重病の子供たち避難 シリアの反政府勢力地域から
赤十字国際委員会(ICRC)は27日 、シリアの首都ダマスカス郊外の反政府勢力支配地域で、重病の子供たちの避難を開始したと明らかにした。
ICRCはツイッターで、「重体」患者を東グータからダマスカスに搬送していると書いた。
英国の慈善団体「シリア医療救援組織連合(UOSSM)」によると、政府軍の包囲が4年間続く同地域からがん患者の子供7人を避難させたいと、シリアのバシャール・アル・アサド大統領に要望し、大統領がこれを検討していた。
グータ東部では、130人以上の子供が救急治療を必要としている。
国連によると、人口40万人の東グータでは子供の12%近くが深刻な栄養失調状態にある。
ICRCは26日、避難に使用う複数の救急車の写真を公表した。搬送人数については明らかにしなかった。
シリア・アラブ赤新月社(SARC、国際赤十字に相当) はその後、母親と一緒にいる幼い子供たちの写真をツイッターに投稿。子供たちはダマスカスの病院に搬送されると説明した。
SARCは、「SARC会長と国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC) 会長が支援する長い交渉の末、SARCのボランティアは先ほどICRCと共に、治療が必要な患者を東グータからダマスカスの病院へ搬送し始めた」とツイートした。
UOSSMのヘイミッシュ・デブレトン=ゴードン顧問は先週BBCに対し、がんを患う子供たちの避難を検討するとシリア大統領府が表明したことを明らかにした。
デブレトン=ゴードン氏は、「アサド氏が(子供たちの避難を)検討しているそうだ。火曜日の朝に大統領に再度電話をして、直接話をする」と述べた。
「大統領が許可すれば、至急グータへ行き、子供たちを避難させる計画だ」
UOSSMは東グータで活動している。
シリア政府は今回の動きについて、公にはコメントしていない。
赤十字は12月に入り 、東グータでの生活は「不可能」になりつつあり、状況は「臨界点」に達したと述べていた。
国連は数週間前から、治療目的の避難を手配しようとしてきた。
東グータではシリア政府による最近の爆撃で市民数十人が死亡し、食糧不足のため多くの住民が極度の栄養不良に陥っていると言われている。
この地域は、シリア政府の主要同盟国ロシアおよびイランと、反政府勢力を支援するトルコにより、「緊張緩和地帯」 に指定されている。