韓国の現代史で最大の自殺行為として記録されるとみられるとは対北朝鮮支援だ。左派政権が10年間で8兆ウォン(約8400億円)を注ぎ込んだ。現物分を除くと、北朝鮮に送られたドル資金は3兆ウォンを超える。北朝鮮が核、ミサイル開発に使った資金もその程度ではないかとされる。現金には目印が付いているわけではないので、追跡する方法はない。しかし、北朝鮮の世間とってはどの財布も同じだ。韓国が与えたドル資金が核開発に使われなかったと考える方がおかしい。
左派は理想を追うという。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権も北朝鮮の変化を夢見て支援を行ったはずだ。期待とは異なり、北朝鮮は一瞬も核開発をやめたことはない。南北首脳が会い、金剛山が開放された際にも中断されなかった。核が完成すると、北朝鮮は遠慮なく恐喝、脅迫の限りを尽くしている。国民の税金まで投じ、北朝鮮の脅威を増大させた格好だ。
そうやって安全保障上のオウンゴールに及んだ主役が再び政権をにぎった。誰も過去の失敗を認める人間はいない。反省どころか依然として北朝鮮を助けたくて仕方ないようだ。北朝鮮との関係ばかりではない。問題を解決すべき政府が問題を増幅させている。使わなくてもいいカネを使い、無駄に対立を生じさせる。今年の大韓民国を象徴するキーワードは「自殺行為」だった。視野が狭い理想論に陥り、大きな国益を害する行為が相次いだ。
韓国政府が先週、新たなエネルギー政策を発表した。再生可能エネルギーの割合を3倍に増やす一方、原発建設を中断するとの内容だ。「脱原発」に要する費用は少なくとも100兆ウォンだ。計画通りに原発を建設すれば25兆ウォンで十分だ。25兆ウォンで済むところに100兆ウォンを使うわけだ。どんな計算をしても出るはずがない自殺的な計算方法だ。