ブロックチェーンの「信頼」は金融を民主化するか──日本から世界に打って出る金融コンサル集団の挑戦

金融街、シティ・オブ・ロンドンの一角に集った「金融に特化したコンサルティング集団」、BLACK STAR & CO.のメンバーたち。2015年、伝統的な金取引にオンラインならではのスピード感をもたらした彼らは、18年、さらにブロックチェーンを駆使して「金融改革」を起こそうとしている。

TEXT BY WIRED.jp_ST

ブリオンジャパン

「金融に特化したコンサルティング集団」BLACK STAR & CO.の中核メンバー4人。彼らが定例のミーティングを行うオフィスは、シティ中心の旧王立取引所にほど近いところにある。PHOTOGRAPH BY SAMUEL J. BLADE

その日、シティ・オブ・ロンドンの一角に集った4人の双眸は、いかにも野心にあふれていた。

BLACK STAR & CO.という社名のもと自らを「金融に特化したコンサルティング集団」と謳う彼らが、世界金融の中心たるここロンドンで、何をしようとしているのか。ロンドンから世界に発しようとしているその新たなプロジェクトの核心は、ミーティング中にメンバーのひとりから飛び出た言葉が象徴している。

「金融市場には、ときにウソがある」

BLACK STAR & CO.の中核をなす4人は、この伝統ある金融街のオフィススペースで、ミーティングを重ねてきた。彼らが挑もうとしている「金融改革」は、ウソのつけないシェアドレッジャー、ブロックチェーンが支える新たなトークン発行から始まるという。

ブリオンジャパン

BLACK STAR & CO.とブリオンジャパンのCEOを兼務する平井政光(写真右)と、同ディレクターの古賀貴司。PHOTOGRAPH BY SAMUEL J. BLADE

金融市場の「ウソ」とは、同社の若きCEOの平井政光の言葉を借りるなら、「脆さ」と言い換えられるかもしれない。日本におけるITバブルの崩壊と世界に混乱をもたらしたリーマン・ショックを学生時代に、そして卒業後、金融コンサルティングに従事するなかでギリシャ危機を体験した平井にとって、金融の世界はいかにも脆く映った。

「金融商品は、基本的には『利』を追求していくものです。が、それまで優れたものだといわれてきた金融商品がマーケットの趨勢によってあっさり壊れていくのを目の当たりにしたときに、単純な『利』ではない強さをつくっていけるサーヴィスを提供できないかと考えたんです」

その発想から、平井をはじめとするメンバーは、フィンテックやクリプトカレンシーの隆盛が声高に叫ばれる市場をマクロな目で見渡した。その「革新」のスタートが、まずは2年前にスタートさせた、日本におけるオンラインでの金取引だ。

そもそも金といえば、「有事の金」といわれるほどの、安全資産の代名詞的存在だ。が、投資対象としてはとっつきにくい存在でもあった。金属としての普遍的な価値をもつからこそ、真贋の鑑定が必要になるし、伝統ある業界だからこそ、長年続く慣習によって取り扱い業者をまたいで取引することも困難だ。

それを変えたのが、BLACK STAR & CO.傘下のブリオンジャパンだった。

ブリオンジャパンは、金取引にインターネットをもちこんだ。英国のインターネット金取引サーヴィス企業と連携し実現した取引のスピード感は、資産運用、なかでもとりわけ閉鎖的であった金投資分野においては極めて先駆的なものだった。

そして、その先に彼らが目指すのは、ブロックチェーンを連携させることで可能になる、より開かれた取引だ。

平井は言う。「カネを儲けた、損したではなく、消費者の根本的なところを育てることを意識していきたいんです。何を買ったから得をしたというモデルではなく、消費者の方々が自ら金融にふれて、自分にとって何が必要なのかに気づけるようなモデルを生み出したい」

ブリオンジャパン

BLACK STAR & CO.は、若手からヴェテランまでの金融マンだけでなく、テクニカルを支えるエンジニアチームも抱えている。PHOTOGRAPH BY SAMUEL J. BLADE

2018年年初に独自トークンを発行しようと準備を進めているBLACK STAR & CO.だが、暗号通貨市場について、どう思っているのか。

「暗号通貨の世界では、よく中央集権か? 非中央集権か?ということが語られますが、それよりも投資に関わる情報が民主的に提供されていることが重要です」と言う平井に続けて、ディレクターの古賀が、自らの「コンサル集団」としての強みを次のように語る。

「ぼくらは、ほかの多くの暗号通貨市場の業者たちがコンセプトを売りにしているのに対して、実際のサーヴィスを提供することを前提にしている」

また、BLACK STAR & CO.がロンドンに拠点をもっていることは、同社の信頼性のみならず、情報の面でもメリットがあるようだ。

「まず、何より情報が早い。さらに、ブレグジットもあって既存の金融ビジネスが基盤として揺らいでいるロンドンは、ほかのどこよりもフィンテックに力を入れている。法的にもインフラ的にも整備されている場所で起業するのは、面白い」

「金」という有形の資産を扱ってきた彼らが、無形のブロックチェーンでマーケットをいかにディスラプトしていくか。世界の金融市場で先を行こうとする彼らは、いま、金に紐づいた「ブリオントークン」に続く新たなトークンも準備しているという。

BLACKSTAR&CO.|ブリオンジャパン

ブリオンジャパン

PHOTOGRAPH BY SAMUEL J. BLADE

SHARE

Keep Update!

  • Mail Magazine Subscription

    いま読むべき記事や最新情報をメールでお届け

  • Follow SNS Account

    SNSでは最新記事やイヴェント情報を配信中

  • Print Magazine
    Subscription

    定期購読の詳細をみる