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『鱗光』連載中の「ひとこと中国語レッスン」の音声(MP3)は
こちら→第1章 第2章 第3章 第4章 第5章 第6章


■錦鯉用語辞典

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■あ行

【藍墨】(あいずみ)
藍色系の墨。狭義では、藍衣や衣三色などに見られる墨のことで、大正三色の墨質にも使われる。

【揚がる】(あがる)
(状態などが)「よくなる」という意味と、野池から「出してくる」という意味がある。色に対して使う場合は前者で、緋色を濃くするときに使い、「色揚げ」(いろあげ)とも言う。入っていた野池から出てくるときには後者を使い、「池揚げ」と表現する。いずれにしても、いい状態になったときに使うことが多い。

【顎】(あご)
エラ蓋と同義語。産地新潟では「あぎ」とも言っている。

【頭】(あたま)
口先からエラ蓋の開閉部を境目とする鱗のない部分。鑑賞上、体形の良し悪しを左右する箇所でもある。ここに入る緋模様を「頭緋」(とうひ)と呼ぶ。「頭緋」が目の位置まで達していないものを「頭が軽い」とか、「突っ込みが浅い」と言う。緋模様が目線の位置あたりまでほどほどに入っているものを「頭の出がいい」と称する。また、「頭がいい・悪い」という表現は、頭部の模様の良し悪しを表わすほかは、浅黄・秋翠・光りものなどで、ムラのない美しい頭を表現する場合にも用いる。

【厚み】(あつみ)
斑紋を形成している色素が深く、かつ重層に感じられること。「緋盤が厚い」と言うときは、緋盤の色素が体内に向かって結集している状態を指す。

【あと墨】(あとずみ)
当歳や二歳で、まだ体表に墨が出ておらず、成長するにつれて出てくる墨。「二番墨」とも言う。皮下に黒色色素細胞があるために、一般的に青く見える。「あと墨」で浮いて出たものが、「ツヤ墨」や「本墨」であることが多い。「底墨」や「サシ墨」と同義語として使われる。

【油焼け】(あぶらやけ)
「肌焼け」と同義語。とくに「テリ」が油で汚れたように感じられて、体表が血走って、充血した状態を指す。内臓の変調が原因のことが多い。

【網目】(あみめ)
体全体に鱗の外観が、網を広げたように見えるところに由来した言葉。一枚一枚の鱗が表面に見えている形状は扇形で、その全体の並び方をして「網」(あみ)、または「網目模様」(あみめもよう)などとも呼ぶ。

【荒ごけ】(あらごけ)
「ドイツ鱗」と同義語。ドイツ種に見られる大型鱗。現在の和鯉にはドイツ種が交配されている。和鯉の選別中に、ドイツ種の大型鱗が見られるとき、主に使われる用語。「荒ごけ」の混じっているものは鑑賞価値が下がるので、選別段階で捨てられる。

【勢い】(いきおい)
迫力のある模様の形状について使われるが、泳ぎ方にも流用される。

【石垣鱗】(いしがきりん)
「鎧鯉」「鎧ドイツ」「荒ドイツ」と同義語。「鎧鯉」を別名「石垣鯉」と呼び、その鱗をこのように称する。大小の石が不規則に入り混じった石垣からネーミングされた。

【市松模様】(いちまつもよう)
四角形(に近い形状)を互い違いに並べた模様。もとは江戸時代の歌舞伎役者であった佐野川市松が用いた着物の模様に由来する。広義には二つの色が交互に現われる様子に用いるが、錦鯉用語では黒と白との模様に用いられるケースが多い。白写りや昭和三色の写りもの系によく見かけるが、紅白であっても流用されることがある。

【一本緋】(いっぽんひ)
「連続模様」の一種。頭部から尾部まで緋模様が連続しているもの。古くは「流紅」(りゅうこう)とも言っていた。

【稲妻模様】(いなずまもよう)
雷光のように、直線が折れ曲がって見える模様。おもに緋模様のみに用いて、墨模様に用いない。しかし、近年は昭和三色の墨の「連続模様」に対しても用いることがある。「連続模様」の代表的な模様で、以前は「稲妻模様」であれば高く評価された時代があった。

【色鯉】(いろごい)
錦鯉の別名。昭和初期の新潟で呼ばれていた呼称。「花鯉」とも言われた。

【員数】(いんずう)
鑑賞上の体形・色彩・模様などの必須条件のこと。諸条件がそろっていることを「員数が揃う」と言い、必要な条件が欠如していることを「員数が足りない」と言う。鑑賞上、必ずしも「員数」のすべてが揃わなくてもいいのだが、生産者は親鯉の選定には員数を大切にする。たとえば紅白においては、「緋質」の良さ、模様の入り方、「尾止め」の良さ、「目赤」や「手赤」になっていないか、顔にシミのないことなどが条件に挙げられ、それらの条件をまとめて「員数」と言う。

