書を印刷し、源泉徴収票を貼り付け、障害者手帳のコピーを同封して税務署に郵送しました。
やり方が良く分からないときは、確定申告の時期に税務署や確定申告会場に行くと、職員が書類の書き方を教えてくれます。
持っていくものは源泉徴収票、印鑑、障害者手帳、銀行の口座情報が分かるもの。障害者手帳以外の控除を受ける場合は、それぞれ証明する書類が必要です。(医療控除を受ける場合は、医療費明細など)
分からなければ、とりあえず税務署に行けばOKです。
確定申告(還付申告)で障害者控除を受けると勤務先にバレる?
勤務先の給与から、毎月住民税が引かれている場合(住民税の特別徴収)は、バレる可能性があります。
なぜなら、障害者控除を適応することで、毎月の住民税の徴収額が低くなるからです。
また、年末調整の後に自分で確定申告をして修正した場合は、会社に届いた「住民税の課税決定通知書」によって障害者控除が知られる可能性があります。
書類を処理した事務員や経理担当者がしっかりチェックしていたり、周りに言いふらす可能性があれば、バレるリスクがあります。
池田はアルバイト社員なので、住民税が課税されても普通徴収(給与天引きではなく自分で払う)ので気にしていません。
障害がバレることは悪いこと?オープンにするメリットもある
私は、できるだけ障害者はオープンで働けた方が良いと思います。障害者を雇うことは、会社にとってメリットもあるからです。
障害者雇用促進法によって、企業・事業所は障害者を雇う義務が生じました。障害者を雇用することで、各種の助成金が支給されたり、税制上の優遇措置が得られるなどのメリットがあります。
また、定められた障害者雇用率を下回る企業には、納付金が徴収されます。(障害者雇用対策 |厚生労働省)
障害者であることがバレてしまっても、会社によっては「ラッキー」と思ってもらえるかもしれません。
障害者本人にとってもメリットがあります。
障害をオープンにした方が、周りからの配慮や理解を得られるきっかけとなったり、特性を生かして自分らしく働けるチャンスになるかもしれません。
では、池田はなぜ障害を隠して働くのか?という問題ですが、今の企業にアルバイトで雇用された経緯に色々とあり…(その辺のいざござは、いつか退職したら書こうと思います)