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金融・投資・マーケット

ビットコインの「バブル体質」はどうやったって解消できない

「通貨」ではなく「モノ」なのだから

目まぐるしい仮想通貨の動きと規制の強化

内外で報道されているように、クリスマスが近づくにつれ、ビットコインの暴落が始まった。

一方、12月に、シカゴの「先物取引所」に上場したことにより、ビットコインが金融市場で承認されたようにもてはやされているが、果たして本当にそうなのか、いきなり疑われる結果となった。

投機的な行動を呼んでいるのは、ビットコインに付きまとう勘違いなのであるが、先物市場上場によって、このことは改善するのだろうか、それとも加速するのであろうか。

そもそも、ビットコインが抱えている問題とは何かから、検討していきたい。

今年の「ビットコイン」を始めとした仮想通貨の動向は、価格の上昇はもちろんだが、さまざまに目まぐるしかった。

日本では、今年の4月に施行された「改正資金決済法」において、仮想通貨は通貨(ドルや円など、法的“通”用性がある“貨”幣)や、貨幣(一般的なおカネ)でもなく、支払手段に使える「財産的価値」つまりは「モノ」と定義された。もちろん金融商品ではない。

プリペイドカードなどと同じ支払手段にも使えるとしたので、7月から消費税が掛からなくなった。主要7カ国(G7)でビットコインにきちんと消費税を課していたのは日本だけであった。

これは通貨として認めたわけではなく、異例の処置であるが、G7がそのようにしていたのでそれに合わせたというだけことである。

健全化のために「仮想通貨取引所(仮想通貨取引業者)」は登録制となり、登録猶予期間も9月末に終了した。4月には約40業者があったが、12月現在、関東財務局管轄で12業者、近畿財務局管轄で3業者、合計15業者が登録されている。

一方、詐欺事件がいくつも発生し、殺人事件までも発生した。もちろん逮捕者も出ている。警視庁をはじめ警察は警戒を強めている。

 

量的緩和に入ったビットコイン

また、仮想通貨は、中央銀行が発行しているわけでもなく、ポイントのように発行主体の企業があるわけでもなく、裏打ちのある資産があるわけもない。ある意味、ブロックチェーンと呼ばれる仕組みと、それに対する宗教のような信用の上に成り立っている。そもそも全体的に統括されていないことから、関係者の営業的な都合で分裂を繰り返している。

8月からビットコイン、ビットコイン・ゴールド、ビットコイン・ダイヤモンドとまず3回分裂したが、さらに12月から来年にかけて、ビットコイン・プラチナ、スーパー・ビットコイン、ビットコイン・ウラン、ビットコイン・キャッシュ・プラス、ビットコイン・シルバーと5回分裂が行われる。

やや不思議なのだが、基本的には分裂すると同額の新しいコインを供与するのである。

通常、モノであると分裂すると値を下げるが、ビットコインの場合は違う。

新通貨を無償で受け取ることにより、資産が増加する。そのことを期待して逆に価格が上昇する。この点も、ビットコインの価格が上昇する理由の一つになっている。

しかし、そもそもはビットコインなどの仮想通貨は、発行に上限があり、そのため、ドルや円などの平時の5倍を超える量的緩和を行っている通貨とは違って、価値の下落がないとして評価されていた。

これだけ分裂・供与していると、発行量についてはもはや評価しにくい。今後も分裂の可能性があり、まさに状況が読めない。

このような量的緩和(増殖)はビットコインなどの仮想通貨の自己否定につながらないのであろうか。ビットコイン等は発行量を絞りコントロールしていることに価値があったはずであった。もはや、この謳い文句は使えない。

今年、ビットコインの価格は“20倍”になった。このようなバブル的な上昇といっても過言ではない。中国では、すでに9月に当局が仮想通貨取引所を全面的に閉鎖した。

現在のビットコインの取引割合は、日本円41%、米ドル38%、韓国ウォン16%、その他5%である。日本の投資家が最も購入しているということで、万が一、暴落したときは、株式など日本の金融市場にも影響が及ぼう。