【浮き白】(うきしろ)
白地をベースにした肌の形状。「白肌」のこと。成長するに従い、徐々に白地が白くなっていくさまを「白地が抜ける」と表現する。

【浮く】(うく)
地肌から墨などの模様が浮き出てくること。「浮き出る」とも言う。

【鱗】(うろこ)
鯉の体表をおおっている皮膚の一部。「真皮」(しんぴ)の一部分が変化して形作られたもので、その形状は楕円形・釣鐘形をしている。「粘膜層」(ねんまくそう)に覆われて、つねにぬるぬるしている。

【尾】(お)
解剖学的には肛門部から尾鰭の付け根までを言うが、鑑賞上では尾鰭そのものと、背鰭の終端から尾鰭の付け根までの二通りの解釈をする。とくに後者は、「尾筒」(おづつ)と呼ばれている。「尾筒」は体形を見る上でもっとも重要な部位の一つである。さらに、尾鰭の付け根の部分を「尾付け」(おづけ)と称する。尾付けにある斑紋のことを「尾締め」(おじめ)あるいは「尾止め」(おどめ)と呼称する。ちなみに、「尾筒」「尾付け」「尾止め」は斑紋を表わす場合にも、体形を表わす場合にも、混同して用いられている。正しくは、「尾筒」は肛門部から尾鰭までの部位、「尾付け」は尾鰭の付け根の部分、そして「尾止め」は最後部の斑紋……、このように明確に使い分ける必要がある。ちなみに、大正三色で尾鰭に縞模様があるときには「尾縞」(おじま)と呼ぶ。

【大墨】(おおずみ)
大正三色に用いる言葉で、墨量が多く、力強く豪快な印象を与える墨斑のこと。反義語に「小墨」。

【大模様】(おおもよう)
模様の広さを表わし、体全体に大きな柄模様を形成している状態。「小模様」の反義語。明確な基準はないが、模様が七?八割だと「大模様」と呼ばれる。

【親骨】(おやぼね)
胸鰭の前縁の一番太いところ。

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■か行

【顔】(かお)
頭部から頬にかけての漠然とした部位。模様について言う場合は「顔がいい・悪い」と表現し、体形上の表現については「顔が大きい・小さい」と呼ぶ。

【鏡鱗】(かがみりん)
「ドイツ鱗」と同義語。ドイツ鯉特有の大型鱗が首筋から尾まで整然と並ぶ鯉を「鏡鯉」と呼ぶ。別名「大鱗」(たいりん)とも称する。

【重ね】(かさね)
模様の上にさらに模様が重なっている状態。

【カサネ墨】(かさねずみ)
大正三色において緋盤にのっている墨のこと。緋に重なった墨はしばしば色濃く見える。反意語は「ツボ墨」。

【肩】(かた)
頭部の末端から背鰭までの部位。とくに頭のすぐ後ろの部分を「肩口」(かたぐち)と称する。「肩」や「肩口」は模様の中心になることが多く、ここに大きな欠点があると致命的になる。べっ甲や大正三色であれば、ここにある墨を「肩墨」(かたずみ)と呼んで、模様全体の大きなウエイトを占める。また、肩部の張った体形のことを「肩張り」(かたばり)と呼ぶ。

【型】(かた)
模様や斑紋のこと。「型付き」(かたつき)とは、選別において模様の出方がよく、残せるような稚魚に対して用いる用語。

【片模様】(かたもよう)
模様が左右どちらかに偏っていて、均等でない状態。「片柄」(かたがら)とも言う。これをマイナス要素ではなく、個性として捉える愛好家が増えてきた。

【鹿の子】(かのこ)
模様を形成している部分の鱗一枚一枚の覆輪が白く出て、鹿の子絞りのように、緋色が鱗の中心部だけに出現した状態。緋斑は、点のような斑紋を描く。

【被り】(かぶり)
模様が頭部を覆う状態。緋模様が頭部全体を覆うと「面被り」と言い、エラ蓋を覆うと「エラに被っている」と表現する。

【柄】(がら)
錦鯉の体表における模様・「斑紋」(はんもん)。錦鯉の鑑賞上の三大要素である「体形」「質」と並ぶ重要な見所。近年は定型的な「柄」よりも、個性的な模様が好まれている。

