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週刊現代 中国

段ボールが超高くて運べない…!中国「トホホすぎる配達事情」

ネット通販が急成長しすぎて…

18日から5年に一度の中国共産党大会が始まり、習近平主席は「中国の夢」の実現を、高らかに謳った。だが14億中国人の生活は、なかなか大変なようで……。ああ、トホホな笑撃のチャイナ・ワールド。

国中、配達員だらけ

10月10日のニューヨーク証券取引所は、どよめきに包まれた。

中国の電子商取引(EC)最大手のアリババ集団の株式時価総額が、ついにアマゾン・ドット・コムを追い抜いたのである。

1999年に杭州の英語教師だった馬雲(ジャック・マー)氏が細々と始めたアリババは、晴れて世界一の電子商取引企業となった。

そこまでアリババ株が高騰したのには、ワケがある。

来月11日にアリババは、1日あたりとしては世界最大の電子商取引消費を誇る「双十一消費者デー」を控えているからだ。これは、'09年にアリババが中国で始めたイベントで、いまや延べ10億人近い中国人が参加している。

昨年のこの日には、何と1207億元(約2兆500億円)も、中国国内で売り上げた。2兆円と言えば、日本のすべてのデパートやスーパーなど大型小売店の年間売り上げを合計した額に等しい。まさに中国国内での「爆買い」だ。

出店した企業の中では、上海に世界最大規模の店舗を構えるユニクロが、売り上げ6位を占めた。今年も多くの日系企業が、「双十一消費者デー」に熱い視線を送っている。

 

だが、今年の「双十一消費者デー」まで、あと1ヵ月を切ったというのに、中国の現場では、ある〝異変〟が起こっているという。

上海の日系企業関係者が明かす。

「1日で2兆円分もの商品の注文が入るということは、数日以内にそれらを届けなければなりません。しかも、今年は昨年よりも、さらに2割ほど注文が増えることが予測されるため、商品を入れる段ボールが足りないのです。

そのためアリババは、段ボール問題に四苦八苦しています」

9月5日、中国国内で一本のニュースが、人々の耳目を引いた。ついに段ボールの卸売価格が、1tあたり1000元(約1万7000円)を突破したというのだ。

つい数年前に、1tあたり100元を突破したことがニュースになっていたと思ったら、いつのまにかゼロが一つ増えてしまった。これでは通販で何かを注文しても、商品よりも段ボール代のほうが高くつくなんてことになりかねない。

ちなみに、中国の段ボール業界最大手の玖龍紙業は、この8月から9月前半にかけて、段ボール用紙の値上げを4回も発表した。

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これは極めて異例のことだ。「諸般の事情によりやむを得ず……」という言い訳も、すっかり恒常化している。

こうしたことから、今年の「双十一消費者デー」では、商品を段ボールに入れずに、ビニールなどの簡易包装にして届けるケースが増えるだろうという。

固い段ボールではなく、柔らかいビニールに包んで商品を届けたら、中身が傷んでしまわないかと思うのは、日本的な発想だ。「商品が何かに包まれているだけマシ」というのが、大方の中国人消費者の意見だからである。