名古屋市の河村たかし市長は29日未明、市営地下鉄東山線の名古屋―伏見駅間にかつて建設が検討された「柳橋駅」(仮称、中村区)の建設候補地を視察した。河村市長は11月に市議会で、再開発の起爆剤とするため、新駅設置の構想をまとめるのに必要な調査費を2018年度予算案に盛り込む方針を示している。
柳橋駅は地下鉄開業前の1940~50年代に建設が検討されたが、利用者数が見込めないことなどから実現せず、「幻の駅」といわれてきた。
29日午前0時45分ごろ河村市長や職員、市議らが伏見駅から名古屋駅方向に線路を700メートルほど歩いた。駅の基本構造として残る約120メートルのコンクリート製の床や「柳橋構造物」と書かれた壁などについて、河村市長は市職員らの説明を受けた。
河村市長は報道陣に対し「構造があった所に(駅を)造るのはハイリスクではない」とした上で、付近に柳橋中央市場があることを踏まえ、「名古屋に観光に来てもらうには食文化も大きなテーマになる」と話した。
名古屋―伏見駅間は約1.4キロメートルあり、東山線では最も長い。27年のリニア中央新幹線の開通に向けて名古屋駅東側は再開発が進み、伏見でも高層マンションの建設が相次ぐ。一定の利用者数は見込めるものの、用地確保や巨額の事業費などの課題もある。