佐藤さんと木内さんが退任した後、「15年金利を操作の目標にする」提案が出されたりとすっかり大喜利大会になってしまった感がある日銀政策決定会合だが、本日公開された「12月会合の主な意見」でも突拍子のない意見が一部で波紋を呼んでいる。

South korea inflation
韓国のインフレ率。 
 
「海外の状況をみて「量的・質的金融緩和」の出口を求める議論が盛んである。しかし、直近の韓国の政策金利引き上げの背景 を考えた場合、物価は 1.5%程度でアンカーされているといえ、実質GDPは平均3%以上で成長している。さらに、家計の債務残高はGDPの90%にもなっている。韓国の状況と比べても、 日本の金融政策の転換は時期尚早である」

 一体誰が韓国の話をしていたのか。欧米が出口政策に着手したのに日本は出口が見えない、という感想はあっても、韓国が利上げしたくらいなので日本も出口政策に着手すべきだ、という意見は寡聞にして知らない。そもそも筆者のような怠惰な一般ピープルは韓国が利上げしたことをすら知らない。しかも韓国のインフレは1.5%にアンカーされていたわけではなく、つい数ヶ月前までターゲットを上回っていたではないか。「Fedはインフレターゲット未達下でもテーパリングと利上げを始めているが、日銀はFedと考え方が異なるので愚直にターゲットにコミットしていきたい」で十分ではないか。

 日本には欧米のような余裕がもうないので新興国に目線を合わせたいという潜在意識からの国チョイスというのはさすがに勘繰りすぎだろうが、日銀内か外かもわからないが、その委員の周りには韓国の利上げに影響を受けた人がいたのだろうか。

 なお、「物価は2%に向けて加速していく」という大本営発表と、だいたい毎回1パラグラフだけ「〜という意見があるが、それはナンセンスである」 という藁人形論法が入っているが、それら以外の経済情勢の紹介などは珠玉の言葉と言えないにしてもかなりクオリティが高いので一読の価値があると思う。現実的には韓国云々よりも、「追加緩和はない」を確認しただけの10月会合と比べ、「金利水準の調整の要否を検討することが必要になる可能性もある」、つまり目標金利の引上げを示唆した委員が一人いたことが12月会合のこのペーパーの特徴として重要だと思われるが、こちらもとっくに発信していた話なので新味はない。

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