フランスでは、「大切なものは宅配便で送らないように」と言われています。クリスマスカードを郵送することすら躊躇して、電子メールでのカードのやりとりが随分と多くなってきています。
私がパリに住み始めたのは2000年のことです。現在は随分とよくなったのですが、いろんな方から「荷物が届かないことも普通にあるよ」と言われて驚いたものです。
日本のように宅配便で気軽に送るということはなく、「大切なものは絶対に送ってはいけない」と、フランス人の夫から言われたくらいです。たとえば、義母が我が家に結婚式などでかぶるつばのひろい帽子を忘れたので彼女の家に送ろうとしたら、「どこかで行方不明になるから今度パリに行ったときにピックアップするわ」と普通に義母に言われたこともありました。
苦い経験も多くしています。
たとえば、日本の大切なお知り合いから、1月中旬ごろ「江里子さんにプレゼントを送ったのですが……」とメッセージが届きました。クリスマスプレゼントですから、12月半ばにつくように日本から送ってくださったというのです。もちろん私は受け取っていません。ですから先方からすれば私は、受け取ったのにお礼を言わない、とても失礼な人になってしまっていました。
あわてて先方と私で宅配便の追跡をしたところ、ひと月近く経っているのになんとパリの空港にあり、日本へ向けて送り返されるところでした。
このときの追跡履歴を読むと、“不在のため持ち帰り”とありました。しかし我が家に不在通知は届いていませんでしたし、不在時にも管理人さんが受け取ってくれるはずなので、そんなことはあるわけがないのです。配達の方がさぼってしまったのかな? と思うしかありませんでした。