グリーンアノール(撮影: 森英章氏)。(画像:東北大学発表資料より)[写真拡大]
約50年前に侵略的外来種として小笠原諸島・父島に入り込んだトカゲの一種グリーンアノールが、その50年の間に急速な適応進化を遂げていたその実態が、東北大学の研究により明らかにされた。
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グリーンアノールはトカゲ亜目イグアナ科に属するトカゲであり、北米を原産とし、全長は15~20センチメートル程度。樹上に暮らし、昆虫などを捕食する。
今回の研究では、父島で捕獲されたグリーンアノールと北米のグリーンアノール、合計24個体のゲノム配列が分析された。
それによると、小笠原に侵入したグリーンアノールの始祖は、恐らく14の個体にまで絞り込むことができるという。仮にそれ以上であったとしても、いずれにせよ50を超えることはまずないらしい。
小笠原は絶海の地である。故に小動物から昆虫に至るまで、非常に多くの固有種が存在する。グリーンアノールの増加は、多くの昆虫などを絶滅の危機に陥れ、小笠原の世界自然遺産登録の取り消しが取沙汰されるなど、大きな問題となっている。
従来の理論では、少数の個体が侵略的外来種になることは、遺伝的変異の蓄積という問題から、困難なはずであると考えられていた。しかし現実には、少数の個体が侵略的外来種になる例は多々ある。この問題を、「侵入の遺伝的パラドクス」と言う。未解決の問題である。
今回の研究で、移入時の個体が少数である場合でも、移入先で個体数や生息域を拡大する過程において、新たな生息域や餌に適応する進化が生じることが明らかになった。具体的には、筋肉や動きに関する遺伝子、食物代謝に関わる遺伝子などが、小笠原のグリーンアノールにおいて変異していることが確認されたのである。
この事実は、外来種対策において水際作戦が特に重要であるという示唆を与えるものである。
なお、研究の詳細はScientific Reportsに掲載されている。(藤沢文太)
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