昔のBluetoothイヤホンの音しか知らない皆さま。最近のモデルの音、聴いてみて!
おー、ピアノの一番下のラ音がつかめる。これって27kHzくらいの波形を正確に描けないと難しいんだよね。え? いま聴いているのに使っているBluetoothイヤホン、SBCコーデックでつながっているの?
今年くらいからでしょうか。そんな「おお。すげーなー」と思わせるBluetoothヘッドホン・イヤホン・スピーカーが増えてきました。今日はですね、そんな一品たちをプレゼンしていきますよ。テストに出るから、メモ忘れないでくださいね。
さて。
バッテリー性能の向上、通信性能の向上からきたものか、SBCの音質を決める(ビットレートを決める)パラメータである、Bitpool値を高く設定している機器が増えた。そんな印象があります。まあ再圧縮の兼ね合いから音の遅延は相変わらずなんですけどね。
例えばコチラのSoundPEATS Q30。iPhoneと接続しても高域のヌケがよく、低域もカッチリめ。aptX接続時の音と比べるとややフォーカスが甘めですが、普段聴いているぶんには気になりません。3,000円台でよくも、まあ。
また高性能なDACがポピュラーになってきたというのもあるのでしょう。AAC、aptX、aptX HD、LDACといったより高音質なコーデックを使っていると、「おお。すげーなー」が「おおお。おおおお」に育っていくんですよコレが。ノイズが少なくセパレーションがいいから、音のニュアンスがThe濃厚。
オーディオテクニカのAT-PHA55BTとか、なかなかのモノですよ。Bluetoothオーディオレシーバーとしてはお高めですが、肝心の音がいい。ロットリングで描いたようなシャープな音色の輪郭を、まさかまさかのBluetoothで。歩いてもタッチノイズが入らないようにイヤホンのケーブルを取り回せるのも高ポイントです。
オーテク連打となってしまいますが、個人的にはATH-WS660BTの音が好き! ドンツクドンツク鳴り響くリズム隊のスケール感が大きく、ガツッとタイトに響くから主役となるボーカルも引き立ててくれる。控えめですが奥行きの深さも描いてる。おっと、ジャズもトレビアンじゃないですか。
で、ココからは話が変わりますが、2万円くらいで買えるポータブルオーディオプレーヤーのクオリティも高まってきています。適度なサイズで多機能。数十万級の超高解像プレーヤーが描く巧緻な音場は望めませんがなあに、彼らだって地下鉄での移動中は周囲の轟音ノイズのせいで音がスポイルされます。デイユースでハイレゾを楽しみたいなら、この音質でいいと思うんですよね。
AT-PHA55BTはスマホとイヤホン・ヘッドホンを直結しなくていいメリットがありますが、こちらも同様。音楽は音楽専門機にまかせちゃえ! スマホ側のバッテリー消耗も抑えられるし!
ということで2品、推します。ウォークマンのNW-A40シリーズはぶっちゃけ鉄板。圧縮音源のアップスケーリング機能は曲を選びますが、マッチしたときの瑞々しい透明感の向上っぷりは見事です。ボリュームを抑えめにしても、リアル。緻密なシーンの描き方においては上級機に肉薄しています。
XDP-30Rは元オーディオ御三家たるパイオニアらしい突進力があります。握れそうなサイズで2万円台。エントリーモデルと思うじゃないですか。よりセパレーションを高められる、バランス出力端子があるんですよ。アンプ出力も高くて、ダイナミックダイクマサウンド。男子校的といいますか、やんちゃなボーイ感がありますね。
Bluetoothという観点で見ると、NW-A40シリーズはSBC、aptX、LDACに対応。XDP-30RはSBCのみ。このあたりのスペック差にも、メーカーの思想が見え隠れしていますなあ。
年末年始に時間があったら、オーディオコーナーの売り場面積が広い家電量販店に行ってみてください。プレーヤーにかぎらず、イヤホンもヘッドホンもスピーカーも、同じ価格帯であっても音の傾向がぜんぜん違いますから。そしてこちらで紹介したように、手に取りやすい価格帯のものでも良質なアイテムが増えてきています。
好みの音を出してくれるオーディオ機器探しは宝探しのようなもの。楽しいですよ。
Image: Amazon.co.jp, Audio-Technica(1, 2), Sony, Pioneer
(武者良太)