2015年設立。金、銀など貴金属類のインターネット取引サービス、保管サービスなどを提供。また、金地金に関する各種金融コンサルティング業務も行う。現在、新たなサービスも開発中。
日本人は「投資に対して保守的であり、リスク商品は好まない」とよく言われますが、本当にそうでしょうか。私の経験から、この認識は必ずしも正しくないと思っています。確かに日本人は周囲を気にして、周りに合わせようとするところがあります。しかしそれは、単純に“リスクを取らない”ことを意味しません。例えば、住宅購入、これも大きな投資ですが日本人の持ち家率は欧米などと比べて低くない。また直近では、非常に価格変動が大きいビットコインの取引量において日本は世界第一位になっています。
とはいえ、現状日本の個人金融資産の5割以上は預貯金が占めています。金融商品や実物資産に投資をしている人は限られているのが実態です。理由はどこにあるのか──。端的に言って、「投資環境がまだまだ整備されていない」のです。これまで私は、金融商品企画のコンサルタントや資産運用のアドバイザーなどとして活動してきました。その中で強く感じてきたことの一つが、いわゆる富裕層と一般の方たちの間に存在する情報格差です。日本においては、金融サービスの対象が一定以上の資産を持つ人に偏っており、普通のビジネスパーソンが自らリスクをコントロールして、適正な投資活動を行える場が十分には用意されていないのです。
サービスのユーザビリティ向上に経営資源を投入していく
特にこれからの時代、自身のライフプランを実現するために資産運用は欠かせません。それは、保有している資産の多寡とは関係ないでしょう。そこで私たちは、誰もが安全かつ公正に投資を行える場の構築を目指し、事業を展開しています。
現在提供している金や銀のオンライン取引サービスを始めたきっかけは、私が資産運用をサポートしているあるお客様の「金を購入したいのだが、海外にいい事業者はないか」という一言でした。調べてみると、ロンドンに非常に利用しやすく、手数料などの面でもメリットのあるサービスが見つかり、これならばより幅広く日本のお客様に展開する価値があると判断したのです。実物資産である金は、株式などと比べて価格変動も緩やかな傾向があり、多くの人が投資の入り口としてチャレンジするのにも適しています。
当社がサービスを提供する上で大事にしているのは、お客様との距離感、コミュニケーションの仕方です。私たちはプッシュ型の営業活動を行いません。電話で勧誘することなどもってのほかで、さらにメルマガなどを配信することもありません。なぜなら、投資という行為は、押し付け、売り付けられるのではなく、自己責任、自己判断で行うべきだと考えているからです。
事業者が営業活動に力を入れようと思えば、当然それにはコストがかかります。そして、それは結局のところお客様に転嫁されてしまうことになります。もちろん、事業者それぞれに営業戦略や経営スタンスがあるわけですが、私たちとしてはサービスのユーザビリティの向上にこそ、できるだけ経営資源を投入したいと考えているのです。
もちろん金融サービスにおいて情報の提供は重要ですから、当社のウェブサイトにアクセスをしてくだされば必要な情報は入手できるようにしています。それらを参考にしながら、お客様がご自身の直感やひらめきに基づいて、自由に投資が行える場をつくることに当社は力を注いでいます。
仮想通貨と金を組み合わせた新たなサービスも予定
Bullion Japanという会社がサービスの基本に置いている自律や自己判断。それは、私たち自身の業務においても重要視されています。サッカー選手が限られた試合時間の中で最高のパフォーマンスを発揮しようとするように、スタッフ一人一人が業務時間をいかに有効に使うか、自分で考え、行動する──。そうしたプロフェッショナルが集まった会社でありたいと思っています。
そんな私たちが現在取り組んでいるのが、新しいサービスの開発です。ITなどの発達によって刻々と変化する金融市場には、これまでにない可能性が次々と生まれています。例えば仮想通貨もその一つで、それを支えるブロックチェーンは革命的なものといえます。ただ投資対象としての仮想通貨はまだ価格の変動も大きいため、これを実物資産の金と結び付けて一般の方たちにも取り組みやすいものとしていきたい。そう考えています。
初めにお話ししたとおり、多くの日本人はリスクと向き合い、自分の判断によってリターンを得ることを本来的には求めています。それを実現するのに何より必要なのは、公正で安全でリーズナブルな“場”にほかなりません。当社としても、ぜひその一翼を担っていきたい。これまでの経験や蓄積してきたノウハウを生かし、よりよい投資環境を一人でも多くの人にお届けしたいと思っています。