【革鱗】(かわりん)
ドイツ種の「革鯉」の肌を言う。手触りは肉に触れたように柔らかく、まるで動物のなめし革のようで、レザー感覚と言ってもいい。

【ギク】(ぎく)
腰が折れ曲がったように、ぎくしゃくと泳ぐ様子。多くが病気治療のために散布した薬品が過剰だったために発生する。

【教科書的】(きょうかしょてき)
基本的に忠実な鯉、あるいはオーソドックスな模様について使われる用語。

【器量】(きりょう)
模様の良し悪しを示す用語。人間の顔立ちに見立て、頭部から肩口までの模様に使う。

【切れ上がり】(きれあがり)
「尾締め」の最後部における緋盤の入り方の角度。昔はこの角度が小さければいいとされていたが、近年はさほど大きな要素として見なくなっている。

【切れ込み】(きれこみ)
模様が頭部から体部につながっていながら、肩口の部分に白地が切れ込んだように入る状態。これがあることで、単調な模様に変化が生じる。

【キワ】(きわ)
鱗の重なりで、横と後ろの際のこと。重なりの前側である「サシ」の対義語。鱗の形状に沿って波型になったものを「ウロコギワ」、刃物で切ったような状態のものを「カミソリギワ」と呼ぶ。「キワ」は緋盤に対して用いられるので「緋ギワ」とも呼ばれる。

【均一性】(きんいつせい)
斑紋の色彩に濃淡がないこと。緋盤によく用いられる。対義語に「ムラ」。

【金鱗・銀鱗】(きんりん・ぎんりん)
赤い色素の上で光る鱗を「金鱗」、白や黒の色素の上で光る鱗を「銀鱗」と呼ぶ。「金ごけ」や「銀ごけ」とも言い、あわせて「光りごけ」あるいは「金銀鱗」(きんぎんりん)と称する。

【食い込む】(くいこむ)
墨模様が緋模様に接するように入り込む状態。あるいは墨模様が白地にしっかりと入り込む様子。

【くすむ】(くすむ)
色彩が冴えなくなること。

【口】(くち)
口唇そのものであるが、一般的には「口先」(くちさき)と総称し、口唇全体であったり、または口唇の上部分を差す。「口先」を「口元」(くちもと)とも言う。緋盤が口先まで達していないものを「口先が切れている」と表現する。また、口先に赤い斑紋があることを「口紅」(くちべに)と言い、口先に小さな黒斑があることを「口墨」(くちずみ)と言う。昭和三色は「口墨」のあることが定石となっている。

【靴ベラ】(くつべら)
「頭緋」が靴ベラのような形状で入った模様。厳密な靴ベラ型でなくても、緋盤の形状が棒状に入るときにでもこう呼ぶことがある。

【首】(くび)
頭部の後ろと、肩部が接するところで、鱗を有する部位。光りものなどでは、「首筋」がよく光るかどうかが鑑賞のポイントとなる。

【くびれ】(くびれ)
頭部から背部に続く緋盤の一部が部分的に細くなっている状態。

【曇る】(くもる)
色彩や光りが鮮明さを失って、鈍い状態を呈すること。

【鞍掛け】(くらがけ)
背中の斑紋が、あたかも馬上に鞍を掛けたように、左右対称に胴に巻き込んだような模様。単に「鞍」(くら)とも呼ぶ。これがあると模様全体の安定感が増して、バランスが取れる。

【芸】(げい)
模様から受ける印象。

【国魚】(こくぎょ)
国花や国技などと同様に、日本を代表する観賞魚として錦鯉をこのように呼ぶ。

【こけ】(こけ)
「うろこ」の同義語。鱗と書いて「こけ」と呼ばせることもある。訛って「こけら」とも言う。

【こけすき】(こけすき)
斑紋中の一枚もしくは一部の鱗の色素がなくなって、穴の開いたような状態。「すき」は隙き間の意味。斑紋上の欠点とされる。

【こけ並み】(こけなみ)
鱗の並び方の様子。「鱗並び」(うろこならび)とも称する。

【腰】(こし)
背鰭後半から尾付けまでの部位。体形上の言葉で、泳ぎ方を表現するときに用いられる。薬害などで、ウナギのようにくねくね泳ぐものを「腰萎え」(こしなえ)と呼んでいる。

