『陸王』茂木が勝ち、大地が「仕事の面白さ」を語る 大感動&喝采の最終回
竹内涼真演じる茂木が見事勝利。こはぜ屋は復活し、大地は仕事の面白さを語れるまでに成長。なお、小原は左遷された。
(画像提供:(C)TBS『陸王』)
24日、TBS系ドラマ『日曜劇場 陸王』の最終回が放送された。
「父と息子」「大企業と中小企業の闘い」「マラソンランナーの再起」など、さまざまなストーリーが描かれてきた本作だが、すべてが綺麗にまとまる、堂々の最終話となった。
■これまでの『陸王』
本作は埼玉県行田市で100年以上続きながらも倒産の危機に瀕している足袋業者「こはぜ屋」が、復活をかけてオリジナルランニングシューズ「陸王」の開発に挑む物語。
まったくノウハウのない状態からスタートした足袋作りは、正岡あけみ(阿川佐和子)ら職人の技術と、飯山(寺尾聰)が開発した特殊素材「シルクレイ」のソールへの導入で、少しずつ理想に近づいていた。
やがて宮沢の熱意は周囲に波及し、シューフィッターの村野(市川右團次)や埼玉中央銀行行田支店の銀行員・大橋(馬場徹)など、当初はライバル企業にいたり、敵対関係にあった人物も巻き込んでいくことに。
しかし、「シルクレイ」製造機が故障し、新たに必用な資金1億円が銀行から融資してもらえず。「こはぜ屋」は最大の窮地に直面することとなる。
そんな中、浮上した「フェリックス社」による買収話。社長の御園(松岡修造)はいますぐにでも3億円を用意できると言うが、宮沢は買収を断り業務提携を提案。しかし、御園には断られてしまうことに。
■御園からの提案 そして、茂木は…
袂を分かったかに思えた「フェリックス社」と「こはぜ屋」。しかし後日、御園から驚くべき提案がなされる。それは「こはぜ屋に3億円融資するが、5年以内に必ず返済すること。できなかった場合は傘下に」というものだった。
3年間は「フェリックス社」から大口の発注を受けられるものの、「こはぜ屋」にとって厳しい条件であることに変わりなかった。しかし、宮沢は決断してそれを飲むことに。
そんな中、因縁の「豊橋国際マラソン」を走ることになった茂木(竹内涼真)。しかし、レース直前に宮沢と村野の訪問を受け、「陸王」を履いて走ることを決断する。
「アトランティス社」との契約違反をおかしたわけだが、そんな茂木を監督の城戸(音尾琢真)は「選手は命を削って走ってる」と守ることに。そして「陸王」を履いた茂木が登場。何も知らない「こはぜ屋」の社員たちは泣き崩れるのだった。
■茂木が毛塚を破り見事優勝
そんな中、はじまったレース。ペースを保ちながら茂木はチャンスを伺い、それをものにしていく。
だが、「ただ勝ちさえすればいい」と考えていないのが茂木。ライバル・毛塚(佐野岳)が給水に失敗すると、黙って自分のボトルを差し出したのだ。
その後、首位を走っていた黒人選手の次を競う形で走っていたふたり。だが40キロ地点で、黒人選手がケガで離脱してしまう。そこは、2年前に茂木がケガしたのと同じ場所だった。
それをきっかけに、1年前の悪夢を思い出してペースを乱した茂木。しかし、そこで見えたのは自分を必至で応援してくれる宮沢と、長男・大地(山崎賢人)の姿だった。
声援を受けた茂木は見事1位に。そして、記者会見の場で「陸王」および「こはぜ屋」への感謝の言葉を語った。
■誰もいない会社で鳴り続ける電話
この日、社員総出で応援に来ていた「こはぜ屋」。誰もいない会社で、電話がひっきりなしに鳴り続けるのだった。
会社がたしかに変わったことを、一切の言葉なく表現するこの粋な演出に、感動した視聴者は少なくなかった様子だ。
■「こはぜ屋」復活へ 小原は残念無念
「陸王」の成功によって息を吹き返した「こはぜ屋」。1年後には年商30億円となり、社員も60人へと増加した。
一方、多くの契約選手を失った「アトランティス社」は、小原(ピエール瀧)を戦犯として出向させることを決定。彼の腰巾着だった佐山(小藪一豊)も「1からシューフィッターとしての勉強をする」と、彼のもとを離れていく。
本作最大の悪役だった小原。そんな彼を負かしたことに、爽快な気持ちになった視聴者も多い模様。
しかし、「唯一改心しなかった」「悪を全部引き受けた」という意味で、ハッピーエンドのスピンオフを期待する声も。
■「仕事の面白さ」を語る大地に感涙
「陸王」をめぐるストーリーの一方で、もうひとつの大切なエピソードも綺麗にまとめられた。大地の成長物語だ。
第一志望だった「メトロ電業」の最終面接を受けることになった大地。その席で「こやぜ屋の日々で何を学んだか」を面接官から問われた大地は、次のように話す。
「仕事の厳しさと、そこに逃げずに挑戦する楽しさです。それが仕事の本当の面白さだと気付かされました」
真面目に働いた経験のある人であれば、きっと涙するであろう名台詞。実際、ネット上では多くの反響が確認できる。
■本気で応援する銀行員・大橋にキュン
アツすぎるほどにアツいエピソードが多く見られた最終回。しかし、そんな中で視聴者を胸キュンさせた存在も。銀行員の大橋だ。
データを大切にする彼はもともと「こはぜ屋」の挑戦に否定的だった。しかし、宮沢のアツい気持ちに接するうちに徐々に変化。この日は仕事中にも関わらず、大声で茂木を応援し続けた。
本作における、貴重なツンデレキャラになったようだ。
■これぞサラリーマンの応援歌だ
「サラリーマンにとってのフィクション」とも言えるような、大団円の最終回となった本作。「現実はこんな風に上手くいかないよ」と思った人もいるかもしれない。
しかし、なかなか夢を持つことのできない今の時代を生きる人の背中を押すには、これくらいがちょうどいいのだ。そんな風に思える、極上の「サラリーマンの応援歌」に、惜しみない拍手を送りたい。
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(文/しらべぇドラマ班・クレソン佐藤)