(英エコノミスト誌 2017年12月23・30日合併号)
ロシアの景気後退は終わった。だが、さらなる改革がなければ経済は伸び悩む。
12月初旬のロシア。モスクワの西に位置する都市、ニジニ・ノヴゴロドのゴーリキー自動車工場(GAZ)を訪れたウラジーミル・プーチン大統領は、青いジャケットを着た従業員らが立ち並ぶステージの上で演説し、この地方の歴史に触れた。
モスクワがノヴゴロドの義勇軍の支援を得て17世紀初めの動乱時代を克服してから、「統一された中央集権の、力の強いロシアという国が急速に発展し始めた」と述べ、同じ伝統を継承するよう聴衆に求めた。
「皆さんのような方々が積極的に参加することで、ロシアは前に進み続ける」
すると従業員たちは、来年の大統領選挙に出馬することを今ここで表明してほしいと要請した。
「ここにいる者は皆、例外なく、大統領を支持します」とある従業員が訴え、プーチン氏はそれに応えて出馬を宣言した。これに驚く者は一人もいなかった。
経済面では、ロシアという自動車はゆっくりとではあるものの、再び前に進んでいる。苦しい景気後退が続いた2年間を経て、2017年はプラス成長になる。
原油安と西側諸国による経済制裁というダブルパンチを受けた後、巧みな政策対応がその後の状況の安定化に寄与している。
インフレ率は2015年には16%を超えていたが、中央銀行がこれを抑えにかかり、現在では目標値の4%を下回っている。財政規律も強化され、赤字は管理できる範囲に収まっている。