【小墨】(こずみ)
大正三色に用いる言葉で、墨の量が少なく、清楚な感じのする模様のこと。ひところ小墨が大流行した時代があった。

【小模様】(こもよう)
模様の広さを表わす。見た目に小さな柄模様であるもの。模様が占める面積の基準はないが、白地が半分以上だと「小模様」と呼ぶケースが多い。

【衣】(ころも)
緋斑を形成する鱗の先端に藍色が出てくる状態。これが青く見えるタイプを「藍衣」(あいごろも)、黒く見えるタイプを「墨衣」(すみごろも)と呼ぶ。

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■さ行

【再生鱗】(さいせいりん)
剥げ落ちた鱗のあとに再生される鱗のこと。ひとたび抜け落ちると、以前の状態どおりに再生されることは少ない。

【冴える】(さえる)
体色が鮮やかになること。「映える」の同義語。

【サシ】(さし)
白地に、赤い色素を持った鱗が前鱗の下に入り込むことによって、差し込んでいる部分が薄いピンク色に見えて、ぼけたような色彩になっている状態。「前差し」(まえざし)、「差し込み」(さしこみ)などとも言う。鯉の鱗は屋根瓦のように積み重ねられていて、前鱗の下に入り込んでいる部分が「被覆部」であり、表面に出ているのが「露出部」である。前鱗が白い鱗で、そこに赤い鱗が入り込むことによって「サシ」が生まれる。入り込んでいる鱗が黒いと、「サシ」は青色や灰色っぽく見える。

【差しごけ】(さしごけ)
斑紋中の一部の鱗に色素がなくなっている状態。「こけすき」と同義語。

【サシ墨】(さしずみ)
地肌に深く差し込んでいる墨。「サシ黒」とも言う。体表に浮かぶには時間がかかるが、浮かぶと墨質がいい場合が多い。「あと墨」や「底墨」と同義語として使われる。

【酸素焼け】(さんそやけ)
体表が充血した状態で、過剰な溶存酸素によって引き起こされる。「肌焼け」や「肌荒れ」と同じ状態。

【仕上がる】(しあがる)
鑑賞上、錦鯉の見た目を最高の状態に飼育すること。「仕上げ」とも言う。

【沈む】(しずむ)
「浮く」の反意語。体表に出ていた模様が見えなくなること。墨については「沈む」という表現をよく用いるが、斑紋が消えるわけではない。

【質】(しつ)
緋・墨・白地などを含めた「地肌」の資質を言う。「地肌」に限定して用いられて、体形と模様に並ぶ鑑賞上の三大要素の一つ。しかし広義には、鯉そのものが持つ総合的な資質を言うこともある。

【地肌】(じはだ)
「肌」「素肌」のこと。同義語として「地」(じ)「素地」(そじ)とも言う。「地肌」は白色系・黒色系・青色系・光り系などに大別される。とくに白色系を「白地」(しろじ)や「白肌」(しろはだ)と呼び、特に美しいものを「雪肌」(ゆきはだ)や「白磁肌」(はくじはだ)と表現している。黒色系の「地肌」には昭和三色や写りものがいて、青色系には浅黄や秋翠がいる。

【将来性】(しょうらいせい)
素質の有無を表わす用語。成長時における期待感を込めて使われる。

【尻】(しり)
下半身のこと。下半身に模様が偏っているものを「尻が重い」と言う。

【白棒】(しろぼう)
緋や墨の模様がすっかり消えて失せて、白無地状態になった鯉。「大根」とも呼ぶ。

【裾】(すそ)
下半身のこと。背鰭の後部あたりから尾鰭までを言うが、厳密な定義づけはない。下半身に模様が少ない鯉のことを「裾があいている」や「裾を見せている」や「裾が寂しい」などと表現する。

【ズボンはき】(ずぼんはき)
下半身が赤一色や黒一色の鯉をこのように呼ぶ。赤一色であれば「赤ズボン」、黒一色であれば「袴はき」などと称する。「袴はき」タイプは一時プロレスラーの力道山が黒タイツで活躍したことから「力道山」とも呼ばれた時代があった。

【墨】(すみ)
大正三色や昭和三色などに見られる黒色の模様。「墨模様」とも言う。その「質」は「墨質」(すみしつ)と呼ぶ。単に「墨」と言うときには、しばしば「墨質」や「斑紋」の在り方、そして墨の浮き沈みまでを含蓄することがある。また、墨の色合いを言うときには「墨味」(すみあじ)などとも称する。

【スレ】(すれ)
体表がこすれて外傷を受けた状態。取扱いの不注意や、鯉自身が寄生虫を取り除こうと池壁に体をこすりつけるために生じる。細菌進入の原因にもなる。

【背】(せ)
背鰭の前部から後部あたりの部位。「背部」(はいぶ)とも言う。「背中」と呼ぶときには、肩の部分を含めて背の広範囲を差す。「背甲」(せごう)とは、背よりも肩に近く、背鰭のすぐ前あたりを言い、体形の中心点を差す。「背」については体形にまつわる語句が多く、背部が細くなっているものを「背こけ」、体形の曲がったものを「背曲り」(せまがり)、また「背筋」(せすじ)には、体形の中心線の意味合いがある。このように「背」と「体」を似たように使うことが多い。

