日本人の教養として最低限おさえておきたい日本映画15選

こんにちは。本日のテーマ、「日本人の教養として」と聞くと少しお堅いイメージがあるかもしれませんが、日本の映画文化はアニメをはじめ、国内にとどまらず、世界へその名を馳せています。

今回は、名作中の名作と呼ばれるものから、国内より世界での人気が高いものまで、人気の15作品をご紹介いたします。あなたは何作みたことがありますか?

日本映画15選

1.『ゴジラ』

まずは日本に収まらず世界でもその名を轟かせている名作『ゴジラ』です。筆者も作品を選ぶ際に、まず迷わずこの作品を選びました。

近年では『シン・ゴジラ』も話題となっていますが、ゴジラシリーズのオリジンとなる「ファースト・ゴジラ」をご覧になったことがある方は、意外と少ないのではないでしょうか。

作品は1954年(昭和29年)まだ生まれていないという方も、昔若い頃に観た、という方も『シン・ゴジラ』ブームの現在に今一度、こちらの名作をチェックしてみてください。新たな発見があるかもしれませんよ。

2.『七人の侍』

世界で一番有名な日本人監督といえば、やはり黒澤明監督ではないでしょうか。公開されれば全世界でお祭りと化す『スター・ウォーズ』シリーズは、この『七人の侍』が参考になっている、と言われているのは有名な話ですよね。

(なお、他にもウンチクを挟みますと「ライトセーバー」は「刀」、「ジェダイ」という単語は「時代」が由来、ヨーダは日本人の「依田さん」が由来、と言われています)

『スター・ウォーズ』をはじめ、クエンティン・タランティーノなど、『七人の侍』は後の作品へ多大なる影響を及ぼし、世界の映画史に残る名作となっています。そこまで言われたら観るしかないですよね。

3.『太陽を盗んだ男』

若き日の沢田研二(通称:ジュリー)が主演する快作となります。原子爆弾を作って政府を脅す、という奇想天外なストーリーは、当時をはじめ今現在でも語り草となっています。

劇中のザ・ローリング・ストーンズの日本公演が中止になった話は、実際に彼らの来日が中止になった点と結ばれている点も脚本の秀逸さを感じますよね。

そして、何よりも若き日のジュリーは、スタイリッシュさとクールさ、また悪役としての危険性も兼ね備えた、男でも憧れる魅力があります。

4.『戦場のメリークリスマス』

坂本龍一が制作したテーマ曲があまりにも有名な一作ですが、鬼才・大島渚が監督、主演に世界的ロックスターのデビッド・ボウイを起用、ビートたけし、坂本龍一が脇を固める、今考えても豪華すぎるキャストの作品となります。

原題は『Merry Christmas, Mr. Lawrence』、戦闘シーンのない戦争映画の一種となります。

ストーリーはデビッド・ボウイ演じる捕虜となった陸軍中佐ジャック・セリアズの軍人としての立ち振る舞いに陸軍大尉ヨノイは魅せられていきます。

ある種の友情を越した愛情とまでは明確には語られていませんがそんな含みもあります。クリスマスが近くなったら観たくなってくる、少し中毒性もある一作となっています。

5.『ALWAYS 三丁目の夕日』

昭和33年(1958年)の東京の下町を舞台とした、情緒あふれる当時の風景がリアルに再現された一作となります。同じ世代を生きてきた人に言わせると「見ていると涙が出るほど懐かしくなってしまう」ようです。

建設途中の東京タワーや、蒸気機関車、戦後間もない東京の風景や文化、生活などのレトロなものを日本が誇るVFX技術をフルに活かして再現をしています。

古いものを最新の技術で再現させる、という試みも面白いですよね。この、情緒あふれる情景で繰り広げられる心温まるヒューマンドラマを観れば、日本人として生まれたならきっとノスタルジーな気分にどっぷりと浸れるはずです。

6.『八つ墓村』

横溝正史の同名小説を野村芳太郎監督が実写化した、おなじみ金田一耕助シリーズになります。公開当時は「祟りじゃ〜っ!」のセリフが流行語になりました。

オカルト的な要素の強いこちらの作品は、大ヒットを記録し、後の1996年豊川悦司が主演、市川崑監督でリメイクも製作されました。他にも池から足が二本出ているシーンがあまりにも有名な『犬神家の一族』など、元祖・名探偵シリーズとして、日本映画の金字塔として、金田一耕助シリーズをこの機会にぜひご覧になってください。

7.『男はつらいよ』

日本人なら誰もが知る昭和の山田洋二監督のシリーズになります。

今は亡き名優・渥美清演じる車寅次郎こと寅さんを中心に、叶わぬ恋の相手・マドンナ、個性的な仲間たちが繰り広げる、麗しの昭和の時代をリアルに切り取ったストーリーは、どのシリーズも心温まるストーリーをお約束いたします。

『男はつらいよ』というタイトルはよく聞きますが、映画が好きでも実は観たことがない方もいるかもしれません。この機会に、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

8.『バトル・ロワイアル』

「今日は、ちょっと皆さんには殺し合いをしてもらいます」北野武の衝撃の一言が冒頭を飾るこちらの作品は、公開当初“少年犯罪”が社会問題となっていた時期にも相成り文字通り賛否両論を呼んだ話題作となりました。

経済の危機により、1000万人を超した失業者を突破したある国家では、大人への信頼を失くした子供たちが少年犯罪へと走り、校内暴力での死者は年間1200名を超した。大人による恐怖支配を模索した国家は新世紀教育改革法として“殺人ゲーム”通称「BR法」を採用します。

