【ソウル=峯岸博】韓国各紙は29日付けの報道で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が2015年の日韓合意では従軍慰安婦問題を解決できないとした声明について「事実上、合意を白紙化した」と受け止めた。日本との関係悪化に加え、米韓同盟への波及を不安視する論調がでている。
保守系大手紙の朝鮮日報は文氏の言動が「大衆からの支持は得られるかもしれないが、外交面での影響に備えができているのか」と疑問を呈し「米国は韓日の対立を絶対に望んでおらず、韓米同盟にも影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。
中央日報は、もはや文氏が追加措置を打ちだすのは避けられないとし「感情的にならずに、我々の利益が何なのか熟考を重ねるべきだ」と主張。東亜日報は中韓に続く日韓の悪化は国益に役立たないとしつつ「日本が韓日関係がどうなってもいいとの態度に出るなら韓国が執着する必要はない」と日本をけん制した。
革新系のハンギョレは日韓合意を「密室の取引」と批判し「単に朴槿恵(パク・クネ)政権を恨むのでなく、安倍政権もこの責任を厳重に負うのが当然だ」と強調した。