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英ウェストミンスター宮殿に大火災リスク、黒杖官が警告
2017年12月26日 16:52 発信地:ロンドン/英国
【12月26日 AFP】英ロンドンのウェストミンスター宮殿(Palace of Westminster)について、早急に改修に着手しなければ多数の死者を出した公営高層住宅「グレンフェル・タワー(Grenfell Tower)」のような大規模火災が発生する恐れがあるとの指摘が出ている。
ウェストミンスター宮殿は上院(貴族院)と下院から成る国会議事堂とビッグベン(Big Ben)の愛称で親しまれる大時計を備えた時計塔で構成される。この宮殿に大火災リスクがあると警告したのは、英国議会で儀礼や建物管理などの任務を担う黒杖(こくじょう)官を7年務めたデービッド・リーキー(David Leakey)氏。
「私はここ(ウェストミンスター宮殿)に存在するリスクを理解している」というリーキー氏は退任を前に、ウェストミンスター宮殿での大惨事を回避するためには無秩序に広がった建物全体の早急な総点検が不可欠で、それには議員らの支持が必要だと、英議員向け刊行物「ザ・ハウス(The House)」とのインタビューで訴えた。詳細を知り尽くした専門家の提言によれば、グレンフェル・タワーの二の舞を防ぐためには時間をかけた段階的な改修ではだめで、今すぐ迅速に改修せねばならないという。
さらにリーキー氏は「われわれがグレンフェル・タワーの大火災から何も学ばないのならば、この宮殿も、修理と改装を何十年も先延ばしにしたあげくに火災で焼失した1834年のように、再び焼け落ちることになるだろう」と警告した。
ロンドン西部で今年6月に発生したグレンフェル・タワーの大規模火災では71人が犠牲になった。(c)AFP