【背ごけ】(せごけ)
ドイツ種における背の「大鱗」、およびその「大鱗」の並びを差す。整然と並び、「無駄ごけ」のないものが望ましい。

【せり出し】(せりだし)
頭部における緋模様のあり方で、「突っ込み」や「突き出し」と同義語。

【側線鱗】(そくせんりん)
体側の中央に頭部から尾部にかけて並んだ小さな点のついた鱗。「側線鱗」は音を感じる感覚器官に通じると言われている。

【底墨】(そこずみ)
体表に出ておらず、皮下に青い状態である墨。「隠れ墨」や「下墨」とも呼ばれる。「あと墨」や「サシ墨」と同義語として使われる。

【素質】(そしつ)
遺伝的に、その鯉が有している資質のこと。

【染め込み】(そめこみ)
一つの色に対して、他の色が部分的に入り込む状態。「にじみ」とも言う。

【染める】(そめる)
目や鰭に色模様が入ること。

【染め分け】(そめわけ)
光りものなどに用いられる言葉で、模様の色分けを表わす。

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■た行

【抱き】(だき)
体部における緋模様の巻き具合。下腹部まで巻き下がっていると「抱きすぎている」と言い、模様が側線部まで来ていないと「抱きが足りない」などと言う。

【立てる】(たてる)
秋の「池揚げ」における錦鯉の成長や仕上がりを期待して、野池に放して飼育すること。「二歳立て」や「三歳立て」と将来性豊かな鯉を「立てて」、大成させるのが錦鯉飼育の最大の楽しみ。

【段物】(だんもの)
「段模様」(だんもよう)や「段柄」(だんがら)とも称する。頭部から尾部までの模様が何段かの斑紋に分かれているもの。主として紅白の模様を示すのに用いられる。ただし、最近は大正三色や昭和三色の「緋模様」に対しても、便宜上用いることがある。ふつうは「二段物」「三段物」「四段物」が主流を占めて、まれに「五段物」や「六段物」という鯉もいる。表現としては、「二段模様」や「二段柄」、あるいは「二段緋」などとも称する。ちなみに、「三段模様」の見方として、「(頭で)入って・(肩・背で)受けて・(尾で)止める」という考え方をする。よって「三段模様」の場合は、「二段目」の斑紋が中心になり、それ応えて頭部と尾部の緋盤がバランスよく入る必要がある。

【力】(ちから)
重量感のある模様や体形について使われる。軽々しい模様を「力がない」と表現する。

【血垂れ】(ちたれ)
体部の緋斑が筋をひいたように入ること。にじんでぼやけていることが多く、鑑賞上のマイナスとなる。

【突きつけ】(つきつけ)
頭緋が口先まで突き抜けて「鼻つき」になっている状態。

【ツボ墨】(つぼずみ)
肩部にある墨で、緋模様に接しながら、緋模様にかからず、あたかも緋盤のなかのツボに入ったように見えることから連想される墨のこと。大正三色における墨模様に用い、「ツボに入る」という慣用句から生じた。よって、緋模様と重なったものはツボ墨と呼ばない。反意語は「カサネ墨」。

【ツヤ】(つや)
健康な鯉の体表から感じられる輝きのこと。肌の艶。体表が輝いて生き生きとした状態を「ツヤがある」とか「肌ツヤがいい」と表現する。逆に、どことなく生きのよさを失った体表を「ツヤがない」と言う。「ツヤ」は、体表の粘膜の状態によるもので、内臓の調子にも関係している。よって、飼育や環境や給餌が良好であれば、「ツヤ」が出てくる。

【ツヤ墨】(つやずみ)
青味があり濃くて黒々とした、輝くようなツヤを有した墨のこと。「ナベ墨」の反意語。ツヤのあることから「ウルシ墨」とも呼ぶ。「ツヤ墨」や「ウルシ墨」という用語は大正三色に用いられることが多い。

