古代の人々は隕石から鉄器を生産していたことを示すデータが確認される

人間が自由に鉄を作る技術を手にした鉄器時代よりも以前、「青銅器時代」に分類される時代にも鉄を使った製品は作られていましたが、その材料には宇宙から降ってきた隕石が使われていたと考えられています。鉄を作るための製錬技術が存在しなかったというのが大きな裏付けとされているのですが、実際に青銅器時代に作られた鉄器を分析することで、その説を裏付けるデータが得られています。

鉄は地球の地殻に含まれる元素のうち4番目に多く含まれている物質であり、製品としての鉄を作るために必要な砂鉄や鉄鉱石は世界中に広く分布しているために比較的容易に入手することが可能です。採掘された砂鉄や鉄鉱石は、800度から1200度の高い熱を加えることで精錬され、純度の高い鉄「銑鉄(せんてつ)」、そして炭素を加えることでより強靱な「鋼(はがね)」が作られます。

鉄の生産は紀元前1300年から1200年頃に、古代エジプトのヒッタイト王国で始まったと考えられています。鉄は青銅器よりも強度が高いために武器として使う際にも有利な物質であり、まだ周辺諸国が青銅器の生産しかできなかった時に鉄を手に入れたヒッタイト王国は次第に勢力を強め、メソポタミアを征服して大きな国を築き上げました。

鉄の精錬には、原料となる鉄鉱石から鉄だけを取り出す工程を踏む必要があります。鉄の精錬とは、原料の酸化鉄から酸素を除去して鉄を残すという還元作用であり、その反応を起こさせるためには1000度前後の温度を長時間にわたって加える必要があります。当時、この工程を実現するには高い技術とノウハウが必要であり、鉄の製錬技術は門外不出の国家最高機密レベルで管理されていたほど。このようにして生産された鉄は、不純物が少なく強度が高い鉄として国の発展に大きな役割を果たしました。

一方、鉄器時代以前の青銅器時代にも鉄を使った製品は少ないながらも存在していました。紀元前1324年に亡くなったとされるツタンカーメンの墓には鉄製の武具や装飾品などが埋葬されていたことが分かっているのですが、その原料は鉄鉱石など地球に埋まっているものではなく、隕石として宇宙から降り注いだものであると考えられています。

これは、「空から石が降ってくることは作り話か魔法である」と19世紀ごろまで考えていたヨーロッパ人にとっては考えも及ばなかったことのようで、フランス国立科学研究センターで考古学の研究に携わっているアルベール・ジャンボン氏は「多くの考古学者たちにとって、青銅器時代の人々が隕石について知識があったとは考えられないようです」と語っています。

しかしヨーロッパ以外の地域では、古代エジプトの象形文字「ヒエログラフ」では鉄について「空から来たもの」という意味が充てられているほか、中国の孔子は紀元前645年に隕石について「空に流れる一筋の線」と「地面に転がる石」とを結びつける記述を行っているなど、古くから隕石が「石」または「隕鉄」であると気付いている文化は存在していたといわれています。

近代までヨーロッパ人が隕石と隕鉄の関係を結びつけられていなかったのに対し、古代のエジプトや中国では隕石や隕鉄を活用し、さらにそこから鉄製品を作りだしていたと考えられています。ほぼ「鉄のかたまり」として落下してくる隕鉄は、鉄の純度が高いことが多く、高い製錬技術を要さずとも比較的容易に鉄製品を作ることが可能だからです。

古代の文明で隕石から鉄器が作られていたという説を確かなものにすべく、ジャンボン氏は小型で携帯可能な分光計を持って各地に残されている鉄器の調査を実施しました。この分光計は対象物を破壊することなく組成を分析できるもので、ジャンボン氏は鉄器に含まれている物質の内容を調査することで、その鉄器が隕石由来のものか、または精錬された鉄で作られたものであるかを見極めようとしました。
その結果、ジャンボン氏は古代の鉄器にはニッケルが多く含まれていることを発見。これは、地球に降り注いだ隕石の組成と同一とみなされるものであると同時に、精錬されて純度の高い鉄の組成とは全く異なるものであり、ここからジャンボン氏は古代の鉄器が隕石をもとに作られたものであるという裏付けを確かなものにしています。

ジャンボン氏はまた、ツタンカーメンの王墓で見つかった鉄器には3つの異なる種類の材料が使われていることも解き明かしています。当時、鉄を作ることができる隕鉄は金よりも貴重なものであるとされていたことから、3種類の鉄が集められていたというのはそれだけ多くの労力と財力が投じられていたことを示しています。当時の隕石は、現代のダイヤモンドと同じぐらいの価値があったとも考えられており、ジャンボン氏は「当時の人々は隕石探しに必死になっていたと思いますよ」と語っています。
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まゆ八重歯

隕石見つけるほうが大変じゃない??wwww

しん

昔の方が大小含めて隕石が落ちてくる確率がけっこうあったのかな?

モヒカン

昔は夜間照明もない時代だから流れ星や隕石は
今よりももっと発見しやすかったんじゃないか。

仮面

砂漠は隕鉄や隕石ガラスみつけるのが楽だったらしいね
ぽこんと落ちてるから

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こし

エクスカリバー

モヒカン


隕鉄しかない時代があるなら、
オリハルコンやミスリルの伝説に繋がるかもね。

目隠し

製鉄した鉄器がそれなりの性能を示す時代には、
伝説の金属は殆ど分解していただろうから。

仮面

隕鉄使った物は、結構色んな所で出てた筈だな
古くはエジプトで刃物の遺物が出てた筈
確かマヤなんかでも、隕石拾って加工したのがあった

目隠し

青銅器時代(鉄鉱石から鉄を取り出すほどの高度な技術がない時代)に
つくられた鉄器は比較的簡単に加工ができる(元からほぼ鉄の塊)隕鉄を材料につかったもんばかりだったてこと
それ以外の選択肢がなかった

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らん

あー成程ね
鉄の精製技術が無かったから、隕石を使って加工した、と

ネコめがね(笑)

古代エジプトとヒッタイトはまったく別の国で、民族も言語も異なります。
BC13世紀にはカデッシュの戦いという壮烈な戦闘を行っています。
ヒッタイトに独占されていた鉄の製造法はBC1200年ごろに突然ヒッタイト王国が
崩壊すると、その後に、東地中海全域に拡散していきます。

しん

そうか加工する技術はあっても
インゴットを作る技術がなかったから
隕石使ったのか

仮面

地球上の鉄資源は大半が酸化鉄

モヒカン

隕石はどこでどう生成されたかは不明だが、
酸素に曝されてないから酸化してないのかもな。

まゆ八重歯

まー砂漠に色の違う石が転がっていれば気付くだろうしなー
古代エジプトでは砂漠の砂と隕石の熱で生じたインパクトガラス
を宝石(リビアングラス)として用いていたから可能性は高いと思う

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かんショート

アイスランド人が隕石で武器作ってたってのは聞いた事がある

しん

最初は隕鉄を使っていたけど、それが錆びて赤くボロボロになったのを見て
「あれ?この赤いボロボロの奴って、昔あの山で見た赤い土に似てないか?」
と気づいて還元法の研究を始めたのではないかと想像