【2017年】シロアリ被害調査。シロアリが最も出やすいのは「和歌山県」
日本最大級のライフサービスプラットフォームを展開するシェアリングテクノロジー株式会社は、当社に寄せられた全国のシロアリに関する相談データをもとに実態調査を行いました。
また当社が運営する「シロアリ110番」や「生活110番」等は、シロアリ駆除においてご利用シェアNo.1(楽天リサーチ調べ)を獲得しております。そのため今回の調査結果は、日本全国のシロアリ被害の実態を少なからず反映したものと考えられます。
シロアリ指数1位は「和歌山県」
今回の調査では、当社に寄せられたシロアリ相談件数を各都道府県別に集計し、10万世帯あたりの件数に直したものを「シロアリ指数」としました。このシロアリ指数が高い都道府県順に並べ、2016年の同指数と比較したのが下表です(表1)。
表1・2017年都道府県別「シロアリ指数」
(主に当社運営の【シロアリ110番】から得られたデータに基づく)
2017年の調査で、シロアリ指数が最も高かったのは「和歌山県」、次いで「長崎県」、「宮崎県」となりました。一方で、下位には昨年同様「東京都」と「北海道」、東北各県が占めています。
シロアリは「暖かくてジメジメしたところ」を好む習性があります。和歌山県は多雨地域である紀伊半島南部に位置しており、温暖かつ湿度が高い地域です。同じく多雨地域である宮崎県や長崎県も、シロアリにとっては過ごしやすい気候といえるでしょう。
一方で、シロアリは寒さに弱いという特徴もあります。住宅に被害を出すシロアリの中だと、「ヤマトシロアリ」は北海道北部を除く日本全土に分布していますが、ほかの「イエシロアリ」や「ダイコクシロアリ」は比較的温暖な地域に分布が限定されます。このため寒冷地域である東北や北海道ではシロアリ被害が比較的少なく、シロアリ指数が低くなった一因と考えられます。
また住宅が密集した大都市圏はシロアリ被害が多いイメージがあるかもしれませんが、東京都のシロアリ指数は全都道府県中44位と下位に位置しています。この要因として、マンションなど非木造の集合住宅に住む世帯が多いことが考えられそうです。
ただし件数として多くはないものの、マンションでもシロアリ被害は確認されています。非木造住宅であればシロアリ被害は無縁というわけではありませんので、ご注意ください。
シロアリ指数上位県の市区町村別相談件数
続いて2017年シロアリ指数の1位・2位である和歌山県と長崎県では、市区町村単位での集計も行いました(表2)。
表2・和歌山県・長崎県の市町村別シロアリ駆除件数割合
(主に当社運営の【シロアリ110番】から得られたデータに基づく)
両県ともに人口が最も多い和歌山市・長崎市からの依頼が多いのはある意味当然と言えますが、一方で下記の市町村は特徴的な気候を持つ地域であることから、シロアリ駆除件数も多くなっていると考えられます。
【和歌山市・和歌山県岩出市】
両市とも和歌山県北部を流れる紀ノ川沿いに位置し、瀬戸内気候の特徴である寒暖差の小さい気候の地域です。
【和歌山県田辺市】
和歌山県田辺市は紀伊半島南部に位置し、その面積の約9割を森林が占めています。地域差が大きいものの、市全体でみれば降水量の多い地域となっています。
【長崎市・長崎県大村市】
両市とも大村湾に接しており、暖流である対馬海流の影響も受け寒暖差が小さく全般的に温暖な気候の地域です。また梅雨の雨量が多い地域でもあるため、高温多湿の環境が続きやすい傾向にあります。
【長崎県佐世保市】
日本海側と太平洋側の気候の境に位置するため、雨が多い地域です。そのため高温多湿の環境が維持されやすいといえます。
住宅内でシロアリが発生する場所は?
さらに今回の調査では、シロアリ発生場所の傾向についても調査しました。シロアリの発生箇所別に分類した割合は下表です(表3)。
表3・シロアリ発生箇所別割合
(主に当社運営の【シロアリ110番】から得られたデータに基づく。複数回答)
発生場所においてもシロアリは湿気の溜まりやすい「床下」や「浴室・キッチン」などを好む傾向が見られました。また意外かもしれませんが、侵入が容易な家の出入り口付近である「玄関・勝手口」の被害も大きな割合を占めています。こうした箇所にはシロアリ予防の対策を万全に行う必要があります。
また「和室」もシロアリの被害に遭いやすい場所であることがわかります。特に畳は室内の湿度を調整するはたらきがありますが、部屋の湿度が高いまま放置すると畳やその下に湿気が溜まります。これが畳のカビの原因になるだけでなく、シロアリにとっても住みやすい環境が生まれてしまうのです。
そのため湿度の溜まりやすい場所は換気をしっかり行い、湿気を溜めない工夫が大切でしょう。
シロアリ相談が最も多かった築年数は?
最後に築年数別にもシロアリ相談事例を分類したのが、下表です(表4)。
表4・予防/駆除の割合と築年数別シロアリ相談事例
(主に当社運営の【シロアリ110番】から得られたデータに基づく。複数回答)
シロアリに関する相談を受けた住宅の築年数は幅広く分布していますが、築年数が上がるにつれて「予防」ではなく、「駆除」の相談が増加する傾向が見られます。特に「築16年以上」経過した住宅では、8割以上が「駆除」に関する相談となりました。
また築年数が「5年以下」の築浅の住宅でも4割近くが「駆除」の相談をしていることも見逃せません。シロアリは築年数の高い住宅を好むわけではありませんので、「築浅だから大丈夫」と過信して、シロアリ予防を怠るのは賢明な判断とは言えません。
そもそもシロアリ被害は住宅の構造部に大きな被害を与えるため、その資産価値は大きく下がってしまいます。しかもシロアリを駆除しても、「瑕疵物件」となってしまう以上、不動産価値が回復するものではありません。
そうした経済的な観点からも、シロアリは「予防」が大切です。定期的な予防施工を行ない、シロアリが繁殖しにくい環境を維持しましょう。
ちなみに【生活110番辞典】ではこのほかにも、シロアリ対策に関するコラムを多数掲載しています。あわせてそちらもぜひご参照ください。