フットサル「Fリーグ」の何とも厳しい現実
人気スポーツだが集客は危機的状況だ
「このままではFリーグという戦う舞台すらなくなってしまうのではないか、と危機感を抱いています。」
12月9日(土)に行われた兵庫県神戸市に拠点を置くフットサルクラブチーム「デウソン神戸」のホームゲームの観客動員数は、史上最低動員数となる252人。この数字を受けて、チームのキャプテンである稲田瑞穂は、自らのSNSを使ってこう発信した。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてスポーツの機運が高まる日本において、直面しがたい現実がそこにはあった。日本国内で活動するすべての競技団体に追い風が吹いているわけではない。特に、フットサルを取り巻く環境は年々厳しさを増している。
経済産業省とスポーツ庁が共同で設置した「スポーツ未来開拓会議」によれば、2012年時点で5.5兆円だった国内のスポーツ市場を、2025年までに現在の3倍にあたる15兆円に拡大するという。
数年前より、野球やサッカー・バスケットボールといったプロスポーツの世界には、大きな資本と優秀な人材が集まりはじめ、ビジネス面での成功事例も徐々に見られるようになってきた。
たとえば、2016年9月に開幕したプロバスケのBリーグは、1年目となる2016−2017シーズンに、延べ226万人の観客を動員し、2年目となる今シーズンも、目標とする「2020年に300万人動員」に向けて好スタートを切っている。
プロ野球についても、横浜DeNAベイスターズなど、ファンサービスやマーケティングに力を入れた各球団の努力が実を結び始め、観客動員数は再び増加傾向に転じた。2017年のセ・パ両リーグの公式戦入場者数は延べ2513万人だった。
「する」スポーツとして人気を博したフットサル
フットサルは1チーム11人でプレーするサッカーと異なり、1チーム5人。サッカーの約9分の1の広さの室内コートで前半と後半で20分ずつの試合を行う。日本生産性本部が発表する「レジャー白書2017」によれば、フットサルの競技人口は、ピークの2011年時点で370万人いた。2015年には150万人と半分以下、現在はさらに減少したと言われる。それでも、フットサルをプレーしたことがあるという人は、少なくないはずだ。
「する」スポーツとして人気を博したフットサルが、日本で普及した背景には、国内のサッカー事情と深い関係がある。
フットサルが一気に普及したきっかけは、2002年に開催された日韓ワールドカップだった。日本国内のサッカー熱が高まったこともあり、「サッカーよりもさらに気軽にボールを蹴れるスポーツ」としてプレーヤーが増加した。また、それに伴い、フットサル専用の施設も増加し、日本国内のフットサルインフラは急激に整備されていった。