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【社会】映画製作で世界を学ぶ 首都圏中学生9人、仏イベント初参加へ
来年六月にパリで開かれる映画の国際イベントに、首都圏の中学生が製作する短編映画が出品される。撮影や編集作業を通じ、子どもの主体性や発想力を培う映画教育の一環で、日本からの参加は初めて。製作は年末から始まる予定で、支援する市民団体「こども映画教室」(東京都)の土肥悦子代表は「世界の多様な価値観を実感できる場になれば」と話す。 (川田篤志) 「海外の子どもたちがどんな映画を作るのか知りたい」。映画作りに参加する宇都宮大学付属中学(宇都宮市)二年の森戸理陽(みちはる)さん(14)が目を輝かす。将来の夢は映画監督で「日本文化にとらわれず、海外の人にも分かりやすい映画を作りたい」と意気込む。 製作するのは東京、神奈川、千葉、栃木四都県の中学生九人。脚本作りや演技、撮影、編集を自分たちで行い、協力して十分程度の映画を撮る。今月二十六日から横浜市内で、撮影に向けたワークショップが始まる。 九人が出品するのは、フランスの映画関係者らでつくる団体が主催する「映画、100歳の青春(CCAJ)」。一九九五年に始まり、今回は十五カ国の二十歳までの若者が参加する。映画の名シーンを編集した映像を鑑賞し、感想を議論した上で、自分たちの作品の製作に入る。来年六月のパリでの発表会で披露し、感想を述べたり、質疑を行ったりして映画の魅力を語り合う。発表会には千人が集まる予定だ。 昨年の発表会にゲストとして出演した映画監督の諏訪敦彦(のぶひろ)さん(57)が主催団体に声を掛けられ、日本の参加が実現した。「M/OTHER(マザー)」でカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞した諏訪さんは、日本の中学生たちの特別講師を務める。 諏訪さんは「映画教育の先進国のフランスの手法を学び、日本でも実践したい人と今回の体験を共有できれば」と言う。「論理的な思考のフランスに対し、直感に優れた日本の子どもが作る映画にきっと驚くはず」と期待した。 後押しする土肥さんは二〇〇四年から、子どもに映画作りを教えるワークショップを国内各地で開いてきた。CCAJに参加する意義について「周りを説得し、時にはエゴを引っ込めるなどすることで、コミュニケーション力が高まる。それぞれの特技を生かせれば、自信につながる」と説明。「映画に正解はない。答えのないものをみんなで協力して作る意義は大きい」と強調する。 ◇ 諏訪さんの新作「ライオンは今夜死ぬ」は来年一月二十日から恵比寿ガーデンシネマなどで上映される。 関連記事ピックアップ Recommended by
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