200g以上のドローンを屋外で自由に飛ばしたい!

ドローンは結局どこで飛ばせるの? 日本ドローン協会に聞いてみた!

2016年は、ドローン元年――。

こう称されたのは、ドローンメーカー各社からお手ごろな価格の高性能ドローンが登場し、購入する人が急激に増えたことが要因のひとつ。その勢いは、今後も増していきそうです。

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ただ、個人でドローンを飛ばす際には、「改正航空法の遵守や無人航空機の飛行許可の取得が必要で、簡単に飛ばすことができないのでは」と、懸念する人も多いのではないでしょうか。今は、公園で凧を飛ばすことすらままならない時代ですしね。

ということで、ドローンに関する改正航空法や飛行許可について、一般社団法人「日本ドローン協会」の監事である浅見翼さんの監修のもと、今一度確認していきましょう。

改正航空法の対象かどうかは機体の重量次第

まず、2015年12月に施行された改正航空法について。これは、ドローンだけでなく、無人航空機全般が対象になっており、マルチコプターやラジコン機、農薬散布用の小型ヘリコプターなども含まれます。

ただし、機体とバッテリーの総重量が200g未満であれば無人航空機ではなく、模型航空機に分類され、改正航空法には抵触しません。一般人向けの小型ドローン機で比較すると、DJI「Spark」は300gなので改正航空法に抵触しますが、ZEROTECH「Dobby」は199gなのでギリギリ対象外となります。どちらもホビードローンですが、分類的には大きな違いがあるわけです。

手のジェスチャーで機体を操作して写真や動画が撮影できるDJIのミニドローン「Spark」。手のひらサイズではありますが、重量が300gのために改正航空法に準拠して飛ばさなければなりません

折りたたみ式でポケットに入れて持ち運べるZEROTECHの「Dobby」。バッテリーと本体を合わせた重量が199gなので、模型航空機という位置付けになり、改正航空法には抵触せずに飛ばせます

改正航空法が飛行環境を細かく制限

ここからは、重量が200g以上の無人航空機について、ルールを確認していきます。

改正航空法では、無人航空機の飛行禁止区域が定められており、高度150m以上、空港などの周辺空域、人口集中地区の上空が禁止されています。加えて、飛行の時間制限などの条件もあります。飛行は日中(日の出から日没まで)に限定されており夜間飛行は認められていません。

また、ドローンの中には、カメラからの映像をコントローラー側にリアルタイムで映し出すライブビューで操作できるモデルもありますが、操縦者がドローンを目視できる範囲のみで飛行しなければなりません。

さらに、第三者の建物や車両から30m以内の場所、祭礼や縁日といった、多数の人が集まる催し場所の上空での飛行も禁止。当然ながら、爆発物などの危険物の運搬やドローンから物を落下させることも禁止です。

国土交通省のホームページから抜粋した「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」。空港などの周辺、150m以上の高さの空域、人口集中地区の上空が、飛行禁止と定められています

ドローンに搭載されたカメラによるライブビューを使って操作できたとしても、写真のように視認できる範囲でしか飛ばせません

また、運転者や運転状況にも制限があります。車の運転と同様に、アルコールを摂取した状態での操縦は厳禁。操縦に影響が出る強風などの天候下でも操縦は禁止です。

ちなみに、先述の200g未満のドローンの場合は、上記の改正航空法には抵触しませんが、だからと言って、人混みで飛ばしたり、第三者の建物や車両とぶつかりそうな場所で飛ばしたりするのはNGです。改正航空法に抵触しないだけで、万が一、事故を起こした場合に許されるわけではないからです。なお、国会議事堂、内閣総理大臣官邸、そのほかの国の重要な施設、外国公館及び原子力事業所などの周辺は、200g未満のドローンでも飛行を禁止されています。

飛行禁止空域の飛行は国交省への申請が許可・承認されれば可能

ただ、改正航空法の禁止事項にあたったからといって、必ずしも飛ばせないかと言うと、実はそうではありません。ドローン操縦の上級者に限られると思いますが、国土交通省への許可・承認を申請すれば飛ばすことが可能になることもあります。

国土交通省のホームページの申請手続きのページ。「無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書」は、このページからダウンロードできます

とはいえ、申請書を読んでみると、許可を取るのはかなり面倒で手順も多い印象……。その手順を軽減できる方法がないか、「日本ドローン協会」の監事である浅見翼さんに聞きました。

「国交省から認定された機関の免許を取得することにより、航空局より飛行許可を受ける際の申請書類の一部を省略できます。航空法の許可を得るには飛行経験が10時間以上要求されますので、ドローン飛行練習場などで十分練習したうえで、免許を取得することがオススメです」

ただ、その免許に関しては、自動車免許のように公道を走れる許可が下りるわけではなく、禁止区域での無許可の飛行はできません。

つまり現状としては、免許の有無で飛行の制限や制限解除の差は出ないので、ドローン操縦自体には免許の必要はありません。しかし、それを取得することで、上記の航空法に関する許可・承認に必要な添付書類の省略と、第三者が認定することで操縦技術の証明になるというメリットはあるわけです。

飛行禁止区域が確認できるマップをチェックしよう

以上から、ドローンを飛ばすには、場所と時間、第三者の建物や車両の有無、人の多さなどによって禁止区域が発生するということは理解していただけたかと思います。でも、「じゃあ結局、どこなら飛ばしても大丈夫なんだよ!」と思ってしまいますよね。

そこで、手っ取り早くピンポイントで飛行可能な場所を探す方法を紹介します。ひとつは、飛行禁止区域を確認できるマップをWebサイトでチェックすることです。ドローンメーカーのDJIが提供する「フライトマップ」か、国土地理院の「地理院地図」がよいでしょう。両者の禁止区域は微妙に異なっているので、どちらの禁止区域にも指定されていない場所を選ぶのがベターです。

DJIの「フライトマップ」。残念ながら、都心では飛ばせる場所がほとんどありません

国土地理院の「地理院地図」

ただ、このマップで禁止除外区域となっていたとしても、人が多かったり、イベントが開催されていたり、はたまた第三者の建物や車両が近くにあった場合は、やはり飛ばせません。もちろん私有地に無断で入ることはNGです。また、そうではなくても、たとえば河川(ダムや貯水池を含む)などでは、そこの管理者や周辺自治体が禁止している場合もあります。さらに、高圧線、変電所、電波搭及び無線施設などの施設の付近では、電波障害によりドローンが操縦不能になることが懸念されるため、十分な距離を保って飛行させる必要があります。飛ばす前にその場所のことをよく確認するようにしましょう。

マップから探すのは大変そうと思う人には、私設のドローン練習場やドローン飛行場の利用がオススメです。そこにはインストラクターがいる場合が多く、安心して飛ばせますし、講習を受ければ、先述の免許も取得できます。今回ご協力いただいた「日本ドローン協会」の浅見さんは、ドローンを飛ばす場所として、全国に点在する専用施設「スカイグラウンド」を推奨しています。詳しくはこちら

東京都武蔵野市にある日本ドローン協会公認スカイグラウンドの「BONFIM Drone Sky Field」

東京都武蔵野市にある日本ドローン協会公認スカイグラウンドの「BONFIM Drone Sky Field」

【関連リンク】
国土交通省 航空局「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全の飛行のためのガイドライン」 ※PDFが自動的にダウンロードされます。
「日本ドローン協会」ホームページ

岡安学

岡安学

ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランス・ライターに。現在は、デジタル機器を中心にWebや雑誌、Mookなどで活躍中。近著に『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。

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2017.12.29 更新
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