音声検索はますます増える
飛ぶ鳥落とす勢いの俳優を一人だけあげろと言われたら,自分なら菅田将暉をあげる.
そんな菅田将暉のデビュー作は『仮面ライダーW』のフィリップ役,彼単独の決め台詞は「さあ,検索をはじめよう」だった.
検索するとき,たいていはブラウザの検索窓に文字を打ち込む必要がある.
いや,ここは必要が「あった」と言うべきだろう.今やスマホやMacやPCに向かって「Hey, Siri」[1]もしくは「OK, Google」[2]と話しかければ音声で答えてくれるのだから.
『仮面ライダーW』の放送は2010年,それからわずか数年で時代はフィリップに追いついたのだ.
ちなみにGoogleアプリでの音声検索は2016年5月時点ですでに全検索中20%を占めたという(マーケティングの今後を左右する 4 つのトレンド - Google Marketing Next 2017 - Think with Google 日本,下図の出典も同じ).
そして2017年,LINEの「Clova WAVE」,Googleの「Google Home」,そしてAmazonの「Amazon Echo」の各スマートスピーカーが発売された(Appleは出遅れた).
音声検索はますます増えるに違いない.
このことはブロガーに何をもたらすだろうか?
スマートスピーカーは人々をキーボードとモニターから解放する
2018年にビジネスパーソンが理解しないといけない消費者の変化 ―スマート・スピーカー編―(本間充) - 個人 - Yahoo!ニュースは,スマートスピーカーの登場は人々をキーボードとモニター・ディスプレイから解放すると述べている.
PC・スマホを起動し,パスワードを打つ/指紋や顔で認証し,ブラウザを開き,検索窓に検索ワードを打ち,検索結果から記事を選び,読んで必要な情報を探し出す.だがそんな手間は必要なくなった.
さもありなん,スマートスピーカーの設定さえ済ませれば「パソコン音痴」の年配の人々,たぶん自分の親だって「OK, Google/Alexa,今日の天気は」くらいすぐできるようになるだろう.
無論,まだスマホもPCも持たせてもらえない子どもたちだって同じだ.いや,彼らは大人よりはるかに早くスマートスピーカーを使いこなすに違いない.
スマートスピーカーの登場は,PCはおろかスマホすら介することなく,日常のある程度のことを家族の誰もが検索できるようになる.
ちょっとした検索へのハードルはものすごく低くなるのだ.
普及は容易だ
最近のスマートスピーカについてのブログ記事で鮮烈だったのは,勝間和代さんのGoogle Homeで複数のタイマーを作る方法 - 勝間和代が徹底的にマニアックな話をアップするブログだった.
これならGoogle Homeを買ってもいいかなと物欲を刺激されたほどだ.それくらい訴求力のある記事だった.
「スマートスピーカー」で検索するとすでににたくさんの記事が検索に現れる.
その記事を見て購入に踏み切る人も少なからずいるだろう.
ブロガーが購入したならレビュー記事を書くのはごく「普通」のことだ.今のところスマートスピーカーを買う予定がない筆者だって,もしかしたら1ヶ月後には嬉々としてGoogle HomeかAmazon Echo購入レビューを書いてるかもしれない.そのレビューを読んでスマートスピーカー買う人がまた増えるかもしれない.
スマートスピーカーはきっとヒットするだろう.
こういった機械は,普及すればするほど高機能になり価格も安くなる.そしてますます高機能になってもっと普及する.家に一台どころか部屋に一台あって当たり前の生活インフラになるかもしれない.
だが,と筆者は思う.やがてスマートスピーカーは真綿で首を締めるようにブロガーを殺すに違いない,と.
そしてブロガーはいなくなった
スマートスピーカーはアップデートを重ねるにつれ,日常のちょっとしたことの検索のみならず,こんな質問すら受け付けるようになるだろう.
「おすすめのマンガは?」
「おすすめのアニメは?」
「おすすめの本は?」
「おすすめの映画は?」
「おすすめのガジェットは?」
「おすすめの格安SIMは?」
「おすすめのクレジットカードは?」
ブロガーが検索上位入りを目指して血眼になっている検索ワードすらスマートスピーカーが答える未来なんかすぐにやって来るかもしれない.
2017年12月6日,Googleによる医療・健康関連の日本語検索評価方法のアップデートによって多くのアフィリエイターやブロガーが影響を被った.
だがスマートスピーカー普及による影響はそれよりはるかに大きいだろう.
なぜなら,誰も記事を見ることがなくなれば,広告から発生する収益などすべて無に帰すのだから.
しかも,スマートスピーカーはやがて主の消費性向を知り尽くし,ブログ記事など一切介することなく新しい商品を買えるようになる(すでにある程度現実になっている).
そうなれば収益目的で記事を書くブロガーは去っていくに違いない.まるではてなブログのドメインパワーが落ちたと言って移行していったブロガーのように.
Killing Me Softly With His Song (Remastered Version)
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[1]Siri:Speech Interpretation and Recognition Interface,発話解析・認識インターフェイス.iPhone4Sより搭載され日本語対応は2012年から(Siri - Wikipedia).
[2]Google検索の「OK, Google」コマンドが日本語対応したのが2014年7月とのこと(Google検索 - Wikipedia)