2013/01/08(Tue)
オ・ト・コ
めく「(えぇぇぇぇぇぇ。。。。)」
わたしは心の中で叫んだ。。。今日はヌードデッサンの日だってことは知ってる。けど、今までずっと女性のモデルさんだったし、今日だって。。。第一、わたしが通ってるのは女子短大。。。なのに。。。今日のモデルさんは「男」の人だった。。。
鈍臭いわたしは、行動が遅くて要領も悪くて、いつもイイ場所とか先に取られるタイプ。肩とかぶつけ”られて”も謝っちゃうタイプ。目立たない性格なので、正直そんなに友達もいないタイプ。。。まぁ、学校ではそれなりに似たタイプの友達はいるけど。。。
同じクラスのケイちゃんと、今日はイイ場所頑張って取ろうねって言って、お昼を食べて1時間まえから一番前の場所に陣取ってた。モデルさんが使う台のすぐ前で。いつもは誰かの頭越しや肩越しだったから細かいとかよく見えないし。今日ならバッチリだ!って思ってたのに。。。先生と一緒に入って来たのはガウンを着た「男」の人だった。。。
めく「ケ、ケイちゃん。。。聞いてた?」
周りの人に遠慮しながらわたしが聞いた。ケイちゃんは首を横に振った。
後ろや対面の同級生がザワつく。。。
「男を描くの!?!」
「え!?パ、パンツは履いてるよね。。。」
とか、なんとか言ってる。。。確かに綺麗な顔立ち。。。丹精と言うか、とにかく綺麗。。。先生が言った。
先生「えーっとね、今日は男性のヌードを描いてもらいます。女性とは違って、男性らしい筋肉の表現だとか陰影だとかそういうところを描いてください。」
小声で「じゃ、イイかな?」と先生は彼に言った。「はい。」と軽くうなづくと、躊躇することもない彼は腰紐をゆるめてガウンを脱いだ。彼は身体をあらわにした。
裸だ。。。なにも着けてない。。。
わたしたちに艶のある背中と小ぶりのオシリを向けてそのガウンを先生に手渡す。それはまるで初老のおじさんに買われた若い男のようで。。。
とっさにわたしはケイちゃんの方を見た。ケイちゃんは真っ赤な顔でどうしていいか判らない様子。と言うか。。。周りのざわつきもハンパじゃなかった。
わたしとケイちゃんは、直視できずナニか誤摩化しながら小声で話してた。不器用な笑顔で。真っ赤な顔で。。。他にもそうしてとにかく誤摩化す子や、キャーキャー騒いでる子や反応はいろいろ。みんな少なからず興奮を隠せないみたい。
わたしにとっては、初めて見る生身の「男」の「裸」だった。。。
先生の指示通りに、白いシーツのかかった台の上に横になった彼。。。直視しなくても視界に入ってしまう光景で想像がついた。彼まで、裸の彼までの距離は、たぶん2m。。。わたしとケイちゃんの真ん前に彼の全裸が横たわった。。。いつもと違って細かいところまでクッキリ見えるのが、逆に辛い。。。
先生「じゃ、始めてください。90分ね。」
その最中もケイちゃんとモジモジしていたわたしは、先生の声で、まずキャンパスを見た。白い紙の向こうに彼の顔が見えた。綺麗なその顔は軽く目を閉じている。。。手を後ろに組んでるのが判った。ケイちゃんも真正面にイーゼルを立てて、直視できないようにしている。。。すると後ろから、
女の子「三沢さん、悪いんだけどキャンパス横にしてくれない?」
ケイちゃんに言った。ケイちゃんは小さい声でゴメンと言って、イーゼルを横にした。ケイちゃんと裸の彼との間を遮る物は無くなった。ケイちゃんの顔は。。。どうしていいか判らない様子で。。。ケイちゃんも。。。きっとはじめてなんだって判った。
わたしは震えながら息を吸って、筆を構えて彼を見た。。。綺麗な顔に、綺麗な筋肉の身体。。。そして。。。「男」らしい場所。。。綺麗な顔と、彫刻のような逆三角形の身体の線を結ぶ点のように配された三カ所の真っ黒な部分。。。その一番黒い部分に付いてるイモムシみたいなソレと二つの房。。。
あまりに衝撃だった。。。あの色とカタチ。卑猥な毛の質感。。。
熱い汗を流しながら、わたしはドキドキが抑えられない。。。懇々と溢れて来るナニか。。。マンガやアニメで妄想していたのとはぜんぜん違った。。。あの部分は、とても描けない。。。わたしは上半身で収まるように描き始めた。キャンパスでその部分が見えないようにして。それでもわたしはコッソリと彼の顔に見入ってた。
いくつくらいなんだろ。。。わたしらと同じくらいか、上?下ってことはないよね。。。ひょっとして同年とか。。そんなに離れてないよね。。。でもやっぱりこの人。。。綺麗。。。けど。。。あんななんだ。。。男の子って。。。4Fのあの男の子とかも。。。
先生「よし、ちょっと休憩。」
45分が過ぎた。彼が目を開けた。彼と目が合った。。。軽く微笑んでいるような。。。「上手く描けた?」って問いかけてるような。。。あの身体にはちょっと不釣り合いにさえ見えるクリっとした瞳。わたしは、とっさに目を逸らした。たぶん顔を火照らせながら。。。
先生が彼の手先や足下、肩、腰、おしりのあたりに目印を付ける。先生のかるいうなづきを確認して彼は台から立ち、受け取ったガウンを羽織って控え室に戻った。
教室でざわめく生徒達。「マジエロくね?」「毛が。。なんか。。。ねぇ。。」「グロかったね。」「しかも包茎って。。逆にエロい。。」「ガン見してたでしょ?アンタ。」
いろんな事を話してる。ケイちゃんは真っ赤な顔をしながら、
ケイ「なんか。。。気持ち悪かったね。。。」
やっぱり動揺を隠そうと必死みたい。けど、その赤くなった顔は、やっぱり裸の彼が彼女にナニか複雑な感動を焼き付けてしまったんだと思った。
あと45分。。。わたしは。。。わたしなりに彼を。。。
オマケ【日焼けクッキリ全裸(ムケチン)】