【手】(て)
錦鯉においては胸鰭のこと。「手鰭」(てびれ)、「前鰭」(まえびれ)、あるいは俗に「扇」(おうぎ)とも言う。その俗称のとおり、ふくよかで丸みのある扇形が理想型である。「手」の模様については、手の「元」(付け根)の色合いで表現する。「元」が黒く染まっていると「元黒」(もとぐろ)で、昭和三色や写りものに見られる。「元黒」は「半染め」(はんぞめ)とも呼ぶ。「元」が赤く染まっていると「元赤」(もとあか)で、浅黄や秋翠に見られる。「元黒」と「元赤」をまとめて「元染め」(もとぞめ)とも呼ぶ。ちなみに、紅白の「元赤」は欠点にみなされるケースがある。もう一つの胸鰭の模様として、何本かの黒線が入る「手縞」(てじま)がある。これは大正三色に見られる模様で、「手墨」(てずみ)とも呼ばれる。また、胸鰭全体が黒っぽいものを「手黒」(てぐろ)、胸鰭の一部もしくは全体が赤いものを「手赤」(てあか)、胸鰭が白いものを「手白」(てじろ)と呼称する。光りものの手鰭は「銀扇」などとも呼ぶ。

【テリ】(てり)
体表の光沢のこと。「照り」とも書く。体表の輝きを示しており、「ツヤ」と同義語。

【ドイツ鱗】(どいつりん)
ドイツ鯉の背と体の中央両側に見られる大型の鱗。ドイツ種のうち「鏡鯉」に見られる。「大鱗」とも言う。

【胴】(どう)
頭部と鰭を除いた体部のこと。「胴が太い・細い」あるいは「胴が長い・短い」などと表現する。体形的に胴の長いものを「胴長」(どうなが)と言う。模様では、緋斑が胴に巻き下がっているものを「胴巻き」(どうまき)、巻き下がっている緋盤が胴で割れているものを「胴割れ」(どうわれ)、そして胴部に位置する墨を「胴墨」(どうずみ)、胴全体が黒いものを「胴黒」(どうぐろ)と呼ぶ。

【飛ぶ】(とぶ)
斑紋が消えること。

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■な行

【流れ模様】(ながれもよう)
ドイツ系の鯉に見られる、側線鱗の上下に紋様が細く長く出現したもの。秋翠などによく見られる模様。

【ナベ墨】(なべずみ)
ナベの底に見られる煤のようなツヤのない墨のこと。古いタイプの昭和三色によく見られ、このタイプの墨質は環境によって褪色しやすく、品評会の水槽で灰色になってしまうこともある。鑑賞上、避けたい墨質である。

【波切り】(なみきり)
尾鰭のこと。

【波立て】(なみたて)
背鰭のこと。

【難点】(なんてん)
鑑賞上の欠点のこと。

【濁る】(にごる)
白地が汚れること。環境の悪化や色揚げ飼料の過剰投与によって、白肌が汚れたときに言う。

【ぬめり】(ぬめり)
体表を覆う粘膜のこと。「ツヤ」にも深く関連している。野池から揚がってきた鯉は、全身ぬめりをまとい、生き生きとしたツヤがある。生理的には、自然環境での防護作用により生じると言われている。野池では「ぬめり」を帯びるが、泉水に移すと「ぬめり」を失ってしまうケースが多い。

【伸ばす】(のばす)
野池や泉水などで、体長が伸びるように飼育すること。

【のる】(のる)
地肌の色や光りが鮮明になること。光りの出ていないプラチナなどで、輝きが増したときに使う。色物の場合は、「地肌」に対して模様が重なること。

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■は行

【這い上がる】(はいあがる)
浅黄や秋翠において腹部の緋が背に向けて上ることを言う。「巻き上がり」と同義語。

【入る】(はいる)
斑紋における模様の出方で、緋盤の上に墨模様がのったときに「墨が入る」などと表現する。

【禿げる】(はげる)
おもに光りものに用いる語句で、頭部に曇りがなくなることだが、シミとかシワなどがなくなることでも使う。「禿げ上がる」とも言う。広義には模様について言うこともある。

【肌荒れ】(はだあれ)
体表の異常を表わし、粘液分泌の変調により肌が荒れ、ぬめりがなくなり、ツヤを失った状態。主たる原因は、内臓疾患と環境悪化。

【肌焼け】(はだやけ)
肌が荒れること。高蛋白質飼料や色揚げ飼料を与える期間が長いと、体表面が充血して、焼けたような状態になる。

【鉢】(はち)
「頭」のこと。ハチの大きなものを「大鉢」、ハチの小さなものを「小鉢」と呼ぶ。「頭緋」のことを「鉢赤」(はちあか)とも言う。大正三色の頭部に黒い斑点が出現して、あばた模様を形成しているものを「鉢くま」と呼ぶ。また、昭和三色では頭部に墨斑が人の字型に入り、いわゆる「面を割った」状態になる。これを「鉢割れ」(はちわれ)と呼ぶ。「鉢割れ」は昭和三色の豪快さを表現するうえで、重要な要素となる。

