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本のアプリStandで人気だった2017年おすすめ10冊

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Standのinoです。今年もあとわずか、2017年に刊行された本の中から、アプリStandで人気の10冊をまとめました。

本棚に登録・コメントされた2017年の単行本のうち、特に人気が高かったタイトルから10冊を選んでいます。 本の紹介とあわせ、ネットで読める主な書評のリンクもつけました。Standでの読者コメントと共に参考にしてください。

2017年の本を振り返る、本のアプリStandのおすすめ10冊です。

今村夏子「星の子」

誰かが信じているものを信じてみる

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星の子

今村夏子

朝日新聞出版 2017-06

Stand icon s 95人の読者、9コメント

今村夏子は最近の2作が芥川賞候補になってます。前作が福岡の出版社から選ばれたことでも注目されました。

「星の子」は新興宗教をめぐる家族の物語。病弱だった自分のために宗教を信じるようになった両親と、思春期になって変わる見方、家を出ていく姉。異なる価値感の重なり合いが描かれます。

坂元裕二「往復書簡 初恋と不倫」

好きなラーメンの種類

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往復書簡 初恋と不倫

坂元裕二

リトル・モア 2017-06

Stand icon s 104人の読者、16コメント

ドラマ「カルテット」も今年人気だった坂元裕二による舞台脚本。会話劇2話がそのまま短編小説として読めます。

男女の往復書簡形式で、それぞれ「不帰の初恋 海老名SA」「カラニシコフ不倫海峡」というひねられたタイトル通り、ひと筋縄ではいかない恋愛ドラマ。小ネタのふんだんな会話と先の読めないサスペンスに目が離せません。

神田桂一・菊池良「もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら」

アンドレ・ブルトンも週刊文春も

カップ焼きそばの作り方を様々な作家が書いたら、という設定。文豪だけでなく、お笑い芸人や週刊誌の文体も入り混じった、カオスな文体見本市になってます。

太宰治や村上春樹などパロディには欠かせない作家はもちろん、コナン・ドイルやグリム兄弟などクラシックな作家もあり、文学好きならにやりとするところ満載。星野源や池上彰などまさに今活躍する人も含まれ、徹底した幅広さです。

石黒由紀子「猫は、うれしかったことしか覚えてない」

猫は丸い背中で語る

猫は、うれしかったことしか覚えてない。猫は、好きをおさえない。猫は、たっぷり時間をかける⎯⎯などなど、エッセイストの著者が家の猫を観察して書いた59の文章。

様々な猫の姿は、日めくりカレンダーのようで、かつちょっとした日常の哲学を含んでいます。まさに猫ってこんなというカラフルな挿絵も見もの。

テジュ・コール「オープン・シティ」

移民が行き交うマンハッタン

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オープン・シティ

テジュ・コール

新潮社 2017-07

Stand icon s 16人の読者、1コメント

移民作家の存在感が増すアメリカ文学。テジュ・コールはナイジェリア出身、Instagramも人気の作家で写真家。まさにInstagramのタイムラインのような、街の景色をランダムに切り取る散歩小説。

そのマンハッタンの風景は、アフリカ系移民の姿を通して、故郷のナイジェリアに飛び、また旅先のブリュッセルで出会うイスラム主義の青年へと、散歩が世界と政治の問題に広がって、イメージが多重露光のように重ねられます。

若林正恭「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」

広告のないキューバの休暇

オードリー若林さんの休暇旅行記。芸能界で仕事をしながら、お金を稼いで成功するという価値観に異和感を抱えていていたという独白から始まります。社会主義の全く別な国を見てみたくなり、5日間の休暇に衝動的にチケットを買ってキューバへ。

現地で雇ったガイドがキューバ人なのに人見知りだったり、カリブの海岸で財布をパンツの中に入れて泳いだり、笑いも挟みつつ、広告もスマホもない、配給で暮らすキューバの人々の暮らしを見て回ってます。

フィル・ナイト「SHOE DOG」

ナイキが輸入スポーツ店だった頃

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SHOE DOG―靴にすべてを。

フィル・ナイト

東洋経済新報社 2017-10

Stand icon s 46人の読者、3コメント

ナイキの始まりは1962年。ビジネススクールを出たばかりの元陸上選手が、世界旅行の途中に日本に来て、オニツカタイガーのシューズを12足買って、西海岸の競技場で露店営業を始めます。

創業者自ら筆を取って書かれた回顧録で、60年前の日本旅行がまるで最近のことのよう。繰り返す倒産の危機や、癖者ばかりの創業メンバーも見どころです。

前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」

サハラ砂漠でバッタを追う

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バッタを倒しにアフリカへ

前野ウルド浩太郎

光文社 2017-05

Stand icon s 51人の読者、13コメント

著者は周期的に大発生して農作物に被害を与える、サバクトビバッタの研究者。博士号を取得したのち、論文を書くためサハラ砂漠のモーリタニアに旅立ちます。バッタ研究所は、サソリやハリネズミがうろつく原野の辺境で、バッタの大群が出ると、砂漠が地平線まで黒く霞みます。

砂漠での研究の奮闘に加え、貯金が切れたら帰国しても無職という、ポスドク研究者のぎりぎり暮らしもリアルに書かれます。

羽生善治「人工知能の核心」

AI大局観

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人工知能の核心

羽生善治

NHK出版 2017-03

Stand icon s 30人の読者、3コメント

もとはNHKスペシャルの番組で、Alpha碁のディープマインド社をはじめ、世界のAIの最前線を羽生善治が訪れたもの。この本では、取材をもとに羽生さんがさまざまなAIについて考察した文章が中心となっています。

将棋AIを通して、現在の機械学習についても詳しく、個々のアルゴリズムにまで具体的な言及がある一方で、人間とAIの思考の本質的な比較や、技術のこれからにまで話が及んだ、明快で広がりのある内容です。

リー・ギャラガー「AirBnB Story」

人のつながりがプロダクト

民泊という言葉をよく聞くようになりました。その代名詞的スタートアップ、AirBnBの創業物語。美大の仲間2人で始めた、空き部屋に旅行者を泊まらせるという風変わりなサービスは、「ゴキブリのように」しぶとく生き延びて、世界中の都市で使われるまでに。

よくミレニアム世代の旅行と関連して語られるAirBnBの新しい旅行の仕方は、ラフで楽観的。シリコンバレーのスタートアップの中でも独特の雰囲気です。コミュニティとカルチャーを重視する企業の成り立ちが語られます。

ということで、2017年本のアプリStandのおすすめ10冊でした。今年は村上春樹の7年ぶり長編も話題でしたし、又吉直樹や星野源も昨年に続き人気でした。

今回はコミックを選べなかったので、別でコミック版ベストを近々お送りしたいと思います。

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