無作為に選ばれた岩城学園中学3年B組の生徒たちは脱出不可能な無人島へ送り込まれ、最後の一人が生き残るまで殺し合いを強要される恐怖の殺人ゲームに巻き込まれてしまいます。

藤原竜也、柴咲コウ、栗山千明、塚本高史、高岡 奏輔など、今名優と呼ばれる俳優たちが勢ぞろいしている点にも注目です。また、深作欣二監督の遺作として最後の衝撃作という点でも邦画史上歴史に残る大作と言えるでしょう。

9.『東京物語』

その独特の世界観から「小津調」と呼ばれる小津安二郎監督の代表作品となります。映像美に徹底した作品作りは世界的にも「世界の小津」と呼ばれ高い評価と名声を得ている映画監督として21世紀になった現代でも多大なる影響を及ぼしています。

1953年に製作されたこちらの作品は、淡々と進む落ち着いた空気感の中で、時と共にバラバラになっていく、とある家族の様子を描いています。現代的に言うなら「核家族化」の走り。

こちらの作品を鑑賞したあとに、『東京物語』の数あるオマージュ作品などもチェックしてみましょう。小津ワールドの理解が深まりますよ。

10.『HANA-BI』

ビートたけし、いえ、この場合は北野武と呼んだほうが良いのでしょうか、コメディアンだけではなく、『戦場のメリークリスマス』、『バトル・ロワイアル』と邦画史上の重要な作品に出演、さらには映画監督として「世界のキタノ」の名声を獲得したこちらの作品は、邦画としては40年ぶりにヴェネツィア国際映画祭にて金獅子賞を受賞した歴史に残る一作となりました。

振り返ってみると、国内のお笑い界では当然のこと、日本映画界に置いても北野武の存在は重要なポジションと言えますね。

11.『南極物語』

日本でも有名な犬、と聞くと皆さんはどの犬を思いつきますか? 渋谷駅のハチ公像として有名なハチでしょうか? では次に有名な犬といえば、若い世代の人は携帯会社の犬も有名ですが、若い世代の両親の世代だったらこちら『南極物語』のタロとジロではないでしょうか。

高倉健の代表作の一つとして、そして邦画史上の金字塔として残るこちらの作品は当時の日本歴代映画興行成績1位を記録。この記録は97年のスタジオジブリ作品『もののけ姫』まで破られることはありませんでした。

12.『スワロウテイル』

日本語、英語、中国語の混ざった無国籍な、サイバーパンクの世界観を表現した鬼才・岩井俊二の代表作の一つとなります。

また、主演となったCHARAが劇中で組まれたバンド「YEN TOWN BAND」は実際に劇中歌である「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」をはじめ、シングルとアルバムをリリースしオリコンチャート1位に輝きます。当時としては珍しいメディアミックスを取り入れた革新的な作品でもあります。

13.『Shall we ダンス?』

この映画をきっかけとしてバラエティ番組での社交ダンス大会など、社交ダンスブームを生み社会現象ともなった巨匠・周防正行監督の大ヒット作品となります。

大満足ではないけれど、ある程度は毎日の生活に満足していたはずの主人公が見つけたもの、それは社交ダンスでした。この映画を観て、社交ダンスではなくても何かをはじめたくなった方も多いはず。主人公の正平はまさに毎日働く我々を演じています。

14.『愛のむきだし』

満島ひかり、西島隆弘が主演、そして鬼才・園子温が監督したなんと237分に及ぶ大スペクタクル長編群像劇です。公開当初は前篇と後編に分かれ、最近の上映では珍しい休憩タイムがありました。

237分と聞くと少し躊躇してしまうかもしれませんが、ご安心ください。あっという間に見終わることをお約束します。

個性の強すぎる登場人物たちとテンポのいいストーリー展開、作品全体を包む「ゆらゆら帝国」の音楽が見事にマッチし、「これぞ園子温」と言えるほどの世界感に没頭できるはずです。また、満島ひかりの演じきった洋子の狂気とも呼べるほどの演技に、見ている我々は衝撃を受けるはずです。

15.『東京オリンピック』

最後に、これは「日本人なら」という意味もありますが「ぜひ2020年までに観ていただきたい映画」といったほうが正しいかもしれません。市川崑が総監督を務めた1964年の東京オリンピック公式記録ドキュメンタリーになります。

その時代に生きていなくても、当時の熱狂、どこか懐かしさを感じる今からみればレトロな東京を体感すれば、2020年にやってくる東京オリンピックがますます楽しみになること間違いありません。ぜひ、年末年始に押さえておいてください。

いかがでしたでしょうか。どの作品も「タイトルは聞いたことはあるけれど見たことはない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、15作品のうち、いくつかは観たことがある方も多いはずです。

あと20年、30年経てば更なる名作が生まれ、15選に入るかもしれませんね。そう考えると今後の日本映画界が楽しみで仕方ありません。ぜひ、お時間がある際にチェックしてみてください。

Career Supli
今回ご紹介している作品は歴史に残る名作ばかりです。まだ見てない作品があればぜひ見てみてください!
[文]ロックス
映画を中心に執筆活動中。得意なジャンルはB級〜Z級映画。勝手にその年の受賞作品を決める「輝け!ぬかデミー賞」を主宰。バンド活動、ウェブメディアの運営やイベント製作など、マルチに活動中。

[編集] サムライト編集部