乗用車であおり運転をしてオートバイを転倒させ、乗っていた男女に重軽傷を負わせて逃走したとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた京都市上京区の調理師、橋本雅治被告(57)に対し、京都地裁は27日、懲役2年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役2年)を言い渡した。片多康裁判官は「犯行はあまりに短絡的。(被害者に)多大な恐怖を与えた」などと述べた。
判決によると、橋本被告は8月4日午前0時55分ごろ、京都市中京区の市道で、前方のバイクの速度が遅いことに立腹。約120メートルにわたって後方から何度もクラクションを鳴らして車間距離を詰めた。更に交差点手前で急に割り込んでバイクに車を衝突させ、運転していた男性に全治約2週間、後部座席の女性(19)に全治約2カ月のけがをさせて逃走した。
片多裁判官は、橋本被告のあおり運転について「自動車に比べて安定性に欠けるバイクに、至近から割り込む危険性の高い行為」と批判。運転前に飲酒していたとも指摘し、「独善的で危険な運転だった」と非難した。
事件を巡っては府警が当初、自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で逮捕したが、京都地検がより罰則の重い同法違反(危険運転致傷)の罪で起訴していた。男性は判決を傍聴した後に記者会見し、「事故を思い出すので法廷で被告の顔は見られなかった。あおり運転を厳しく処罰できる制度になってほしい」と語った。【飼手勇介】