【鉢巻き】(はちまき)
頭部の緋斑が頬かむりしたように巻き込んで入ったもの。

【鼻】(はな)
厳密には「鼻孔」(びこう)であるが、鑑賞上は鼻孔部から口先までを「鼻」と言う。または、鼻孔部から口先を「鼻先」とも呼ぶ。紅白の五難において「斑紋が鼻先と尾の付け根から、ともに切れていること」とある。よって、紅白の頭部の緋盤が鼻先で切れて、白地を見せているものが定石である。これを「鼻先を切る」と言う。逆に、緋盤が口先まで達している状態を「鼻つき」と呼ぶ。鼻先を切っていないと鑑賞価値が下がると言われた時代もあったが、最近では「鼻つき」の鯉でも上位入賞を果たしている。また、昭和三色や写りものにおいて、鼻孔部周辺に黒斑があるものを「鼻墨」(はなずみ)と呼んでいる。もちろん、この鼻墨はマイナス要素にはならない。

【羽根】(はね)
おのおのの鰭の総称。

【腹】(はら)
背中に対する部位で、体の側面を含めた下側の広い部分。「腹部」のこと。側線より下側を「下腹」(したばら)や「下腹部」(かふくぶ)と言い、このあたりが膨れて垂れているものは「二段腹」と呼ばれて、大きなマイナス要素になる。浅黄や秋翠などの品種で「下腹」に緋模様が見られるものは、「腹緋」(はらあか)と称する。一方、紅白や大正三色で、背中から「下腹」に向かって緋盤が「巻き下がって」いるものを「腹巻き」(はらまき)と呼ぶ、それが顕著なものを同じく「腹赤」と呼ぶ。

【張り分け】(はりわけ)
光りもののうち、黄金とプラチナが張り分けられた状態。

【斑紋】(はんもん)
全体の模様を形成している一つ一つの紋様のこと。広義では模様全体のことを言う。しばしば、模様と同義に使われる。

【ヒモ墨】(ひもずみ)
ヒモのように見える細い墨模様のこと。おもに昭和三色に見られる。

【品位】(ひんい)
全体から受ける模様などの印象。「格調がある」や「品がある」などと言う。

【ふく】(ふく)
金銀鱗の輝きがよく光ること。また、色鯉の体表に「ゴマ墨」などが出現したときにも使う。

【覆面】(ふくめん)
模様が顔を覆った状態のこと。緋盤でも呼称するが、おもに墨模様で用いるケースが多い。昭和三色や写りものでは頭部の半面近くに墨模様が形成されているものがあり、そうした顔の作りを「片覆面」と呼ぶ。すべて覆面の写り系の鯉を「黒覆面」とも称する。

【覆輪】(ふくりん)
鱗の露出部における周辺部。鱗の重なりから露出している扇型の周辺部が薄くなっている箇所を言う。ただし、「覆輪」の出方は一応でなく、露出部の先端が濃く見えるもの、逆に扇形の前側??ほかの鱗との重なりの部分に色素が密集しているものなど、いろいろなタイプがある。「覆輪」とは刀の鞘や馬の鞍の縁などを金銀で覆い飾った部分のことだから、「覆鱗」は当て字で、正しくはやはり「覆輪」と書く。

【斑】(ぶち)
「斑紋」の同義語。「斑」(はん)の字には「まだら紋│混じり合っている模様」という意味合いがある。「斑紋」と同じく、全体の模様に対しても用いられる。

【普通鱗】(ふつうりん)
日本在来種の「和鯉」に見られる鱗のこと。「ドイツ鱗」に対して使われる。「和鯉」では頭部を除いて、扇型をした鱗が整然と全身にびっしりと並んでいる。

【坊主】(ぼうず)
頭部に、緋斑や墨斑がまったく、真っ白な状態。お寺の坊主が頭部を剃っていることから、この名前がついた。「面被り」や「覆面」とは正反対の状態を差す。

【ぼける】(ぼける)
斑紋の色彩がはっきりしなくなること。

【頬】(ほほ)
エラ蓋のこと。この部分に緋斑が入ると「頬赤」(ほほあか)と称して、さらに頭部からエラ蓋まで緋盤が続くと「頬被り」(ほほかぶり)などと言う。ただし、浅黄・秋翠はエラ蓋に緋が入るのが定石であるので、これを普通「奴」(やっこ)と呼んで、両方に入ると「両奴」、片方だけだと「片奴」と言う。エラ蓋は、病気により障害が生じると、変形してしまうことがあるので、常日頃の観察が必要になる。

