権謀術数渦巻く世界のファンタジー巨編をご紹介します。
中世ヨーロッパのような舞台を背景に、数々の家が王座をめぐって争いを繰り広げる物語です。
あらすじ
王都を中心に広がる七王国では、野人の住む北の大地と接する北部を、スターク家当主のネッドが治めている。
そのスターク家居城のウィンターフェル城に、ある日王であるロバートとその家族が訪ねてくる。
ネッドに"王の手"となり、王都でロバート王の執務を助けるよう依頼するためだった。
ロバートへの愛が潰えた妃や、彼女と不義の仲である実弟ジェイミー、横暴極まりないその息子ジョフリーなど、王の妻一家であるラニスター家は欲望の塊だった。
ロバート王が信頼できるのは、かつてともに戦ったネッドだけだった。
波乱を予感しつつも、ネッドは"王の手"となることを表明する。
しかし、王都に向かったネッドのみならず、その娘たち、やがてはウィンターフェル城に残った妻や息子たちも、権力者たちによる簒奪と権謀術数の嵐に呑まれていく。
壮大な歴史絵巻
背景となるのは映画『ロード・オブ・ザ・リング』のような、中世ヨーロッパを下敷きとしたファンタジーの世界です。
七王国と呼ばれる広大な一帯を、王都キングズ・ランディングの鉄の玉座に座る王が治めています。
物語が始まる当初の王はロバート・バラシオンで、狂王と呼ばれた先代の王から王位を奪いました。
バラシオン家や、北の領主スターク家、ロバート王の妻の実家ラニスター家の他にも、七王国を治める多数の領主がいます。
それぞれの家があわよくば玉座の奪取や、勢力を拡大したいとうごめく、群雄割拠の時代です。
多様な登場人物
主人公的立ち位置のスターク家だけでも、当主ネッド、その妻キャトリン、夫妻の子どもたちであるロブ、サンサ、アリア、ブランと多様な登場人物が現れます。
王家バラシオン家、その婚家ラニスター家も曲者ぞろいです。
それに加えて、狂王を輩出したかつての王家ターガリエンも、権力者たちの脅威として影を落とし続けています。
暗殺された狂王の子どもたちが、海を越えた異国で復活の機会を狙っているためです。
ドラマの見どころは、各家の各登場人物が、それぞれ強烈な個性と人間味を持っており、個々人の活躍が物語の筋にもしっかり食い込んでいるところです。
老獪な古狸、正義感溢れる当主、慈悲深い王女といった、ファンタジーに定番のキャラクターだけでなく、
どう見ても超絶サディスティックなサイコパス王子、強烈なマザコン幼児、新興宗教の教祖みたいな美魔女など、怪しい面々にも事欠きません。
目指すものは玉座、領土、復讐など人それぞれですが、権謀術数が息つく間もなく繰り広げられ、常に飽きさせない展開です。
バタバタと人が死ぬ展開、欲望に塗れた濡れ場も多いドラマですが、そうした生々しいシーンも権力ドラマにリアリティを添えています。
世界観の作り込みの徹底
舞台となる七王国には、地域ごとに違った気候や文化があります。
これらはキリスト教世界を完全に離れたところで作られていて、地域によって信仰する神までも違ってきます。
そして、各地を収める領主たちの家には家紋や家訓を持っています。
それぞれの家に、海賊を飼いならす海に根付いた家だとか、北の大地を野人から防護する守り人などの特徴があり、七王国の世界に深みが与えられていました。
各地の文化についても、女性の髪形や、武具、剣闘など、地域ごとに違ったカラーがあります。
スターク家の令嬢サンサは、故郷にいるときは少し編み込みをしているだけでしたが、王都に来てしばらくすると頭部全体にボリュームを持たせた髪型に変わっています。
また、デナーリスの嫁いだドスラク族では剣がまっすぐではなく、途中から大きく湾曲したものが標準形です。
他にも地域や家ごとの個性は見ていて興味が尽きません。
家同士の相関関係がややこしいことに加え、こうした設定の深みもあることから、『ゲーム・オブ・スローンズ』関係のまとめや解説ページがネット上に溢れかえっています。
実際、そうした資料の助けを得ないと、しばらく見ないうちに内容を忘れてしまいそうになりました。
おわりに
個人的にはスターク家のロブとアリアが大好きでした。
彼らの父のネッドが、強敵相手にもっと情け容赦なく立ち向かっていれば…と何度思ったことでしょう。笑
アリアの剣の師匠だったシリオが残した一言が印象的でした。
この世に神は1つ
その名は"死神"
死神に言うことは1つ
"まだ死なぬ"
強敵が次々と現れても、悲惨な状況に追い込まれても、懸命に戦い抜くアリアの姿はひときわ記憶に残ります。
壮大なファンタジーやヒューマンドラマが観たい方に、ぜひおすすめしたい作品です。
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