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【大相撲】

日本相撲協会、臨時理事会で貴乃花親方の理事解任を決議 元横綱の暴行事件で

2017年12月29日 紙面から

臨時理事会後、部屋に戻った貴乃花親方=東京都江東区の貴乃花部屋で(武藤健一撮影)

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 日本相撲協会は28日、東京都墨田区の両国国技館で臨時理事会を開き、元横綱日馬富士による暴行事件で、巡業部長として報告を怠るなどした貴乃花親方(元横綱)に対して理事解任を決議した。来年1月4日に開催される臨時評議員会で決議されれば、相撲協会初の理事解任が正式に決まる。2階級下の役員待遇委員に置かれる重い処分。出席した理事からは貴乃花親方に辞任を勧める意見も出たが、これを拒否。与えられた弁明にも「特にありません」と答えたという。

 秋巡業中に起こった元横綱日馬富士による暴行事件に一定の結論が出た。貴乃花親方は巡業部長として事実を把握していたにもかかわらず協会への報告義務を怠ったこと、危機管理委員会の聴取を拒否し続けてきたことによって、日本相撲協会の歴史上初の理事解任が事実上決まった。

 危機管理委員会の聴取に対し、同親方は「貴ノ岩ではなく、別の部屋の力士であったら報告したかもしれないが、自分の弟子のことだから調べようと思い、すぐには報告しなかった」「事態の把握をしなければ協会には報告のしようもなかった」と応じていることに、高野利雄委員長は「弁解に終始している。けがした者が自己の相撲部屋に所属するかどうかはおよそ理由とはなり得ない。被害者側の立場であることを勘案しても、その責任は重い」と一刀両断。他にも一つ一つ細かい点まで貴乃花親方の責任を追及した。

 弁明を求められた貴乃花親方は「特にありません」と答えたという。ある理事から、辞任の意志はないのかと聞かれたがそれも拒否し、理事会の判断に自身を委ねた。

 親方に対する協会の懲戒には6種類あり、軽い順から(1)けん責(2)報酬減額(3)出場停止(4)業務停止(5)降格(6)解雇と定められている。理事解任を付議する評議員会開催を求める決議は挙手ではなかったが、貴乃花親方を除く10人の理事から異論がなかったため、全会一致で決定した。

 八角理事長(元横綱北勝海)も「貴乃花理事の行為は、理事の忠実義務に著しく反するものと言わざるをえません」と語気を強めた。

 理事解任となった場合でも「来年初場所後の理事候補選挙(理事選)への立候補することは可能。師匠として弟子の指導はこれまで通り行える」と八角理事長は補足したが、理事解任という汚名を背負うことに変わりはない。

 来年初場所後にある理事選挙に立候補し、当選すれば春場所後には理事復帰が可能となる。ただし理事を選任するのは評議員会。「著しい義務違反」で1月に解任した理事を、選挙で当選したという理由で、わずか3カ月後に復帰を認めるかどうか。貴乃花親方の復帰には、いばらの道が待っている。 (岸本隆)

◆この日も口開かず

 貴乃花親方は報道陣の問いかけには一日中、無言を貫いた。

 東京都江東区の貴乃花部屋には早朝から報道陣が大挙して集まったが、理事会に向けて出発する際は言葉を発さず、硬い表情。理事会が開かれた東京都墨田区の両国国技館の外周にはテレビ局の中継車両が並んだ。

 八角理事長によれば、理事会の最中、発言を求められても意見を述べなかったという。理事会後には「処分についてどう思う」と食い下がる報道陣に目を向けずに悠然と車に乗り込み、部屋に戻っても口を開かなかった。周辺の混乱を避けるため、警察車両が何度か訪れた。

 

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