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ビットコイン分裂 中国の採掘2社が語る通貨の未来 仮想通貨の実相(15)

2017/12/28

PIXTA

 インターネット上の仮想通貨が広く知られる存在となった2017年。代表的な仮想通貨であるビットコインは価格の乱高下が話題を呼ぶとともに、分裂で派生通貨が次々に誕生した。8月に誕生したビットコインキャッシュ(BCH)の分裂を主導したとして注目を浴びた中国のマイニング(採掘)大手、ViaBTCのハイポ・ヤン最高経営責任者(CEO)と、10月に誕生したビットコインゴールド(BTG)の生みの親である中国の採掘大手・ライトニングエーシックのジャック・リャオCEOの2人の大物仕掛け人に、今後の展望などを聞いた。

■本家は「進化停止」

ViaBTCのハイポ・ヤンCEO

 ――なぜビットコインの分裂を主導しBCHを誕生させたのですか。

ViaBTCのハイポ・ヤンCEO 「ビットコインキャッシュはビットコインから大きな進歩を遂げた」

 「ビットコインは取引量が増えるにつれ、送金に時間がかかったり、手数料が上昇したりするなど、様々な不都合が生じていた。ビットコインそのものの進化はもはや止まった。BCHは取引データを記録する分散型台帳である『ブロックチェーン』を形成する1ブロックあたりの処理容量を8メガバイトと、ビットコインの1メガバイトから大きく広げ、仮想通貨本来の特徴である低コストな高速取引を再現した」

 「分裂を主導したのは投資家や採掘者を含む別のコミュニティーであり、ViaBTCは初期段階からBCHを支持してきたにすぎない。それでもBCHはビットコインから大きな進歩を遂げた通貨だとみている。分裂後はBCHへの理解が広がり、多くの投資家や取引所などの支持を集めている」

 ――分裂後もビットコインは価格上昇しました。

 「新規の投資家急増が価格上昇に拍車をかけた。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)による先物取引も始まり、投資家の流入をさらに後押しするだろう。ただ、こうした投資家は単純に価格上昇に乗じているだけで、仮想通貨やブロックチェーンに対する知識はあまり深くないとみている」

 「ビットコインには『投資家』も実際の決済に使う『利用者』も存在する。だが、最近は米欧最大のオンラインゲーム配信会社の『Steam(スチーム)』が価格や手数料の急騰を理由にビットコインでの支払いを受け付けないと発表するなど、利用をやめる動きがある。実社会でのビットコインの実需は減少し、本当の価値は高まっていないのに、投機目的の投資家だけが増えているのは大きな問題だ」

 ――中国政府の規制によって中国の仮想通貨取引所が閉鎖になりました。採掘ビジネスに規制は及ばないのでしょうか。

 「ビットコイン採掘の少なくとも6割は中国系の採掘者だ。将来的に採掘も禁止対象になる可能性はあると思う。もし採掘が禁止されたら、国外に採掘施設を移すつもりだ。すでに国外に施設を建設する動きもあるもようだ。もっとも、採掘ビジネスは過熱しており、中国よりも電気代の安いところを探すのは非常に難しくなっている」

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