【ぼんぎり】(ぼんぎり)
「坊主」に対称される言葉。模様が上半身のみにあって、下半身にないものを「ぼんぎり」と呼ぶ。

【本墨】(ほんずみ)
本物の墨という意味を含んで、濃くて緻密な墨に対して用いる。本墨は、沈んでいた墨が成長と共に浮いて出て、ツヤ墨の状態で、なおかつその後も変化が少ないものを指す。また、衣三色や衣昭和などに見られる藍墨に対して、大正三色や昭和三色が元から持っている墨を言う場合もある。

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■ま行

【巻き】(まき)
模様が胴体に巻き付くように入っている状態。「巻き上がり」と「巻き下がり」がある。

【巻き上がり】(まきあがり)
腹部の模様が背中に向かって上がっている状態。昭和三色や写りもの系の墨は巻き上がる傾向にある。よって、墨模様によく使われる言葉。また、浅黄・秋翠においても、腹部の緋が背に上がる性質がある。「這い上がり」と同義語。「巻き下がり」の反意語。

【巻き下がり】(まきさがり)
背部の斑紋が腹部に向かっている様子。「巻き込み」とも言う。下腹部まで達したものを「巻きが深い」と言い、その反対を「巻きが浅い」と呼ぶ。

【窓開き】(まどあき)
斑紋中に大きく窓が開いている状態。鱗が一枚か二枚であるなら「こけすき」、それ以上なら「窓開き」と言う。

【まとまる】(まとまる)
ばらばらの墨斑が集約していくときに使う。また、模様全体の印象についても用いる。

【丸天】(まるてん)
「頭緋」の形状が真ん丸のものを言う。円形に限りなく近いものがよい。

【見せ場】(みせば)
模様の中で一番の見所。

【むける】(むける)
色彩が剥げること。消極的な表現ではなく、色彩が剥げることによって、模様化した場合などに用いる。

【無地】(むじ)
斑紋のない「地」のこと。単色の鯉のことを「無地もの」と呼ぶ。

【無駄ごけ】(むだごけ)
ドイツ鱗の背部および側線部の「大鱗」における不規則鱗のこと。

【ムラ】(むら)
色の均一さを欠く状態。「均一性」の反義語。「色ムラ」とも言う。

【目】(め)
解剖学上は「目」そのものを差すが、しばしば「まなこ」や「まなじり」までを含めて言う。目に緋盤がかかると、「目赤」や「目を汚す」と言う。目の周囲のふくらみを「目かずら」とも言う。また、両目を結んだ頭部の位置を「目線」(めせん)と言い、頭緋の入り具合の目安となっている。別称「目平」(めだいら)とも言う。

【銘鯉】(めいり)
全国規模の品評会での入賞魚にして、かつ美的価値の極めて高い鯉のこと。逸品中の逸品という意味合いを持つ。

【面】(めん)
「顔」と同義語。頭部全体に緋盤が入ったものを「面被り」(めんかぶり)、口先から頭頂部へ緋斑が続くものを「面通し」(めんどおし)、昭和三色の顔に人文字型に墨が入るものを「面割れ」(めんわれ)、そして「面白」(めんじろ)とは「坊主」と同じく、頭部に模様がないこと。

【面被り】(めんかぶり)
紅白や大正三色において、頭部全体が赤い斑紋で被われているもの。あるいは「頭巾被り」(ずきんかぶり)とも呼び、可愛らしい感じのものを「赤頭巾」とも言う。以前は、面被りは鑑賞価値が低いと言われていたが、最近は力強さを感じさせるイメージになっている。

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■や行

【山模様】(やまもよう)
昭和三色や写りものにおいて、腹部の墨模様が山型に「巻き上がって」いる状態。

【鎧鯉】(よろいごい)
ドイツ鯉の一種。体全体に大鱗が重なりあった鯉のこと。「鎧ドイツ」や「荒ドイツ」とも言う。鑑賞価値は低い。

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■ら行

【鱗鯉】(りんり)
「和鯉」のこと。

【連続模様】(れんぞくもよう)
頭部から尾部まで一つにつながっている模様のこと。「段物」の反義語。「一本緋」や「稲妻模様」が代表的な「連続模様」である。もとは紅白のみに使用していたが、現在ではあらゆる品種に流用されている。


「いしがきりん」は重箱読みで、「いしがきうろこ」と読んでもいい。なお、鱗は「りん」「うろこ」と読み方は統一していない。

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